中:個人的には「難破船のセイラー」みたいな曲がシングルで出てくるていうのも意外だった
  んですが。
青:私も意外だったんですけど(笑)
中:(笑)今までだと、シングルを意識して作りましたみたいなことがあったじゃないですか。
青:今回の場合は、何をシングルにしたらいいかわからなかったんですよ(笑)
  (スタッフの)皆さんの意見をいろいろ訊いて。
中:シングルの決定って、毎回意見をお伺いする   みたいな感じですか?それとも「これをシン   グルに」という思いがあって 青:「最後はヌード」の時は割と「シングルだー!」   という意識があって。「STARLAB」もそうだけど、   あれは最初却下されて(笑)「地味だ」と言わ   れて。でも、自分ではこれだ!と思ってたから。   今回はあまりそういう部分に気が回らなくて、   決めてもらおうって思ったんだけど、皆迷って   るし(笑)。どれも曲の出来は良いと思ってる   んだけど、世に言う「シングルらしい」と   いうのとは違っていたんで。
  シングル『難破船のセイラー』 中:最近はアイドルの曲でもかなり難しくて、「シングルらしい」ということの定義も曖昧に   なってると思いますけどね。…個人的に思ったのは、シングルも3枚目だし、ここで   ひとつじっくり聴かせる曲を出していこうという、余裕というか自信みたいな   ものを感じたんです。正直言ってとっかかりは凄く地味じゃないですか。 青:うん。 中:でも何回か聴いていくと凄くグッとくる。いい曲だなぁとじわじわ効いてくると   いうか。ただ、カップリングの曲は比較的 青:分かりやすいでしょ?うん。そうそう。 中:それってやっぱり反動みたいなものがあるんでしょうか? 青:いや、反動というか後の2曲はリズム録りの時点でセッションっぽかったんですよ。   それをそのままの勢いで。 中:あの後延々と続くような感じですよね。 青:そうそうそう。

ブルーマウンテンズはジャムバンドか?

中:特に「空中遊泳ベイビー」のグルーヴ感は個人的にも凄く好きです。
青:おお、そうですか。
中:先日のライブ(3/15渋谷クアトロ)でもいきなり2曲目に演られてましたよね。
青:今回は「曲少なめ、演奏長め」でいこう、っていうのがあって。
  でも難しいっすね(笑)やっぱりジャムバンドの人たちは凄いなあって。
中:先日観たボブ・ディランの影響もあったり?
青:影響?(苦笑)。でもディランはそんなに曲を長く引き伸ばしてるって感じでは
  なかったですよ。行かなかったっすか?
中:行けなかったんですよ。都合がつかなくて。ただ、雑誌とかで見る限りでは「今の
  ディランはジャムバンドだ」と断言しているものもあるじゃないですか。
青:そこまでじゃないなぁとは思ったけどねえ。まあ、自分の場合もそう
  だけど、ただ曲をポンポンと聴かせるような感じよりは(自分達が)
  演奏を楽しみたいなという気分にはなっていますね。
中:前後の曲が有機的に絡むというか、いい具合に繋がっていっていたように思えたん
  ですよね。
青:更に繋がっているような感じがあればいい   かな、とは思いますけど、なかなかね、   まだそこまでの力量には達していませんよ。   アメリカのバンドとか、皆ツアーにツアーを   重ねてああなっていくってところがあるから。 中:でも、こういう言い方は失礼かも知れません   けど、今のブルーマウンテンズは安心して   観ていられるんですよ。今までだと、演奏も   青山さんも凄くいいんだけど、バンドとして   の噛み合わせが上手くいってない時もあったり   して。
青:ああ、うん。まあ今でも沢山間違えてはいるんだけど(苦笑)そんなに気にならない   状態にはなってきているかも知れない。 中:間違いも演奏の一部として取り込めてしまえると、いうことですね。   歌詞の話に戻るんですけど、さっきのレコーディング中に使ってた歌詞カードの   ところで、「空中遊泳ベイビー」の最後のアドリブで、ザ・バンドの「ある曲」の   フレーズが入るじゃないですか。 青:はいはい。 中:あれってその場の流れで無意識に入れてしまったのかと思ってたら、きっちり歌詞が   入れてあって(笑) 青:あ(笑)違う違う。最初のリズム録りの時にアドリブで唄ってたんだけど、凄い   いいかげんに唄ってて。でもかっこよかったんで後でちゃんと唄いなおそうと思って。
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