「Weekly Needs」1996.10.31号(Vol.3 No.16)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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魂の花を咲かせよう


 みなさん、どーも初めまして。『ソウルフラワー・もののけサミット』という楽団でアコーディオンを弾いているオクノと申します(なじみはうすいと思いますが、本業は『ソウルフラワー・ユニオン』というロックバンドをやってます。今じゃどっちが本業ということもないんですが)。もののけサミット? 何それ? どこかで名前を聞かれた方もおられるかもしれませんが、今、日本の音楽の最先端といえば私たち、ちんどんといえば私たち、出前ライブといえば私たち、ということで独特なちんどん屋さんスタイルで昨年2月ぐらいから被災地(長田もよく来たな)で出前演奏をしている楽団なのです。そうですね、今まで計70ヶ所ぐらいまわったかな。はじめは仮設・避難所で生活している人たち、それと俺らもふくめて生活のアクセントになればと思い、始めた演奏活動。メンバー各自、誰一人として慣れた楽器を持っておらず、アクセントどころか悪戦苦闘になってしまった。ただ、そういう出前ライブの数々、逆にこっちがパワーをもらいっぱなしで「そんなへたくそ聞きとーない」という声もなく、本当にみなさん素晴らしい笑顔で迎え入れくださいました。いやー これらの出来事は俺たちの宝物です。アリガトー。

 各地の仮設からクルマで1時間あまりで到着する大阪の自宅、ここには震災の足跡はない。だけど俺自身の心の中には震災直後から見てきた被災地、仮設・避難所で生活する人々、ボランティア諸君、行政側の行動・言動、すべてくっきりと残っている。俺らはソウルフラワー(魂の花)、音楽を仕事として演っている。見知らぬ人たちに音楽を届けることができ、伝えることができる。俺らが神戸で見てきた現状を各地方に音楽という形で種をまき、各地に花をさかせ、その花に魂がやどり、いろいろな人たちが動き出す。そんな、 バンドの名前通りのことができればいいなと思う。

 本当に神戸では、力をもらった。イチローも言ってた「継続は力なり」まさにその通り。この恩返しができるかどうかわからないけど、俺らの活動は続けていきたいと思っています。

 あなたの近くでソウルフラワーの名前を見かけたら、一度遊びに来て下され。

(奥野 真哉:おくのしんや)


ソウルフラワー・モノノケサミット
(中央が奥野さん)
今年7月、北区の仮設にて


インフォメーション


◆阪神・淡路大震災復興基金による家賃補助のお知らせ
 阪神・淡路大震災によりお住まいを失った方が兵庫県内の民間住宅に住む場合の家賃支払いを軽くするため、「家賃負担軽減補助金の制度」が新設されました。
 これは、住んでいる被災者と家主が共同で申請する制度なので、入居者だけでの申請はできません。
 対象となる入居者は阪神・淡路大震災の被災者で、1ヶ月の世帯所得が31万7千円以下で、震災以前に住んでいた住宅が無くなっており、現在、阪神・淡路大震災復興基金の住宅関係の支援制度を利用していない方です。
 そのほか、詳しい申請条件や申請方法については、10月25日(木)発行の「広報こうべ特別号 第45号」をご覧下さい。
【問】市住宅供給公社 家賃助成担当室
   ・078−332−3321
   市住宅供給公社の一般賃貸住宅の場合は、住宅サービス課
   ・078−332−2413

◆紅葉の散策会(森林植物園)
 植物園のスタッフが園内の紅葉をご案内します。色とりどりに深まる秋をお楽しみください。
【日時】11月10日(日)午前11時・午後1時30分、11月17日(日)午前11時
【問】森林植物園 078−591−0253
※11/7〜11/17、「もみじ散策クイズ」などイベント多数あります。

◆トルコ展
 トルコの輸出向け商品を紹介します。カーペットや金製宝飾品などの伝統工芸品をはじめ、食品や家具などを展示。入場無料。
【期間】11月3日(日)まで
【場所】神戸貿易促進センター
【主催】神戸国際交流協会
【問】同協会 貿易促進部 078−303−0030
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの連絡先、または「すたあと長田」までお問い合せ下さい。


今、神戸のアジアを知ろう 撮そう


 長田のまちは、むかしからたくさんの外国の人がくらし、そのまちのひとびとといっしょに町をつくりあげてきました。
 震災がきっかけとなり、そんな長田が好きになり、長田をおうえんしてくれている人たちがたくさんいます。

 10月に、神戸や長田に、おもいをよせた人たちがあつまり、区役所で「まるごとアジアフェスティバル」がありました。
 チョン・スンパク(鄭承博)さんの詩がかざられていました。韓国からやってきたチョンさんは、戦時中おなかをすかし町をさまよっていたとき、長田でおにくをごちそうしてもらい、その長田の人のあたたかみがわすれられず、長田でのアジアタウンづくりをおうえんしてくれています。

 にんげん味あふれる写真をとる牧田清さんは、カメラのあつかい方をしんせつに教えて下さいました。100人の人がカメラを持って、町や人をとりにいきました(その写真展は、11月18日から23日まで、区役所7階であります)。

 そして、テレビや映画で大かつやくの、うつくしい黒田福美さんが長田をうつしたスライドを見せてくれました。震災後、たくましく生きようとするわれわれには、たくさんのおうえん団がついているのですね。

(和田 幹司)


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★自転車キャラバン隊 応援ガレージセール
 売りたい人も、買いたい人も多数ご参加下さい。
【とき】11月3日(日)・4日(月・振替休日)午前10時より
【ばしょ】菅原商店街 空き地
【連絡先】078−575−4575(担当:水嶋さん)

 

○すたあと長田の『サタデーエクスプレス』○

長田のコミュニティ放送局(ミニFM)“FMわいわい”より放送中
 毎週土曜日午後2時〜2時55分
 周波数77.8MHz
 毎回さまざまな方面の方々にゲスト出演していただき、
笑いあり、なみだあり、ときには真剣に、
明るく楽しめる番組をおとどけしていきます。
★ぜひ、聞いて下さい★

 


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第17回


あき:
日本シリーズでオリックスが優勝して、神戸のグリーンスタジアムでニール選手が「がんばろう 神戸!」と、大きな声で言ったとき、ジーンときたわ。
かん:
大正筋商店街やハーバーランドや三宮やそこらじゅうで記念セールもあったしね。
あき:
みんな元気だしましょうね!!
かん:
西代にある市民球場はね、今、仮設住宅でいっぱい。毎日、スコアボードを見ながら生活している人もいるんだよ。
あき:
あのグラウンドは、高校野球のおうえんでよく行ったわ。今はつたがおいしげり、コスモスが咲いているけど、仮設からみんな出られるのはいつかしら。
かん:
ぼくは、あの西代のスコアボードに点のはいる日をゆめみてるんだ。
あき:
その日は、みんなの住むところがきまり、仮設がなくなる日なのね。議員のみなさん!! やくそく守ってくださいよ!! 復興支援、ふっこうしえん。わすれないで!!
※西代の市民球場は、むかしあった、はすの池をうめたてた土地につくられた。蓮池は、ぎょうきぼさつ(行基菩薩)が『かんがい用水』としてつくられた…という話がのこっている。

(和田 幹司)

市民球場のスコアボード


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により各地区の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
版下:      吉田 信昭
印刷:      横田 ゆり
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・橋本吏賀
※インターネット・ホームページ:
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※「すたあと長田」は、「ウィークリーニーズ」の発行を中心として地域のコミュニティづくりのお手伝いを目的に、自主管理で運営するボランティア団体です。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご希望、お気付きになられたことがありましたら、ぜひ、ご連絡下さい。投稿なども歓迎いたします。
(すたあと長田)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp