「Weekly Needs」1996.4.25号(Vol.3 No.3)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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「仮住まい」の中で「明日」をつくる


 もと居たまちから離れて仮設住宅に住まわれている方にとって、今まちに住める人をうらやましく思えたりするかも知れません。けれど、まちに残って(戻って)いる方達もまた、様々な悩みを抱えながら「まちづくり」に、仕事に、生活に、奮闘しています。

●Kさん(女性)は、自宅が全焼して「写真一枚も残らない」被害を受けました。しばらくは避難所で生活を送られながら仮設住宅の申し込みを続けてきましたが、とうとう当たらず、結局はご自身で家を借りられる決意をされたのでした。
 震災で家も内職もなくなり、安くはない家賃を払い続ける生活は大変です。しかしKさんは御蔵で再び住む事を目指して、今「まちづくり協議会」の役員をつとめられています。
●同じ協議会のSさん(男性)は、やはり全焼した自分の土地にプレハブで家と工場を建てられました。ご家族で製麺屋を営んでいるSさんは毎朝4時に起きて仕事をされている一方で、まちづくりの話し合いに夜遅くまで取り組まれています。
 「仮設に住む人だけが被災者じゃないんやで!」
 仮設におられる方が聞いたら「なんだ?」と思われるかも知れませんが、莫大な借金を抱えながらの再起は、Sさんの気丈なお人柄があってこそ、と言えましょう。

 今、多くの方が、住むところや仕事について深刻に考えておられると思います。そんな皆さんが「これから」を見つめ、生きていくためにそれぞれの場所で声をあげ共に考えていくことができれば幸いです。


FMわぃわぃ 77.8MHz すたあと長田のサタデーエクスプレス

『桜亭のリキんでます!』

真須美さんの淡路レポート

 3月26・27日と震災後初めて、淡路の仮設住宅を訪ねた。初日は老人中心の仮設。じいちゃん2人連れに話しかけ世間話をするうちに、神戸との格差に驚いた。
 「ワシら地震前もこの仮設でも隣同士やさけえ、今は一緒に夕飯作って晩酌する仲や。仮設も住めば都やで。」
 2日目は、新聞やテレビ等で何度も見た野島断層のすぐ横にある仮設。広い草原に杭を打ち、長いロープに大型犬2頭がつながれていた(これがまた、誰にでも体当たりでジャレつく!)。子供達は縄跳びに興じ、母さんらが井戸端会議に花を咲かせている。聞けば、幼なじみや親類縁者が多い。車イスを押す手も、ボランティアではなく姪ごさんと言う。「私なんか1里(4km)も離れたとこから来たんや」とぼやくおばあちゃん。
 何より驚いたのは仮設の敷地内にプレハブの小さな食料雑貨店が建っていたこと。「ええなぁ、ええ雰囲気やなぁ。神戸の仮設の人らも皆、ここに連れてきてやりたいなぁ...。」無意味なことと分かっていても、そう思わずにはいられない淡路の仮設でしたが、改めてコミュニティの重要さを考えさせられた小さな旅でした。

(金田 真須美)


Information 〜インフォメーション〜


◆公共施設の使用料減免の対象拡大
 動物園や博物館などの使用料減免制度で、これまでの身体障害者手帳または療育手帳をお持ちの方に加え、新たに以下の証明書をお持ちの方にも適用されるようになりました。
▼精神障害者保健福祉手帳(障害者手帳)
▼特定疾患医療受給者証
▼先天性血液凝固因子障害医療受給者証
▼小児慢性特定疾患承認書
減免を求めるときは、上記の証明書が必要。適用される施設の一覧・問い合わせ先等、詳しくは「広報こうべ4月1日号」をご覧下さい。

第59回神戸市吹奏楽祭
 中学・高校・大学・一般、計46団体が出演。すたあとスタッフ橋本吏賀も「ウィンドシンフォニカ」で参加!
【日にち】5月3日(金・祝)
【時間】午前10時30分〜午後6時30分頃
【場所】神戸市文化ホール
【主催】市民文化振興財団 TEL 078-222-7105

第61回長田神社 商工祭
【本祭】5月1日(水)午前11時から
チャリティーカラオケ大会、福引き、福餅まき
※他、4月29日(月)〜5月3日(金)催し多数あり
【問】長田神社参集殿 TEL 078-621-3410

