「Weekly Needs」1997.1.23号(Vol.3 No.22)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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3年目を迎えて(その1)


「仮設住宅から」
 1995年1月17日の震災より2年がすぎ、被災した人たちによる個々の努力も限界に達しようとしているように思われます。
 国会では震災のことが風化し忘れ去られようとしています。国が被災者に対して最低限の義務も果たさないのであれば、国民の納税義務も果たさなくていいのではないか…と思われます。今までまじめに税金を払ってきたのは何のためか、考えさせられます。
 一日も早く個人補償(見舞金)が実現するよう心から望みます。

(西神第15仮設住宅住民:木村 文廣)

 

「それぞれの町の復興」
 「ここ(鹿の子台)には飲み屋が一軒もないんか?」長田区内の避難所からきたという男性が本気で驚いていたのを、今でもおぼえています。「仕事の帰りに一杯、仲間とおいしいお酒がのめる町。」そんな長田に帰る日を、ここ北区鹿の子台の仮設住宅でも、たくさんの方が待っておられます。
 そして、”仮設住宅の皆さんがふるさとへ帰れること”は、仮設住宅が解消するまでは児童館や集会所を建てることができない鹿の子台の住民の願いでもあります。

(鹿の子台ボランティア連絡会:西野 貴美子)

 

「震災3年目をむかえて」
 仮設住宅内でいろいろな事件がおきているが、今後も何がおきるか予測も立たない。痛みをわかち合ったあの時が懐かしい。「住民同士の中傷」はては「ボランティアに対する中傷」など日々悩むことが多い。このままでは、二次被害者・三次被害者が出てくる。活動に対して心が離れていくのでなく、離される外的なストレスが蓄積する。
 住民のストレスも限界である。一日も早い恒久住宅への転居促進が、生きる望みに繋がる。このままでは『心まで貧乏になってしまう』。

(姫路こころのケアネットワーク代表:岸岡 孝昭)



インフォメーション


◆災害復興住宅(特定 優良 賃貸住宅)入居者募集◆
【申しこみ書類】区役所、出張所、市住宅供給公社などにあります。
【申しこみ方法】入居申しこみ書に必要なことを書きこんで郵送してください。
【送り先】神戸市 住宅供給公社 特優賃 募集係
     〒650 神戸市中央区三宮町1丁目9番1‐1201
【〆切】2月3日(月)消印有効。2月5日(水)必着。
【問】神戸市 住宅供給公社 特優賃 募集係
【電話】078−332−1538(1月20日〜2月3日)

◆確定申告 説明会◆
税金のことはわかりにくいものです。まず、説明を聞いてみましょう。
【場所】長田区役所 7階 大会議室
【日時】1月30日(木)、31日(金)
    午前9時30分〜12時、午後1時30分〜4時

◆所得税の還付申告の相談◆
税金を納めすぎていませんか。「還付申告」をしたら返ってきます。
医療費をたくさん使った人、ぜひ相談してみましょう。
【場所】旧・長田区役所
【日時】2月3日(月)〜2月14日(金)
    午前9時〜午後5時
上の2つは
【問】長田税務署:078−691−5151

◆追儺式◆
長田神社の節分の行事で兵庫県の無形文化財に指定されている『追儺式』が行われます。
【場所】長田神社
【日時】2月3日(月)午後2時から
【主催】追儺式奉賛会・長田神社


3年目を迎えて(その2)


「被災地3年目の意味」
 これまでは道路・家などの復旧工事が地域経済の落ち込みを一応防いでいたが、これが一巡した。3年目にはいり、被災地の「くらし」はさらに大変になるだろう。
 避難所が第一段階。仮設が第二段階。3年目、不足しているとはいえ恒久住宅が次々にできあがってくる。まちづくりを含め、その恒久住宅に住み始めて、5年後、10年後に何が起こってくるか、今から考えていく必要がある。第三段階に入ったと思う。これからが正念場だ。

 大震災そのものは本当に悲惨な経験だった。しかし直後1ヶ月は全ての住民とボランティアの心と心のふれあい・助け合いを経験することができた。いわゆるユートピアを実感できた人は少なくない。その後も貴重な体験は続いている。この共有財産を21世紀に生かしていこう。

(神戸協同病院院長:上田 耕蔵)



みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★大橋中学校の閉校に伴う全体の同窓会★
 ことしの4月1日より、大橋中学校と苅藻中学校が統合し、新しく、長田中学校という学校が生まれます。
大橋中学校では、同窓会が計画されています。
1回〜47回の卒業生と職員のみなさま、お集まり下さい。
【日時】1997年(平成9年)2月9日(日)午後1時から
【場所】大橋中学校 体育館
【連絡先】神戸市長田区細田町1−2−7
     「大橋中学校 同窓生係」まで。

 

○すたあと長田『スタッフ募集』○

・絵や文章を書くのが好きな人
・ワープロやパソコンに興味がある人
一度 すたあと長田にきて下さい。

 


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第23回


かん:
御菅地区の追悼式に参列し、たくさんの涙をながしてきたんだけど、被災者のぼくたちも、もう多くのことを忘れかけているね。
あき:
亡くなった、おひとり、お一人の名前をお坊さんがよみあげるのを聞きながら、こんなにいっぱいの犠牲者のかたのこと、ご遺族のこと……忘れかけている自分に気づいたわ。
かん:
このかたたちの思いのこもった地に今ぼくたちは住んでいるんだね。
あき:
長田のひとが一番、もと住んでいた地に戻りたい人が多いって、聞いたわ。ひとのこころがやさしい町だったから……。
かん:
震災3年めの町を、鷹取、西代、駒が林などあるいて、下町のたたずまいの残ってる所を見つけるとほっとするね。
あき:
わたしも、長田港で海をみつめてきたの。はるか沖のかなたから、いいまち、やさしいまちを……というみんなのこえが聞こえてくるみたいだったわ。
※追悼式の法話より……
 「人生、明があり、暗がある。その中で、自分の姿勢をしゃきっと正して、まっすぐあゆむことを生活の中にいれてみてください。大変でしょうが、ほほえみも大切に。」
……山形県 池田好雄老師。

(和田 幹司)

駒が林神社


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
 各地区(市内広域・姫路・大阪など)の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
編集:      家田 慈子
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・瀬戸綾子・橋本吏賀
ワープロ入力:  横田ゆり・家田慈子
版下:      吉田信昭・金原雅彦
印刷:      横田 ゆり

 

《すたあと長田 ウィークリーニーズ編集部より》

※「すたあと長田」は、「ウィークリーニーズ」の発行を中心として地域のコミュニティづくりのお手伝いを目的に、自主管理で運営するボランティア団体です。

『ウィークリーニーズ 〜まちから仮設へ 仮設からまちへ〜』に対するご意見やご希望を、ぜひお聞かせください(電話・FAX・お手紙、なんでも)。
これからの紙面づくりの参考として役立てたいと考えています。

(『Weekly Needs』副編集長:吉田 信昭)
※吉田君は1月27日から今月いっぱい日本海にてボランティア参加の予定です。

 

「読者のみなさん、この新聞ほんまに役に立ってますか?
 読みやすいですか? 私はそれが心配です」

(すたあとスタッフ〜印刷担当: 横田 ゆり)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp