そういう時期なのである
虹野:ん? 渉部君どうしたの? 床に寝そべったりなんかして。
渉部:ね、ネタが、な、ないんだな。
虹野:そ、そうなの……。でも床に寝てるのとネタがないのはあんまり関係ない気がするんだけど……。
渉部:ちなみに今、誰の真似したかわかった?
虹野:え、誰かのモノマネだったの?
渉部:裸の大将ですよ、裸の大将。
虹野:あ、そ、そうね、はは、はは……。
ガシャッドンガラガッシャーン! ガラガラガラ……。
虹野:きゃーっ!
渉部:どわーっ!
紐緒:ふん、あいかわらずくだらないことやってるようね。脳みその使い方としは最低レベルだわ。
虹野:ひ、紐緒さん!
渉部:あ、ほんとだ。あーあぁ、紐緒さーん、来るなら来るでちゃんと入り口から入ってきてくださいよー。わざわざ壁壊して入って来なくても……。
紐緒:私に命令するつもり?
渉部:ちょ、スタンガンは無しですよ。
虹野:あ、あの、紐緒さん、今日はどうしてここに?
紐緒:どうして? ふん、決まってるじゃない、そこにいるモルモットを実験室に連れていくためよ。
渉部:また、そんなこと言って。ほんとは誕生日祝って欲しかったんでしょ?素直じゃ……
バチバチッ!
渉部:ぎゃっ!
虹野:きゃっ! 大丈夫渉部君? 紐緒さん、乱暴なことはやめて!
紐緒:まったく情けない男ね。それじゃモルモットとしての価値さえ怪しいものね。
渉部:……ち、違うんですか?
紐緒:あなた達のような無能力者にわざわざ祝ってもらわなくても、私が洗脳した全世界の優秀な下僕達がこのすばらしい記念日を盛大に祝っているのよ。いまさら幼稚園児のお遊戯程度のこともできないあなた達になにができるっていうの?
虹野:そ、そこまで言わなくても……。
まあ、そういう時期なのである
渉部:でもよかった。ちょうどネタがなくて困ってたとこなんですよ、助かるなあ。
紐緒:あなた、私をなめてるわね。それなら開発中の新兵器の実験台にしてあげるわ。
虹野:渉部君!危ないっ!
ビーーーー!
チュドーム!ドガーム! パラパラパラ……。
渉部:あ、あぶねえ……。あのー、今、目からビーム出てたんですけど……。
紐緒:どうやら思ったより敏捷性はあるようね。それに屈服陽電子砲の調整もまだまだだわ。
虹野:よかった……。
渉部:紐緒さーん、なんか気に障ること言いました?
紐緒:私をネタ扱いしたことがなめてると言ってるのよ。そんなことも説明しないといけないなんて、まったく単細胞にも程があるわね。
虹野:いくらなんでもやり過ぎなんじゃ……。
紐緒:やり過ぎ? モルモットに気を使う科学者がどこにいるというの? 第一、ろくにボキャブラリーの無いあなたに意見される筋合いなどないわ。あなた、ちょっと人気あるからってのぼせ上がってるようね。超純水で強制冷却してあげてもいいわよ。私は邪魔するものには例え女だろうと容赦しないわ。
虹野:そ、そんな、意見だなんて……。そ、それに、のぼせあがってもいません!
渉部:みなさーん、仲良くしましょうよ〜、ね?
紐緒:仲良くですって? なぜ私があ、なた、タチゴ、ト……。
渉部:あれ、紐緒さん、ど、どうしたんですか?
ズガーム!
渉部:だーっ!
虹野:きゃーっ!今度はなにーっ!
ガラガラガラ……。
紐緒:バッテリー切れね。理論値より3.24ナノセコンド遅かったようだけど、この程度なら許容範囲だわ。
虹野:??? え、紐緒さん? そんな、紐緒さんがもう1人……。
渉部:また壁壊して……
とにかくそういう時期なのである
渉部:あれま、ついにクローン実験にまで手を出しちゃいましたか……。
紐緒:クローン? あなた達、今の私の話をちゃんと聞いてなかったようね。
虹野:わかった! 紐緒さん、実は双子だったのね。
紐緒:真性の馬鹿ね。脳改造してあげてもいいわよ。いい、これは私が開発した瞬間人間複製メカなのよ!
渉部/虹野:しゅんかんにんげんふくせいめか〜?
紐緒:その様子だとまったく理解できてないみたいね。いいわ、あなた達のアニサキスよりも低レベルな頭脳でも瞬時に理解できるように今、実演してあげるわ、フフフ……。
渉部:アニサキスより低レベル……。
虹野:渉部君、アニサキスってなに?
渉部:アニサキスってのはね、
紐緒:うるさいわね、今はアニサキスの事なんてどうでもいいのよ! この私が生み出した超超ハイテクノロジーの結晶を特別に拝ませてあげると言ってるんだから黙ってみてなさい!
渉部:そうさせていただきます……。
だからそういう時期なのである
紐緒:このメカの凄さをわからせるには、まずはメカを元の状態に戻す必要があるわね。
ピッ!ミュミュミュミュミュミュ……。←縮小音
虹野:あ! 紐緒さんがちっちゃくなっちゃった。すごーい!
渉部:文章だとわかりにくいなあ、この状態……。
紐緒:鼻がスイッチになっていて、押せば普通の状態に戻るわ。そしてもう一度押せば、押した人間とそっくり同じ状態にトランスフォームするのよ。
ピッ! ビュロビュロビュロ……。←複製音
虹野:あ! ほんとだ!
渉部:(コピーロボット……)
紐緒:さらに、こうやっておでこを合わせればメカの記憶を簡単に自分のものにできるわ。
渉部:(コピーロボット……)
虹野:ほんとに同じになっちゃうんだね、私には区別つかないわ……。
紐緒:ふふ、当然ね。
渉部:虹野さん、こっちの鼻が赤いヤツが偽者だよ。
ピッ! ミュミュミュミュミュミュ……。←縮小音
虹野:あ、ほんとだ!渉部君、よくわかったね、すごいわ−!
紐緒:な、どうしてそれを!?
渉部:どうしてって言われても……。
紐緒:猿知恵しか持たないあなたにこんな簡単に見破られるなんて、改良の余地があるわね。
渉部:そんなこと言われてもなあ……。
紐緒:それからあなた、私をネタ扱いするとはいい度胸してるじゃない。
渉部:その話ならさっき……。
紐緒:私は今知ったのよ! これでもくらいなさい!
渉部:ちょっと、待って〜!
虹野:危ない!
ボカーム!
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