萌黄の館(旧シャープ邸)再開
4月27日(土)から ※水曜定休
【営業】午前10時〜午後5時 入場無料
【問】国際観光協会 TEL 078-303-1010


神戸のもう一つの学校


 神戸市東灘区にある東神戸朝鮮初中級学校(日本の保育園〜中学3年生にあたる)。ここで3月10日、新校舎着工式と復興バザー、授業参観を盛り込んだ交流会が開かれた。

 この学校は、これまで在日朝鮮人の2世・3世の多くの人々が祖国の文化や言葉を学んできた場だが、震災で校舎は全壊。生徒たちは仮設校舎での授業を強いられていた。
 新しい校舎を建設するためには13億円の資金が要る。しかし、神戸市がこの学校建設に助成できる金額の上限は、4億円。残りの資金は生徒の父兄や関係者が賄わなければならない。その彼らも、現在は被災者の人々が断然多い。自分達の生活を築き上げるだけでも必死だ。そんな状況の中でも着工式が開かれたのは、少しでも早く子供達を新校舎で学ばせたいという思いあっての、いわゆる見切り発車に過ぎないのだ。
 関係者の人たちはものすごい草の根を張って、資金集めに奔走している。残りの資金繰りは、個人の支援やカンパで賄うしかないからだ。

 私達はこれまで、当たり前のように整った環境で学校生活を送ってきた。その「当たり前」を様々な事情で奪われた子供たちのために、民族の何もかもを越えた支援が必要なのだと痛感する。

(菅田 智子)


ひとつになろう 民族のマダンで!
4月21日 長田マダン


 日常生活の中で薄れていく「民族」に思いをはせる場所「長田マダン」は、今年で第7回を迎えました。なんせ自分が持ってないものを他の人が持ってたら羨ましくてたまんない性分なので、始めっから終わりまでドキドキしっぱなし。特に屈託のない笑顔で踊っているプンムル(農楽)の輪が一番楽しかったです。
 実行委員長の権(クォン)さんは、「震災で長田を離れた同胞が再会する場所でもあってほしい」とおっしゃっていました。華やかな衣裳が舞う快晴の「マダン」にどっぷりつかって、「他の人といろんなものを共有することのできる『広場』っていいなぁ」と感慨に耽る一日でした。

(稲垣 淳)


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第4回


かん:
長田には山や川や港もあるけれど、島もあること、知ってるかい(人工の島だけど...)。
あき:
?? 分かった!! 苅藻島でしょ!! 私、ときどき「かるもプール」へ泳ぎに行ってるの。
かん:
苅藻島の貯木場から見る六甲連山の風景が好きなんだ。高取山が長田の守り神のように見えてくるし...。きれいだよ。
あき:
震災後、私も山や海を見つめることにしているの。悲しいことがたくさんあるけれど、自分が大きいものに生かされていると感じてくるからなの。
かん:
海岸寄りの方面でもいろんな変化があるね。苅藻島の入口あたりは、地下鉄工事中だし、駅がそこに出来そうだし、公園の仮設の人も元気を出しているようだし...。
あき:
春になったし、私も外へ出て歩いてみるわ。かるもプールで泳いでみようっと。

※かるもプール(温水)へは、市バス(3)・(10)・(81)系統「東尻池8丁目」下車、南へ15分。バス停近辺には、兵庫運河の見える「高松橋」や、仮設に毎月炊き出しを続けている「カナン教会」などがある。

(和田 幹司)


「苅藻島の貯木場」


みんなの伝言ひろば


 皆さんの「声」と「声」を結ぶコーナー。「譲ります」「求めます」「この人を捜しています」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひご連絡を下さい。
 電話・FAX・郵便で「すたあと長田」まで

★私達の学校を支援して下さい!
【募金振込先】
郵便振込 14320-51346251
東神戸朝鮮初中級学校新校舎建設委員会
〒651 神戸市中央区脇浜町1-6-1
TEL 078-251-1880
朝銀兵庫信用組合 三宮支店
002-1045895
東神戸朝鮮初中級学校建設委員会 白 煕奎

★鯉のぼりを下さい
姫路新白浜・玉手仮設住宅に飾ります。
「こころのケア」ネットワーク(岸岡)
TEL 0792-66-3529

★買いませんか
紳士・婦人・子供服の新・中古品。
冬物多数、春・夏物少々。台所雑貨や食器等もあり。十円〜千円位。
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TEL 030-429-5588 金田


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TEL 078-521-7170


この「ウィークリーニーズ」は以下の地域に配られています


◎長田区内
・新聞販売店様のご協力で、区内5販売店で折り込み戸別配布
・仮設住宅、店舗(個人協力・すたあとによる配達)

◎各地区の仮設住宅(各ボランティア団体の協力)
・姫路(玉手ほか)、鹿の子台、星和台ほか



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp