「Weekly Needs」1996.10.3号(Vol.3 No.14)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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もっと、お話ししてみませんか


 西区には全部で九千戸もの仮設住宅がありますが、昨年に仮設住宅が開設してから西神ニュータウンの人口がいっきに膨れ上がり、にぎやかになりました。仮設生活も、もう二年目に突入して様々な入居者がいらっしゃる中、いろいろ問題も多いようです。ある友愛訪問グループの方に仮設住民の様子を聞いてみました。

 独り暮らしのお年寄りが多い仮設地域で男性のお年寄りが昨年退院したあと、常に酸素ボンベをおいて、そこから細い長いチューブをひっぱり鼻につけて酸素を吸いながら生活しているのです。外出するときも鼻にチューブをつけたまま酸素ボンベをカートに乗せて引いていきます。息子がいるのですが、地方にいてめったに来ないし、他に身よりもないようなのです。しかし、調子の良いときは気軽にカートを引いて買い物や散歩によく出かけたり、バレンタインの日には若い女の子からチョコレートをもらい「また生きる希望がわいてきた」と嬉しそうだったそうです。

 その一方で、今年、五十代の男性が風呂場で手首を切り、自殺を図った例がありました。彼は震災前から胃ガンで、入退院を繰り返していたそうです。兄弟は大勢いるのですがずっと音信不通で、独り身ということもあり、病気だけが理由ではなかったようです。「こんな風になる前に誰か悩みを聞いてもらい相談するところはなかったのかと悔やまれる」とのことでした。

 地域によってはカウンセラーが出向いてきてくれる仮設住宅もあるそうで、例えば将来の生活設計や心配事、悩み事を積極的に相談することはとても大切なことだと思います。また、ふれあいセンターでは、カラオケやお茶会、盆踊りなど、いろんな楽しい催しをしており、月に一度、高校生が訪ねて来たりしてコミュニケーションをとっている仮設住宅もあります。気軽にお話ができて心を開けるような機会を大いに利用して欲しいと思います。
 しかし、そうした温かい手が行き渡っていないのが現状で、もっと多くの方々がカウンセラーと接することができて気軽に相談できる窓口をつくることも必要だと思います。

(中川 久美子)


インフォメーション


◆児童手当・特別給金の10月期支払い
 6月〜9月分を10月18日(金)に指定銀行口座に振り込みます。まだ申請を行っていない受給資格者は住民票のある区役所福祉部(福祉事務所)または支所福祉課で申請・問い合わせを。

◆被災者のための法律相談窓口
【電話番号】078−341−9006
【日時】月曜日から金曜日の午前11時から午後3時
【場所】神戸弁護士会館(中央区橘通1丁目)
【内容】無料法律相談・法律扶助(法に関する援助)の申し込み・示談・仲裁など
【問】市民相談室 078−321−0033

◆生活保護などの相談
 区役所福祉部(福祉事業所)では、生活保護をはじめとして、いろいろな福祉制度やサービスの利用について相談に応じたり助言をしています。お気軽にお越しください。
【問】各区役所福祉部在宅支援課または北須磨支所福祉課

◆いもほり農園
【場所】神戸市各地(北区:長尾・八多・有野・山田・大沢、
    垂水区:垂水、 西区:神出・栄・木見)
【期間】11月4日まで。
【時間】午前9時〜午後6時
【料金】600円(3株)
【問】ハローダイヤル神戸 078−371−8600
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの連絡先、または「すたあと長田」までお問い合せ下さい。


「保障制度」実現に向けての署名


 いま全国的に、「地震災害等に対する国民的保障制度」実現に向けての署名活動が行われています。
 今回の震災で被災した方は痛いほどご存じの通り、いまの日本には地震などの自然災害で大きな被害を受けても、住居や生活を再建するための本当に有効な手だてが何一つありません。
 結局はそのすべてが個人の負担にしかならない今の状況を変え、今後いつ・どこにでも起きる可能性がある自然災害に対しての、「国民的保障制度」を検討するための審議会を、国が設置することを求めた署名です。

 内容を簡単に紹介すると、

  1. 地震などの自然災害による被災者の住宅復興を促進するための制度をつくること
  2. 給付の対象は住宅と家財として、基本的な生活再建をうながす内容にすること
  3. 財源を確保するために、公平で納得のできるようにすること
  4. 制度を作るに当たっては、阪神・淡路大震災の被災者に何らかの救済ができるようにすること
 と、以上4点が柱となっています。

 9月24日現在で「コープこうべ」が集計しただけでも250万人以上の署名が集まっています。「現実」を動かすための絶好の機会と言えますので、よろしかったらぜひ皆さんも署名活動に参加されてはいかがでしょうか。

(小野 幸一郎)

【問い合わせ先】兵庫県生活組合連合会
【電話】078−391−8634
 ※署名用紙は生協のお店でも手に入ります。


みんなの伝言板


 皆さんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」まで)

★映画「GAMA〜月桃の花」特別試写会
 沖縄県民自身による初めての「沖縄戦」映画です。
 「今もなお『基地問題』という戦争状態の続く沖縄の人々の問いかけをかみしめ、被災地で生き抜く勇気を分かち合いたい」という想いをこめて特別試写会を開きます。1人でも多くの方にこの映画を観ていただきたいと思います。
【日時】10月5日(土)午後3時〜5時 と 午後6時30分〜8時30分
【場所】新長田勤労市民センター 待機所
    (JR新長田駅南・ジョイプラザ3階 大会議室)
【問】長田特別試写会実行委員会 078−441−1236
   (担当:高橋さん)
※賛同金やカンパ歓迎いたします。
 振込先:さくら銀行深江支店(普)3457828 高橋 秀典


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第15回


あき:
震災後の1年8ヶ月、長田の町もプレハブや更地の間に洋風3階建ての建物が目立つようになってきたわね。
かん:
そういう中で、新築の木造なんだが古い家の大きな柱や梁も利用している家があったりして、たくましさとその人の思いが伝わってくるね。
あき:
私も洋風にあこがれた時期があったけど、土や木や下町ふうの街並みも素敵だわ。
かん:
そう思ってね、六間道の当たりを歩いてみると路地があり、タコ焼き屋があり、雨戸を横に立てかけた昔ながらの履物屋があったりしていいもんだ。
あき:
「原田商店」という瓦せんべい屋さん知ってる? 手作りのボールのカステラや障子せんべいや瓦まんじゅうを売って二代目、七十年のお店なの。
かん:
年代を感じるあのお店のたたずまい、好きだね。震災の復興は街並みが新しくなってゆくことじゃなくて、人や町の温もりも戻ってくることだ。
※「原田商店」は六間道をゆき、大正筋よりさらに西へ、一筋目を浜の方へ、駒ヶ林3丁目。近くに海泉寺がある。カステラやせんべいなど一袋三百円。
震災にも残ったお店の中にはまんじゅうの金型がたくさん。

(和田 幹司)

「原田商店」
(瓦せんべい屋さん)
同・お店の中
(場所:駒ヶ林3丁目)

 

○すたあと長田の『サタデーエクスプレス』○

ミニFMラジオ局“FMわいわい”より放送中
 毎週土曜日午後2時〜2時55分
 周波数77.8MHz

 毎回さまざまな方面の方々にゲスト出演していただき、笑いあり涙あり、時には真剣に、明るく楽しめる番組をお届けしていきます。ぜひ、聴いて下さい。
※数回分のゲスト出演のコーナーを文章化したものが有ります。ご希望の方はすたあとまでご連絡下さい(Webでもご覧頂けます:沼田)。

 


この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています


◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
  ・読売新聞 丸山IC   ・読売新聞 新長田IC
  ・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
  ・毎日新聞 尻池販売   ・読売新聞 御蔵IC

◎地元ボランティア団体・個人の協力により各地区の仮設住宅に配布
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽SVA神戸:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽りんくうネット:大阪府りんくうタウン内仮設

◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・星和台南ほか(北区)

◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
版下:      吉田 信昭
印刷:      横田 ゆり
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田 慈子・瀬戸 綾子・橋本 吏賀
※インターネット・ホームページ:
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※「すたあと長田」は、「ウィークリーニーズ」の発行を中心として地域のコミュニティづくりのお手伝いを目的に、自主管理で運営するボランティア団体です。
 「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご希望、お気付きになられたことがありましたら、ぜひ、ご連絡下さい。投稿なども歓迎いたします。
(すたあと長田)



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp