「Weekly Needs」1996.9.5号(Vol.3 No.12)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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「地蔵盆でまた会いましょう」


 毎年8月23日、子ども達は大きな袋を持ってまちをまわる。まちの方々に祭られているお地蔵さんを拝んだらお菓子を入れてもらえるから。7つ以上のお地蔵さんを巡り、袋の中はまたたくまにお菓子で一杯になって、子ども達は意気盛んに帰途につく。

 今年も地蔵盆の季節が訪れ、長田のまちのあちこちでお地蔵さんをまつる提灯のあかりが見受けられました。この日には、今は散り散りで暮らしているかつてのご近所さんも集い、賑やかに和やかに夕べを過ごした所も多かったでしょう。

 「すたあと長田」のプレハブが建つ御蔵通5・6丁目地区は、震災前は10以上のお地蔵さんがあったのですが、今年はたった2ヶ所でしか地蔵盆は行われませんでした。寂しい限りです。僕がお呼ばれされたのはその内の1つで、そこは今、地区に戻られている3軒の方々が準備をされました。

 そこのお地蔵さんはとっても優しい顔をされた「子抱き地蔵」。このお地蔵さんはそこで30年以上にもわたり、隣保のみなさんに慕われています。震災の時には前に置いてあった線香立ての器の中に頭から突っ込んでいたので損傷はまぬがれ、その後起きた火災による被害もちょっとだけ『火傷』を負っただけで無事でした。そして隣保の方々にも犠牲者は1人も出なかったのです。

 地蔵盆当日。招いて下さったOさんご夫妻のご好意で鉄板焼きが振る舞われ、ボランティアの若者とまちの方が一緒になっての大賑わいとなりました。でもやはり、まちの方が少ないのが気がかりなところ。

「今年は若い子(ボランティア))がいるけども、来年はどうなるかなぁ。(地蔵盆は)今年が最後かも。」

 Oさんのそんな言葉が胸に残ります。でもちょっとだけ勝手なこと言わせて下さい。
 年に1度のお地蔵さんを囲んでのこのささやかな集いはとっても素敵です。このまちの先行きは不透明ですが、お地蔵さんがいる限り、きっとまたみんなの気持ちが集えると思うのです。ですから、ぜひまたやりましょうよ。その時はもっと多くのまちの方と、できたら今回一緒に盛り上がったボランティアのみんなも集えたらいいなと、僕は勝手に思います。

みなさん、よかったら
 「地蔵盆でまた会いましょう」

(小野 幸一郎)


インフォメーション


◆生活支援金(義援金)の交付申請開始
 交付の対象となるのは、震災当時の世帯構成を基準として、当時住んでいた家が震災により、全焼・半焼・全壊・半壊の被害を受け、世帯の中で最も収入の多い人の平成7年分の総所得額が690万円以下の世帯です。
 詳しくは、8月20日(火)発行の「広報こうべ特別号」に載っています。
【交付額】1世帯につき10万円
【申請書の配布】各区役所、支所、出張所など
【申請方法】11月29日(金)までに必要書類を郵送
【問】078−271−5554

◆新長田駅北地区土地区画整理審議会委員選挙
 選挙人名簿は9月4日(水)〜17日(火)にジョイプラザ4階の現地相談所でご覧いただけます。立候補の受付は9月27日(金)〜10月7日(月)。投票は、10月20日(日)。
【問】神戸市復興区画整理課新長田駅北地区
 078−322−6265

◆新長田駅南第1地区再開発事業計画案の縦覧
【期間】9月11日(水)〜24日(火)
【場所】新長田南再開発事務所(長田区日吉町1‐2、078−691−4951)
    と市役所内再開発課(078−322−5510)
※意見書の提出は10月8日(火)までに上記の場所へ。

◆食中毒にご注意下さい
 全国的に深刻な問題となっている「O‐157」などの病原菌による食中毒は、手や調理器具を清潔にし、食品によく火を通す、調理した物をなるべく早く食べるなどの普段の心がけで感染を防げます。
 また、各区役所保健部(以下、保健所)などで「O‐157」の感染を調べる検便を無料で受け付けています。
 その他「O‐157」に関するご相談は、各保健所か
 「O‐157相談窓口」078−322−5073で受け付けています。
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの連絡先、または「すたあと長田」までお問い合せ下さい。


防災に対する心構えは万全ですか?


 9月1日は、防災の日でした。
 73年前には「関東大震災」が起きたこの日、全国各地で防災訓練が行われました。災害は、一人一人の気持ちの持ち方で被害を小さくすることが出来ます。震災の教訓を生かすべく、今一度、身近なところから見直してみませんか?

◆台風や大雨による土砂崩れに備えましょう

◆避難所を改めて確認しましょう
 避難勧告が出されたら、直ちに避難所に避難して下さい。そのためにも、日頃から避難所と、避難経路を確かめておきましょう(6月15日発行の「広報こうべ臨時号」に掲載されています)。
※以上、広報こうべ9月1日号を参考に作成しました。


みんなの伝言板


 皆さんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」まで)

★「梅田隆司君を語る会」
 ピースボートのスタッフとして昨年1月24日から3月末まで、「デイリーニーズ」発行など長田でのボランティア活動をしていた梅田隆司さんが、不慮の事故により8月26日、急逝されました。享年29才でした。
 神戸でも活躍されていた梅田さんを偲び、「梅田隆司君を語る会」が行われます。ゆかりの深い方々に、是非ともご参加いただきたく思います。
【日時】9月15日(日)午後1時から
【場所】兵庫県勤労市民センター(JR兵庫駅北側)
 ※内容などは、まだ未定です。
【問】ピースボート:03−3363−7561(担当:山本隆)
   もしくは、すたあと長田:078−521−7170(担当:菅田)まで

あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第13回


かん:
夏も終わり、高速道路が月見山まで開通。大阪方面から、工事で長田へ来る人は随分と楽になったようだ。
あき:
大橋のインターチェンジで、久し振りに、車が出入りする姿には感動したわ。でも、あの大きな高速道路がつぶれたという事実も忘れちゃいけないわね。
かん:
それにね、高速道路が一時的に撤去されたとき、空って、長田でも、こんなに大きいのかと思ったもんだ。
あき:
震災後、二度目の秋。風の音、虫の音、草花……。いつもの秋だけどなかなか気持ちにゆとりが持てないわ。
かん:
震災復興は、残念ながら、まだ時間がかかりそうだから、少し、図太く生きる事も大切だよね。今年の秋は更地の雑草と共に、中秋の名月を楽しんでみるとかね。
あき:
昔、家のあった更地を見るのはつらいものがあるけれど、更地は二十一世紀に向けて新しくものが生まれてゆく空間と……前向きに考えましょうよ!!
※区画整理地区の鷹取第一地区で、やっと「仮換地」が一部実施された。住宅建設の一歩が始まった。鷹取駅下車、東へ五分。ぜひこの地を見ておいてほしい。

(和田 幹司)

8月31日に開通された区間に位置する湊川の料金所を自動車が行き交う

 

○すたあと長田の『サタデーエクスプレス』○

ミニFMラジオ局“FMわいわい”より放送中
 毎週土曜日午後2時〜2時55分
 周波数77.8MHz

 すたあと長田のスタッフが素人の本格志向で、毎回さまざまな方面の方々にゲスト出演していただき(病院の院長さんやまちづくりの専門家など)、長田の今後や現在の問題などを考える……という真面目な話をしてみたかと思うと、まちで出会ったおかしな話をしたり、とにかく笑いあり、涙あり、皆さんに楽しんでいただける放送を心がけています。
 是非、一度聞いてみて下さい。

 


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により各地区の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    河合 敏雅・吉田 信昭
版下:      吉田 信昭
印刷:      渡部 拓哉
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田 慈子・橋本 吏賀
ワープロ入力:  田村 圭子・山崎  力
※インターネット・ホームページ:
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numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp