「Weekly Needs」1996.11.14号(Vol.3 No.17)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

前号へVol.3目次次号へ


わたしらも帰りたい 〜海のない盆地から〜


 奈良県は、東西南北いずれも海に面しておらず、山に登れば海が見える阪神間とは、かなり地形が違います。この、神戸から遠く離れた奈良に、震災のため奈良県内にひっこした人たちの会『ふきのとう』があります。その代表の米川広子さん(32)にお話を聞いてきました。

 『ふきのとう』では震災に関する情報をあつめて月一回会報を発行し、約120人の会員に無料で郵送しています。また『茶話会』『歩く会』を定期的に開いて、ふだん孤立しがちな避難者同士の交流の場をつくっています。会の人ならわかってくれるという安心感があるのか、みなさんよく話すそうです。ふだん、まわりには被災者がいないので言いたいこともたまるのでしょう。会報がとどくことで「自分は忘れられてへんのや」と安心する人もいるそうです。

 奈良県へは約350世帯が避難したといわれていますが、正しい数は被災地の自治体も避難先の自治体もつかんでいません。担当窓口もありません。行政はプライバシーの保護を口実に県営住宅の入居者の名簿などを見せないので、ボランティアのフォローもきちんとできていません。

 避難者は高齢者・母子家庭の人・持病がある人・病人をかかえている人など、避難所で仮設が当たるまで待つことができなかった人が多いそうです。力があるから県外へ出たのではないのです。ところが、県境を一本はさんだら家賃の補助や家の再建の支援が受けられません。復興住宅も仮設の人が優先です。震災直後にだれがこんなあつかいを計算に入れて避難したでしょうか。不公平をなくすにはやっぱり国が補償するべきでしょう。

 では、県外避難者は仮設の人をねたんでいるのでしょうか?

「仮設の人は得や、いや外へ出た人は力がある、いうてお互いに言い合うのはやめましょう」
と米川さんは言います。つづけて、次のようにも言っておられました。
「仮設の人も県外の私たちも、元のところに帰れる日を同じ気持ちで待っています。たまたま行った先がちがうだけで、外へ出たからいうて被災地のことを忘れたことは一日もありません。
仮設に残っている人も『自分たちだけ取り残された……』と思わないで、いっしょにがんばりましょう」

(横田 ゆり)


インフォメーション


◆精神障害者に福祉乗車証交付◆
 市営地下鉄やバスなどで使える「福祉乗車証」が、今月から精神障害者の方にも配られます。対象となるのは、精神障害保健福祉手帳の1級から3級をお持ちの方です。
 申し込みは、区役所保健部(保健所)でおこなってください。
 くわしくは、11月1日発行の「広報こうべ」を見ていただくか、区役所保健部(保健所)でお聞きください。
【問】保健福祉局育成課:078−322−5273

◆こころ咲かそうコンサート◆
 障害者のフォークバンドと「BORO」のコンサートがあります。入場は無料です。
【日時】11月30日(土)午後2時〜
【場所】長田消防署4階の長田区防災コミュニティ・ホール
※参加ご希望の方は、往復ハガキに住所・氏名・電話番号・人数をお書きのうえ
 〒653神戸市長田区北町3-4-3 長田ボランティアセンター
までお送り下さい。
【問】長田ボランティアセンター:078−579−2311

◆ 一七市◆
  山吉市場にある小規模作業所が中心になって「震災のことを忘れないように」とはじめた毎月17日の一七市ですが、今回は規模を拡大して開催されます。
 小規模作業所で作った物の販売や、激安の屋台がいろいろ出店するほか、野外ライブなどがあります。
【日時】11月17日(日)午前10時〜午後3時
【場所】山吉市場北側の広場
【問】長田ボランティアセンター:078−579−2311
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの連絡先、または「すたあと長田」まで、お問い合せ下さい。


長田区から永田町へ・被災地の声を届けよう!!


