「耕す文化」の時代―セカンド・ルネサンスの道
                         木村 尚三郎著
PHP文庫

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今、まさに輝きをます『「土」の文化の時代』への誘い, 2006/4/9

新しい「農」の時代よ来たれ。来たるべきは、「土」の匂いのする、大地にしっかり根を張った豊かな文化の時代、という木村さんの主張は、今、まさに輝きを増していると思う。

この本が、最初に単行本で出版されたのは1980年代末のことであった。その後、10数年、ベルリンの壁がなくなり、失われた90年代などといわれた時期を経て、インターネットや携帯電話のIT社会の形相を強くし、おおいに変化したかに見える。が、現実には、国際的、国内的に格差社会が出現し、福祉・医療は切り下げられ、若者には職が無く、あっても低賃金等々、庶民にはますます住みにくさが拡がっている。木村さんが、この本を書くにあたって前提とされた社会の傾向はますます強まっているように見える。だから木村さんの主張が一層切実に響くのである。

木村さんは、専門であるフランス中世史の蘊蓄をもって現代社会を読み解き、多くの証拠を示しながら来るべき社会のあるべき姿を描いてくれる。しかし、一旦、その主張に納得した上で、さてそのような社会をどう実現するか、と考えた時、それがとてつもなく革命的な大事業ではなかろうか、と思えてしまう。そのあたり、読書子の見解はいかがであろうか。

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