閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 

  (集英社新書)    水野 和夫 (著)    2017/5/17


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未来社会を考えるヒントを与えてくれる本, 2017/8/31

長期にわたるゼロ金利が示すものは、投資しても利潤の出ない資本主義の終焉と歴史の危機。そこから生き残る途はどこにあるか、と著者は問います。資本主義は「より遠く、より速く、より合理的に」をめざしてやってきました。これからの社会は「より近く、よりゆっくり、より寛容に」で行くべきだと著者は言います。

グローバリゼーションを追求した結果、もはや辺境はなくなり新たな市場は得られなくなった。地域に根を下ろした経済を構築するのが良い。右肩上がりどころか瞬時に投資先を割り出し利潤を得る金融工学は限界そのもの。四半期決算さえやめて手間ひまかける経済を大切にする。テロは戦争で片付けられるものではなく寛容の精神でこそ和解に持ち込むことが出来るはずだ。これらの事例が、本書ではもっと多面的・実証的に語られます。

現在の日本の現状、世界の情勢などを頭におきながら本書を読むと、図表も多用されていますますので、納得出来るところが多いです。未来社会を考えるヒントを与えてくれる本です。

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