「Weekly Needs」1996.6.20号(Vol.3 No.7)
「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。
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手紙に綴られた想い−−
ある日、ウィークリーニーズ編集部宛に一通の手紙が届きました。
北区の仮設に住むIさんは、手紙に胸のうちを綴って下さいました。
「長田に帰りたくても先が見えず、病に悩まされ、テレビを見て気をまぎらわそうとするが、同じ境遇の人の孤独死のニュース。人見知りするのでふれあいセンターに行っても楽しみをみつけられず、家に閉じこもりっきりの毎日」
住み慣れた土地を離れ『仮設』という、集合住宅での生活をしていると、大勢の中での孤独感に襲われることがある。
「いっそ、死んでしまえば娘もこれ以上心配しなくて済む。(自分に支払われる)生活保護のお金も他の人に廻せるでしょう」
生きていることさえ諦めかけていたとき、家の戸を叩く音。
「最初、勧誘だと思って直ぐに戸を開けんかった。でも、開けてみると自転車を引いた2人の女の人がおった。聞けば警察の人とのこと」
その女性は、警察が大規模仮設住宅に、元警察職員を相談員として派遣している人たちでした。
「明るく、やさしく接して下さったので、今までの辛い思いを打ち明け、すぅーとしました。それからは、毎日、ドアを叩いて『元気ですか』の声に、嬉しくて嬉しくて、ドアのところまで跳んでいきます。生きよう。私のような者のために訪ねて下さる相談員さん。貴女達に元気づけられ、死ぬことばかり考えていたのに、生きようと思うようになりました」
そして、Iさんは以前の自分のように落ち込んだ人に会い、励まされる側から、励ます側へと変わりました。この紙面を通じて、ぜひ感謝の気持ちを伝えたいと、次のように言っておられました。
「生きることに希望をもてるようになると、自分より深く悩んでいる人に気付くことができ、手紙で励ますことができた。それも命の大切さを教えて下さった、長尾交番の福岡恵さん、宮後こずえさんのおかげです。ありがとうございます」
現在も、福岡さんと宮後さんのように、兵庫県内で、約60名の相談員がふれあいセンターを中心に勤務されています。
大なり小なり、悩みを持つ人は、たくさんいらっしゃるでしょう。
一人で悩まず、胸のうちを誰かに打ち明けてみてはいかがでしょうか。解決の糸口が、見えてくる事と思います。
(吉田のぶ)
「Iさんのために、宮後さんの描いたイラスト」
インフォメーション
- ◆第1次・第2次義援金などの申請窓口の変更
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- ▽住家被害見舞金
- ▽死亡者・行方不明者見舞金
- ▽重傷者見舞金
- ▽要援護家族激励義援金
- ▽被災児童・生徒教育資金義援金
以上の申請窓口が7月1日(月)から
兵庫県南部地震災害義援金募集委員会事務局(078−362−4560)
になります。詳しくは、6月1日発行の広報こうべに載っています。
【問】6月28日(金)までは生活再建本部 078−322−5194
なお、第3次義援金の申請窓口は引き続き、住宅助成義援金の場合、
同義援金の係 078−271−5326
被災児童特別教育資金義援金は、
同義援金の係 078−322−5763
で受け付けます。
- ◆「心のケア」相談室
- 来所の場合は事前に予約が必要。
【場所】相談室総合教育センター3階
【時間】月〜金曜、午前10時〜12時、午後1時〜6時
【問】 078−360−3106
- ◆「対面朗読」(新長田図書館)
- 視覚障害者などの人に代わって、図書館の資料や新聞、お手元にお持ちの手紙などを朗読しています。
料金は、無料。
毎週金曜日、午後2時〜午後4時まで。
直接図書館にお越しいただくか、お電話で予約の申し込みをして下さい。
※お問い合わせは、新長田図書館 078−691‐1600まで
- ◆初夏を彩るあじさい散策
- 日本で有数のあじさいの名所森林植物園では25種5万株のあじさいが見頃になります。
【日時】6月20日(木)〜7月16日(火) 午前9時〜午後5時
【問】森林植物園 078−591−0253
※情報を詳しく知りたい方は、それぞれの問い合わせ先、または
“すたあと長田”078−521‐7170まで、ご連絡下さい。
「コレクティブ住宅」って何?
ややこしい言い方をすると「共同居住型集合住宅」。手っ取り早く言うと、現代版「寄り合い住宅」と呼べるのではないでしょうか。
今、この「コレクティブ住宅」が、まちづくりの話題のひとつとして注目されています。なぜかといいますと、これからますます増えるであろう「独り暮らしの高齢者」の方のための新しい生活スタイルが、この住宅には盛り込まれているからです。
- ▼みんなで楽しく暮らすには
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とどのつまりは、「ひとりぼっちじゃつまんないね」「閉じこもらないでみんなで暮らそう」をどうやったら実践できるのか、なのですが「わたしは(俺は)ひとりが好きなのだ」というお方にはあんまし関係ないお話です、あしからず。
で、具体的にはどういう内容かというと、例えば……
- ○一人一人の部屋(トイレ付き)はあるけど「お風呂」と「炊事場」は2〜3人で共同で使う。
- ○みんなが集まって、一緒に食事を作って食べたり、おしゃべりができる部屋がある。
と、いうことなのです。お互いが支え合いながら(楽しく)生活できる、そんな環境が生み出せる住宅づくりを、いま専門家の方々が検討しているわけです。
- ▼「近所づきあい」の難しさ
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むろん、課題はたくさんあります。「嫌いな人が一緒になったら」とか「近所づきあいが苦手」とか。でも、まちに戻られたとき、気心の知れた人と共に暮らすのもまた、おつなもんじゃないでしょうか。
これからどんな住まいで暮らせたらいいか、みんなで考えていければなと思います。
(小野 幸一郎)
みんなの伝言板
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皆さんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
(電話・FAX・郵便で「すたあと長田」まで)
- ★買いませんか
- 紳士、婦人、子供服の新・中古品。台所雑貨や食器等も有ります。
十円〜千円位。午後に連絡の上見に来ませんか?
金田真須美 030−429−5588
- ★ポータブルトイレゆずります
- ご希望の方に差し上げます。ご連絡下さい。
すたあと長田 078−521−7170
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- かん:
- 梅雨の晴れ間、御蔵菅原に、久しぶりに立ち寄ってみたんだ。友人がやっとお店を開いたことだし……。
- あき:
- 仮店舗の菅原市場が、『復興一周年の大売り出し』をやっていたでしょ。だけど、本店舗はまだまだみたい!!
- かん:
- 友人のお店は、区画整理地区外だったから、自分の手で仮設店舗を建てて、たくさんの人の協力も得て、苦労とがまんをつづけて、この5月、新店舗をオープンできたんだ。
- あき:
- 私もこの前、自転車のパンクの修理に、そのお店に立ち寄ったけど……、『家族中でがんばってます』という感じだったわ。
- かん:
- うん、友人も「自分で動いて働いて、なんとか元気を出すことが一番や!!」と言っていたよ。
- あき:
- 御菅のそのお店にかかっていた、サトーハチローさんの詩、素敵だったわ!!「店をひらく、運がひらく、花がひらく」。わたしもがんばるわ!!
※菅原市場、商店街へは「JR兵庫駅」下車徒歩10分、又は、市バス3、82系統「御蔵菅原」下車すぐ。近くに、神戸都市計画局の御菅地区現地相談所や街づくりの各種の施設が多い。がんばってる人たちにも出会える。
(和田 幹司)
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「菅原市場の駐車場」 花壇の花がきれいに彩る |
「菅原市場正面入口」 |
♪♪すたあとスタッフ募集♪♪ |
私達と一緒にウィークリーニーズやラジオ番組を
つくってみませんか?
とっても愉快な連中があなたを待ってます。
お気軽にお電話下さいませ!!
TEL 078−521−7170
FAX 078−577−0157
〒653 神戸市長田区御蔵通5−5 まで。
- ★絵や文章を書くのが好きな人。
- ★ワープロやパソコンに興味がある人。
是非、来て下さい。未経験でも大歓迎です。
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○すたあと長田の『サタデーエクスプレス』○
ミニFMラジオ局“FMわいわい”より放送中
毎週土曜日午後2時〜2時55分
周波数77.8MHz
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この「ウィークリーニーズ」は以下の地域に配られています
- ◎長田区内
- ▽新聞販売店様のご協力で折り込み戸別配布
・読売新聞 丸山IC ・読売新聞 長田IC
・神戸新聞 五位の池専売 ・毎日新聞 丸山販売
・毎日新聞 尻池販売
- ▽仮設住宅、店舗(個人協力・すたあとスタッフによる配達)
- ◎各地区の仮設住宅(地元ボランティア団体などの協力)
- ▽姫路(玉手・新白浜)
▽鹿の子台・星和台(北区)
▽西神第7・学園東町第5(西区)ほか
- ◎コープこうべ
- ▽ポートアイランド店
▽鹿の子台店
今号の制作スタッフ
- 編集長: 小野 幸一郎
- 版下: 吉田 信昭・金原 雅彦
- タイトル: 加瀬 久美
- 見出し・イラスト:加瀬 久美・家田 慈子・徳永 陽子
- ワープロ入力: 瀬戸 綾子・和田 朋子・吉田 信昭
- ※インターネット・ホームページ:
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numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp