「Weekly Needs」1996.7.4号(Vol.3 No.8)
「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。
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人にやさしいコミュニティ
6月30日、長田区役所で「取り戻そう いえ、まち、くらし市民集会」が開催された。被災者の一人が涙ながらに訴えていた。
「高槻に避難しているが、年金暮らしで、神戸に帰ってくる目途がたたない。普賢岳の皆さんから支援があったが、根底から生活を破壊された被災者の苦しみが良くわかる。将来の見通しが立たないことは、とっても辛いことだ」との発言に胸が痛んだ。
この人の話を聞くまでもなく、震災で明らかになった教訓は住宅問題である。私たちの町でも25%の家屋が全壊し、60%以上の家屋に被害があった。そのことから、家をなくした人々は小学校などに避難し、遠方の仮設住宅に移り、そしてこれからやはり遠方の災害公営住宅などで暮らすことになる。
高齢者にとって、長年暮らした町から離れて生きることは、とても辛いことなのであろう。自殺や孤独死があいつぐことは、コミュニティを失ったことも大きく影響しているように思えてならない。
だから真野地区では、震災直後から家を失った被災者のため、第一次避難所(小学校など)から第二次避難所(地区内の公園や公有地に建設する仮設住宅)へ、そして地区内の恒久住宅(災害公営住宅など)へというプランを描いた。
さらにいえば、デイケアセンター・児童館・老人いこいの家を発展させた『地域福祉センター』などを核にした、地域ぐるみで支えあう優しいコミュニティの構築を模索した。
幸いにも、ここにきてそれらが実現しつつある。公園などに104戸の仮設住宅を建設し、60戸近い災害公営住宅がほぼ決まり、デイケアセンター・児童館を併存した地域福祉センターも、年内には着工する。
私たちが追求してきた「人に優しいコミュニティ」は、災害時にも強く、これからの高齢者社会にも対応できるのではなかろうか。
(真野地区復興・まちづくり事務所所長: 清水 光久)
インフォメーション
- ◆土砂災害にご注意を!
- 今年の梅雨は、まとまった雨が多く、昨年の地震で地盤のゆるんだ所も多く、引き続き警戒が必要です。
市によるパトロールの他、テレビやラジオで避難を呼びかける場合があります。避難勧告が出されたときは、勇気を持って避難しましょう。
- ◆震災当時胎児であった子どもにも義援金が交付されています。
-
- ▽震災当時に胎児で、震災により父親を亡くした子どもに対して
「特別教育資金(100万円)」
- ▽震災当時に胎児で、震災により父親が亡くなって母子家庭となった世帯に対して
「要援護家庭激励義援金(30万円)」
が交付されています。
交付申請とお問い合わせは、日本赤十字社兵庫県支部内、
兵庫県南部地震災害義援金募集委員会事務局 078−362−4560
- ◆阪神高速道路公団からのお知らせ
- 阪神高速道路の沿線にお住まいの方には、空調機器の復旧工事助成が公団より助成されます。
【対象機器】冷房器具および換気扇
【助成額】設置費用の10分の8(限度額あり)
【申請期限】平成9年3月31日まで
【問】阪神高速道路公団道路管理課 078−331−9801
または土木局建設課 078−272−5018
- ◆摩耶山七夕まつり
- 摩耶山にある摩耶山天上寺・自然の家・六甲山牧場・森林植物公園・六甲ケーブル山上駅の各施設で、市民参加の七夕まつりを行います。
「願いごと」を書いて、各施設に用意される七夕の笹につるし、備え付けの用紙に「氏名と住所」を記入して下さい。抽選でプレゼントを進呈します。
【期間】7月1日(月)〜8月7日(水)
【主催】摩耶協議会
【問】摩耶山天上寺 078−861−2684
または新神戸ロープウェー 078−271−1160
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの問い合わせ先、または
“すたあと長田”078−521−7170まで、ご連絡下さい。
東加古川の今
私は、仮設『東加古川団地』にウイークリーニーズを配達させていただいてます。
今回は、東加古川のようすををお伝えします。
JR東加古川駅北側に隣接する仮設『東加古川団地』内の知人等(長田区出身)に数十部のウイークリーニーズを配達するお手伝いを、させていただいてます。
団地は1000戸あり、5月27日現在で816世帯1769人入居という、大規模な仮設住宅の集まりです。
市の行政機関と団地内自治会、各ボランティア団体がそれぞれとの話し合いのもとで力を合わせ、様々な活動を積極的に続けています。
住宅周辺には、色とりどりの草花や野菜が植えられ、団地内でグラウンド・ゴルフを楽しむ人々の姿もあります。
児童館(学童保育)や乳幼児とその保護者のための会、高齢者のための茶話会や各種行事も、定期的に開かれています。
ぽつぽつ団地を退去される方々も増え始めましたが、大半の人々は厳しい状況を余儀なく強いられておられます。特に高齢者や身体の不自由な方、1人暮らしの方等、明日を……いや、「今日をどう生きるか」という大きな課題を抱えている人々がたくさんおられるようです。
長田区から区外に移り住んでおられる人々は区の情報も入手しにくく、ウイークリーニーズのような情報紙はとても必要だと思います。これからも「長田のにおい」を仮設住宅の人々に届けさせて頂けたらと思います。
(I.U)
みんなの伝言板
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皆さんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
(電話・FAX・郵便で「すたあと長田」まで)
- ★祭りだワッショイ 皆で遊ぼう(星和台南仮設)
- 7月21日(日)午前11時から、星和台南住宅(しあわせの村向かい)で『夏祭り』を催します。お誘い合わせの上お越し下さい。
【問】星和台南ふれあいセンター 078−594−1231(担当:上坂さん)
- ★イベントスタッフの募集!!