 きたる11月24日に長田区を出発、約1週間かけて東京の「永田町」まで自転車でむかい(!)政府・総理大臣へ「被災地の声」をつたえる、名づけて「自転車キャラバン」が、現在計画されています。
 じゅんびをすすめているのは、今年のはじめに「長田区に低家賃の災害公営住宅を!!」のよびかけで短期間に約7万人もの署名をあつめた「長田区に低家賃の災害公営住宅の大量建設を求める署名実行委員会」(ちょっと長い名前です……)です。同委員会では、現在以下の呼びかけを行っています。

○新総理大臣あての一言カード
総理大臣に届ける被災地の切実な声を募ります。
1万人以上を目標に、11月20日までに集めます。
○自転車に乗って東京へ行きたい人を募集中
通して参加できる方かんげい。期間中2日間以上の参加でもいいです。自転車のない方はご相談に応じます。
○活動資金募金のお願い
1口1000円で郵便振替口座を開設しています。

口座番号:01160−9−88420

「長田区に低家賃の災害公営住宅の大量建設を求める署名推進実行委員会」


11月24日(日)8時より激励集会をおこなった後、午前9時半「神戸の壁」から出発!
東京につくまでの間、京都・名古屋・清水・横浜で集会を行います。
【連絡先】神戸市医療生活協同組合本部内
     TEL:078−641−1654(不動さん) まで

(小野 幸一郎)


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

○働く仲間の手作りコンサート○
 「明日に香れ、月桃の花」と題して「第10回記念 働く仲間の手作りコンサート」をおこないます。沖縄戦の真実をつたえる映画「GAMA‐月桃の花」の主題歌や沖縄のこころを歌いあげるほか、エイサーや琉球舞踊などもあります。
 このコンサートは、会場にあつまる、すべての人でつくりあげるまつりです。ともに歌い、踊りましょう。
【日時】11月16日(土)午後6時開場
【場所】神戸朝日ホール
【チケット】当日券2700円(高校生以下1700円)
【主催】海勢頭 豊コンサート実行委員会
【問】神戸実行委:078−360−2171(古川方)

○第一回 世界鷹取祭○
 まちづくりを通して自分たちのまちを考えると、コミュニティの復興が必要だとおもい「世界鷹取祭」を開きます。
 まちかど・みどり・水をキーワードとして祭りをもり上げたいと考えていますので、被災されて遠くで仮住まいされている人にも、地域にかえってきて楽しんでもらえると幸いです。
【内容】ベンポスタこどもサーカス、大道芸、まちかど伝言板、
    まちかど写真てん、だんじりねり歩きなど、
    イベントもりだくさん!
【日時】11月23日(土)午前10時〜午後6時
      24日(日)午前10時〜午後3時
【会場】大国公園・大国公園南コミュニティ道路・
    鷹取商店街仮設店舗・鷹取駅前商店街など
【主催】世界鷹取祭実行委員会
【問】同委員会:078−736−2579

○第2回 フェスタin湊川○
 震災で被害をうけた、障害者の作業所を励ます目的で、はじめたフリーマーケットです。
【日時】11月24日(日)午前11時〜午後4時
【場所】湊川公園
【主催】「青い空★KOBE」:078−682−8278


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第18回


かん:
いい天気だったから、しんみなと川とかるも川を山のほうにむかって、あるいてみたんだ。
あき:
きもちがよかったでしょ!! 大橋中学のあたりからは、ジョギングコースもあり、散歩するのもいいわ。
かん:
川べりの公園にはね、まだ、ダンボールでボランティアの人たちがつくったおうちに住んでいる人たちもいるんだよ。
あき:
でも、みんなが少しずつ、元気をだしてきたみたいだわ!!
かん:
野球を楽しんでいる子どもたちもいるし、ゲートボールもやっているし……。
あき:
わたしはね、水天宮さんのあるあたりがすきなの。小さな滝のある『たきみ橋』もあって、かるも川をあがると、さかなもたくさん、およいでいるのよ。
かん:
しんさいのあと気づいたことは、ふるさとの山や海や川のうつくしさだ。道路わきに花をかざったり、空きカンやタバコののポイすてをなくしたり……みんなできれいな町をつくってゆこう!!
※「水天宮」や「滝見橋」の方へは、JR神戸駅・新長田駅、高速長田駅、地下鉄長田駅より、市バス4系統・101系統を利用。「大日前」や「西丸山町3」で下車。

(和田 幹司)

新湊川公園に
ある「戦災復興」
と書かれた彫刻


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により各地区の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
版下:      吉田 信昭
ワープロ入力:  横田 ゆり
印刷:      横田 ゆり
タイトル:    瀬戸 綾子
見出し・イラスト::家田慈子・瀬戸綾子・橋本吏賀
※インターネット・ホームページ:
../start/

※「すたあと長田」は、「ウィークリーニーズ」の発行を中心として地域のコミュニティづくりのお手伝いを目的に、自主管理で運営するボランティア団体です。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご希望、お気付きになられたことがありましたら、ぜひ、ご連絡下さい。投稿なども歓迎いたします。
(すたあと長田)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp