Weekly Needs 号外(1996.8.23発行)
去る8月10日土曜日から13日火曜日までの間、長田区御蔵通5丁目と菅原市場東側駐車場で「みすが夏まつり」が開催されました。
主催したのは、御蔵通5・6丁目まちづくり協議会とボランティア団体などで構成された「みすが夏まつり実行委員会」でした。
メイン会場となった空き地には、全国各地から寄せられた七夕飾りが飾られ、朝鮮歌舞団の可憐な舞や沖縄エイサー・明石海峡鬼面太鼓の威勢の良い太鼓の音が鳴り響き、訪れた方々は楽しいひとときを過ごしていました。
10日には、菅原市場にも金魚すくいなどが出店され、たくさんの七夕飾りの下で子ども達が遊んでいました。
最終日には、河内音頭の高らかな歌声に合わせ、多くの人に盆踊りを楽しんで頂き、華やかに祭りの幕を閉じました。
(詳細記事は、裏面)
この地は区画整理地区で、未だ仮設といえども戻ってこられた所帯は3割を越えない状態で、商店・市場もかつてのにぎわいにほど遠いものです。また、地主にすれば全て失っての減歩、家主にしても焼失しての再建と新しい建ぺい率の、店子にしては早く戻りたいが新家賃の問題など、権利関係も複雑に絡み、なかなか戻れないのが実状です。ともすれば悲観的に考えがちのところ、この見たこともない優美な七夕飾りのもとで、太鼓や歌に踊り、人形劇や落語会、ビンゴゲームで楽しんでいただきました。そして最終日、台風が近づき、どうなるかと思われましたが、神戸が終焉の地である河内豪族・楠正成の音頭語り、パラついた雨をものともせず踊り子たちにまじって、たくさんの地元の方々が参加しての二重三重の輪になっての河内音頭の盆踊りと、ホントに賑やかな3日間を送らせていただきました。きっとこの『みすが』の街の復興への大きな前進と確信致します。
今回の「祭り」にご協力下さった皆様、当日お越し頂いた皆様に、心より感謝申し上げます。
(みすが夏まつり実行委員長:田中 保三)
古川市のコンテスト、 1等賞作品 |
金魚すくいを楽しむ 子ども達 |
ライトアップされた 七夕飾り |
会場に飾られた七夕飾りは、古川(宮城県)・福岡(福岡県)と「三大七夕」で有名な仙台(宮城県)・平塚(神奈川県)・尾張一宮(愛知県)で実際に飾られたものを贈っていただき、仙台の有志による「神戸に宮城の七夕を飾る会」のご協力により会場を彩ることが出来ました。そのほか、「巨大七夕飾り」を引き立てた数々の笹飾りは、一見よくある笹飾りではありましたが、復興を見守る全国数百人の方々が自分を写したポラロイド写真に”神戸への応援メッセージ”を添え書きして吊したユニークな笹飾りだったり、子ども達の手作りによる七夕飾りや、当日会場に来られた方々が願いを込めてその場で書いた短冊を飾りつけた笹飾りなど、一つ一つに想いの込められた笹飾りでした。そして、会場の入り口には、古川の七夕まつりのコンテストで一等賞に輝いた作品が飾られ、通りすがりの人たちも思わず立ち止まり目を奪われていました。
初日の10日は「プロジェクト1・2」の濱野貴代さんの司会進行で催しが進み、御蔵5・6の集会所で人形劇や桂団朝さんの落語会が行われ、その後メイン会場のステージに戻り、「ゆい」によるペルーの民族音楽『フォルクローレ』が披露されました。そして最後は「がじまるの会」の『沖縄エイサー』で1日目の幕を閉じました。
2日目の11日は「プロジェクト1・2」の代表を務めるフリーアナウンサーの有光るみさんの司会で進行され、三菱重工の「闘鼓会」による『明石海峡鬼面太鼓』の雄壮な響きで始まり、「朝鮮歌舞団」が可憐な舞と歌を披露。集会所で人形劇が行われたり、ステージで「四紀会」のジャンボ紙芝居が披露され、合間には日本大学の学生による『クラウンタイム』があり、子ども達もステージの上に上がってはしゃぎ回っていました。2日目の最後には、全員に商品が当たるビンゴゲームが行われました。1時間30分のビンゴ大会では、お客さんも司会の有光さんもハイテンションになって盛り上がっていました。
雄壮な 明石海峡鬼面太鼓 |
観客を魅了させた 「朝鮮歌舞団」 |
12日は中休みになり、13日には「河内音頭連合会」から河州光丸さん・五月家一若さん・鳴門家寿美若さん他の皆さんに来て頂き、「第2回がんばろな神戸 河内盆踊り大会」を行いました。現在、仮設住宅に移り住んでいる方々も来て頂いたようで、世間話に花が咲いていました。
熱唱する河州光丸さん | 河内音頭にのって みんな踊りだした! |
遊びに来て下さった方々も、実行委員会のスタッフも、みんなが色々な思い出をお土産にして会場を去り、「みすが夏まつり」は幕を閉じました。
(吉田 のぶ)
七夕に願いを… | 祭りを楽しむ 浴衣の少女 |
<制作スタッフ>
編集長 : 吉田 信昭
副編集長: 小野 幸一郎
タイトル・イラスト:加瀬 久美
写真撮影: 金原 雅彦