- ♪『神戸まつり』ハーバーランド
7月21日(日)11時〜20時
♪『くつの街 ながたアジア自由市場』長田区細田町
7月27日(土)・28日(日)9時〜18時
で、当日ボランティアをして下さる方を募集しています。
以上の説明会を、7月7日(日)10時から、カトリック鷹取教会内、神戸アジアタウン推進協議会にて行います。
申込は、説明会に来て下さるか、下記にお問い合わせ下さい。
【問】神戸アジアタウン推進協議会 078−737−5544
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○すたあと長田の『サタデーエクスプレス』○
ミニFMラジオ局“FMわいわい”より放送中
毎週土曜日午後2時〜2時55分
周波数77.8MHz
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- あき:
- 7月に入ると「神戸まつり」など、お祭りがあって楽しくなってくるわ。長田へ出かけて下さいね。
- かん:
- 県や市から「すまいの復興プラン」や復興住宅の「モデル家賃」が発表されたし、段々と「自分のすまい探し」が現実的なものになってきたしね……。
- あき:
- そんなとき、お祭りで昔の仲間や友人に会って「すまい」の情報交換をすることも、大切だと思うわ。悩みも同じだし。
- かん:
- 7月の27・28日には、「くつの街 ながたアジア自由市場」があるんだ。細田町のまわりを歩いてみたんだが、仮設店舗が多いけど、くつを作る音がしていたよ。
- あき:
- 「アジア自由市場」では、600坪の空地で、長田にいるアジア出身の人たちみんな一緒に、民族音楽や踊りを楽しめる。また、食べ物の屋台や『のみの市』も出るわ。
- かん:
- 震災の跡の更地でも、人が集まれば、どれだけ賑やかな「自由市場」になるか、楽しみだ。
※「くつの街 ながたアジア自由市場」(7月27日(土)・28日(日)10時〜17時)が開かれる。細田町5丁目の化学センタービル跡地へは、JR/地下鉄「新長田駅」から北へ徒歩5分。山陽電車「西代駅」より南へ徒歩10分。
(和田 幹司)
『細田町・化学センタービル跡』
この「ウィークリーニーズ」は以下の地域に配られています
- ◎長田区内
- ▽新聞販売店様のご協力で折り込み戸別配布
・読売新聞 丸山IC ・読売新聞 長田IC
・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
・毎日新聞 尻池販売
- ▽仮設住宅、店舗(個人協力・すたあとスタッフによる配達)
- ◎各地区の仮設住宅(地元ボランティア団体などの協力)
- ▽玉手・新白浜(姫路市)
▽有野台・鹿の子台・星和台(北区)
▽西神第7・学園東町第5(西区)、東白川台・南落合(須磨区)ほか
- ◎コープこうべ
- ▽ポートアイランド店
▽鹿の子台店
今号の制作スタッフ
- 編集長: 小野 幸一郎
- 副編集長: 河合 敏雅・吉田 信昭
- 版下: 河合 敏雅・金原 雅彦
- タイトル: 加瀬 久美
- 見出し・イラスト:家田 慈子・加瀬 久美・瀬戸 綾子・徳永 陽子・橋本 吏賀
- ワープロ入力: 金原 雅彦・和田 朋子
- ※インターネット・ホームページ:
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numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp