「Weekly Needs」1997.5.1号(Vol.3 No.29)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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=かんちゃんの ながたものがたり (第4回)=


 久しぶりに、いいニュースがとびこんできた。
 東尻池町2丁目にある宝満寺(ほうまんじ)の大日如来(だいにちにょらい)の像が、国の重要文化財になる予定とのことである。

 

 あたらしい国の宝が、長田に生まれるのである。宝満寺も震災で、おおきな被害をうけたのだが、このお寺の、ご本尊の修理で、ほとけさんの体のなかの、金や銀のそう飾や胎内にある、もう一つの仏像も、くわしく研究され、価値のあるものと認められた。

 808年に弘法大師がひらいたという、また、源平の合戦でも、湊川の合戦でも、陣などがあった歴史のある、お寺でもある。

 お寺の境内のおじぞうさんの横に、ふたつの石碑が、たっている。江戸時代のはじめ、この地域におおきな飢饉があり、むらびとの多くが、困りはてたときに、殿さまの青山公は、税金をとらなかったという。 そこで、家老の天野さんと、殿さまに感謝して、ふたつの石碑が、お寺の庭に、いまも残っているのである。

 さて、今回の震災では、たくさんの人が、ほんとうに、困りはてている。さて、さて、『良い政治を』と、われわれ村民は、お願いするばかりだ。

(和田 幹司)

からだの中も、こころの中も
 宝がいっぱい

気がつく人は、少ないけれど
 からだの中も、こころの中も
あふれんばかりの宝がいっぱい

地震のあとで、みつけたけれど
 時間がたって 宝はどこに
やっぱり たからはあるんだよ
からだの中に、こころの中に

▲宝満寺(ほうまんじ)


「思い出増やしてな」〜離れても応援続けます〜


 「SVAのこと忘れへんよ」仮設住宅のおじさんが私の肩をたたいてぼっそりとつぶやいた。そして涙を浮かべながら次のような話しをしてくれた。

「人生なんて半分が思い出やあ。そのうちの半分が良い思い出やったらそれはそれで幸せなんやあ。震災はあったけどわしは、幸せやと思ってなあ。SVAはたくさん思い出くれたんやからなあ。お茶会のチラシに『SVA』って書いてあるだけでその日が来るのが楽しみやったからなあ。たくさん遠くからボランティアが来られたやろ。全部良い思い出やあ。おおきになあ」

 思わず私まで泣いてしまった。本当に嬉しかった。あの震災から2年3か月。国際協力をしてきた団体とはいえ国内での支援活動は手探りに近かった。しかし、おじさんの言葉は「NGOとして草の根の運動が国内でできたのかな」と手前みそながら思えた瞬間だった。

 SVAは神戸から拠点を東京に戻す。これは神戸の問題が終わったからではない。神戸の問題を日本の問題として考えるために戻るのである。SVAの仕事はこれからが勝負なのだろう。

最後に、おじさんへ
「これからだって、おじさんの思い出を作ってくれる人はたくさんおるから、さみしくないんよ。良い思い出増やしていこうな。本当に本当におおきに」

(SVA神戸事務所: 喜多村 慎子


※喜多村さんは、一昨年の2月上旬から2年余りの間SVAのチーフ・コーディネーターとして活躍され、今年4月中旬からはSVA東京事務所・地球市民課に勤務されて神戸への後方支援の仕事もしております。

※SVA(曹洞宗 国際ボランティア会)は3月末に神戸を離れて東京からの後方支援に活動内容を変え、SVAから生まれた『春風会』と『ひまわり会』の2つのグループが引き続き長田区などでの支援活動を行っております。


インフォメーション


◆被災 高齢者世帯等 生活再建 支援金◆
 4月17日から、申込書を区役所・出張所などで配布しています。4月25日から申し込みを郵便で受け付けています。くわしくは『広報こうべ 4月1日号』か、『同・特別号49号』をご覧ください。
【問】078−271−5376(土、日、祝日休み)

◆宅地臨時相談コーナー◆
 宅地のようへきや石垣の安全、修ぜん相談、融資相談に応じます。相談に行くときはその石垣の写真があれば持っていってください。
【日時】5月1日(木)〜5月13日(火)
    午前10時〜午後6時 (水曜日は休み)
【場所】神戸・復興住宅メッセ 第一会場 宅地相談コーナー
【問】市役所 建設局 宅地開発 指導課
【電話】078−322−5411〜5415

◆たべもの教室 (一般コース)◆
 料理を作りながら正しい食生活を学ぶ教室です。
【日時】5〜9月の第2水曜日(8月は第1水曜日)
    午後1時〜4時 5回シリーズ
【費用】無料
【場所】長田保健所6階 栄養実習室
【対象】65歳未満で5回とも出席できる人
【申し込み】電話で長田保健所へ(078−579−2311)

◆酒害ほっとライン◆
 お酒によっておこる健康問題、家庭問題に同じなやみを持つ人や家族がこたえます。
【受付時間・電話番号】月〜金曜日
           午前9時〜午後5時・078−651−5909
           午後5時〜10時  ・078−681−8325

◆サルビアの種の配布◆
 長田区の花、サルビアの種を無料で配っています。
【場所】長田区役所3階 まちづくり推進課


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★映画「GAMA−月桃の花」上映のお知らせ★
 「沖縄県民の目から見た沖縄戦を描いた映画」として全国的に大きな反響をいただいています。沖縄の叫びが平和と地方自治を問い直している今、ぜひとも ご鑑賞ください。

【日にち】5月17日(土)
【上映時間】午後3時〜5時10分・午後6時30分〜8時40分
【場所】蓮池 小学校 体育館(神戸高速西代駅 山側)
【チケット】(兵庫県共通です)大人 前売り1,400円
※なお、高齢者(65歳以上)・障害者(身体・精神障害・療育手帳を持ってる方)の前売り券は1,000円です。
【連絡先】GAMA「月桃の花」長田区 上映実行 委員会
 武田 通子さん : 030-920-1648


超巨大 長田どんちゃん鍋


 日、長田区の菅原市場横で“長田どんちゃん春祭り”が催され、目玉の一つ、どんちゃん鍋(1杯100えん)が雨の中たくさんの人でにぎわっていました。

 味付けは和風・フィリピン風・朝鮮風の三種。大鍋と共にやって来た丹波・丹南「四季の森」会館のスタッフと長田の主婦達、関部屋の力士2名が花をそえ、まわりはお客さんでいっぱいでした。

 

※鍋のサイズは屋根まで入れるとタテ4メートル・ヨコ3メートル。
 11トン車で長田に運ばれて来たんだよ!

 

【文】金田真須美(すたあと長田)
【画】山田 光(NGO仮設支援連絡会)→


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路・大阪など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・加瀬久美・瀬戸綾子・橋本吏賀
ワープロ入力:  田中洋子・横田ゆり・和田幹司

《すたあと長田 ウィークリーニーズ編集部より》
 『ウィークリーニーズ 〜まちから仮設へ 仮設からまちへ〜』に対する、ご意見やご希望をお聞かせください。これからの紙面づくりの参考として役立てたいと考えています。



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp