「Weekly Needs」1996.3.14号(Vol.3 No.0 :PR版)

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。
このウィークリーニーズは新聞販売店様のご厚意で皆様にお届けしています。

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Vol.3 発行のごあいさつ


私たちの目指すもの。それは、長田の町の復興です。
私たちが見たいもの。それは、活気ある町。人々の笑顔。
大切にしたいもの。心と心のきずなです。

町の将来を見つめたい
 2月中、発行を休刊させていただいた「ウィークリーニーズ」Vol.2は、3月以降、Vol.3として新たに発行することになりました。
 地域差があるとは言え、一進一退を繰り返しながらも育ててゆくまちづくり。まだ見ぬこの町の将来に不安を抱き、あるいは、やがてこの町へ帰りたいという願いさえも失いそうになるとき、「あきらめないで!」と語りかけることができるような、そんな紙面をつくれないだろうか。
「一緒にこの町の未来について考えてみませんか。」と問いかけることのできるような...と思うのです。

町から仮設へ、そして仮設から町へ
 約1年間にわたり、長田区内での発行を続けてまいりましたが、住み慣れた土地を離れ、遠くの仮設住宅などに住む人々を忘れるわけにはいきません。この町の復興は、皆が帰ってきた時にこそ成し得るのではないでしょうか。
 そこでVol.3は、広く区外の仮設住宅にも目を向けて、掲載内容の見直しと配布方法の再検討を重ねながら少しづつ理想に近づけるよう、尽力してまいる所存です。
 0号からの再出発です。なにぶん準備も知識も不十分なところからのスタートですので、是非皆様からの情報やご意見・ご感想などご協力いただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

(橋本 吏賀)


Information 〜インフォメーション〜


国民健康保険料の震災特例減免
震災により被害を受けた世帯などを対象に実施しています。
 3月末で、受付を終了しますので、まだ申請をしていない方は、お早めに手続きをして下さい。また、現在減免の適用を受けている世帯で、所得照会などの回答のない世帯は、減免を取り消されますので、至急連絡をして下さい。

【手続き・問い合わせ先】保険証に記載してある区役所、または北須磨支所の国民健康保険係まで。

ご連絡下さい
地震発生時に、市営番町住宅の15〜19号棟、1番町住宅3号棟(北)に住んでいた人に、住宅局建替事業課から再入居についてのお知らせをしています。まだ連絡がついていない人は至急連絡して下さい。

【連絡先】住宅局建替事業課078−272−5210まで

ご連絡下さい
地震発生時に、次にあげる長田区の土地区画整理事業区域に住んでいた人で、都市計画局と連絡がついていない人は、連絡して下さい。まちづくりの近況をお知らせいたします。

→御屋敷通1〜6丁目、水笠通1〜6丁目、細田通4〜7丁目、神楽町3〜6丁目、松野通1〜4丁目、川西通4丁目・5丁目、以上の各一部。

【連絡先】都市計画局・新長田駅北地区担当078−362−0789

※以上、情報は神戸市災害対策本部2月20日発行のこうべ地震災害対策広報に詳しく載っています。
イルカライブ
「イルカ物語〜7つの海のファンタジー〜」須磨海浜水族園

▽7つの海にすんでいるイルカやクジラのユニークな生態を、イルカたちの演技を通じて紹介。
▽2m四方のジャンボ絵本も特設します。

【日時】3月17日(日)午前10時30分より講演開始。
【問い合わせ先】078−731−5020

地震まつり
露店多数出店、コンサートなども有ります。
▽出演:ソウル・フラワー・モノノケサミットほか
▽日時:3月17日(日)午前11時〜午後4時
▽ところ:神戸市役所前(フラワーロード)一帯
▽主催:地震まつり実行委員会


FMわぃわぃで放送中

すたあと長田のサタデーエクスプレス

FM77.8MHz

 長田区海運町にある「FMわぃわぃ」のスタジオから毎週土曜日午後2時〜2時55分まで「すたあと長田のサタデーエクスプレス」を放送しています。長田区内の話題や仮設住宅の問題などを、DJ小野幸一郎(すたあとスタッフ)が、にぎやかにお伝えしています。
 今月は、特集「アジール」〜避難所解消問題〜を4週にわたってお送りしています。(1回目は3/9に放送しました。)

リクエスト募集中です。
歌のリクエスト・ご意見は、FAX 078−737−3187へ
またはハガキで
〒653 神戸市長田区海運町3−3−8
FMわぃわぃ サタデーエクスプレス係
までお送り下さい。すたあと長田へ送ってもOK!
待ってます。


「まち」から「仮設」へ「仮設」から「まち」へ


「まち」から「仮設」へ
 震災前に住んでいた町を離れ、今仮設住宅をはじめとする様々な場所で「仮住まい」をしている十数万人の内の多くの方々は、元いた場所に戻ることを望んでいらっしゃるのではないでしょうか?にも関わらず、被災地を覆う現実は、えもすればそんな気持ちを萎えさせるような材料しか見えてこないというのが現状だと思います。
 しかし、忘れてほしくないのは、そんな厳しい現実の中でまちの再生・新生に向けて、自らの生活・仕事の建て直しを図りながら、日夜話し合いをしている人達がいるということです。ある人は今ここに居れない人のためにと集い、ある人は元いた人−特に「店子」という立場にいた人達が必ず戻れるようにしたいと動き、またある人は震災前のまちよりももっと魅力のあるまちにしたいと知恵を絞っているのです。
 まだ先の見えない「更地のまち」は決して『無風』ではなく、「次」をつくるための人々の気持ちの『息吹』は確実に吹いています。私達はこの「ウィークリーニーズ」でささやかながらその『息吹』をまちから遠く離れた皆さんに届けられればと思うのです。
 「仮住まい」のなかでの日々の生活は辛どく、大変なことでしょう。新しい隣人とのつきあい、遠方になった会社・学校、買い物一つでも大仕事になる不便な環境。ですが、それでもぜひ皆さんの気持ちを、関心をもっと「まち」に向けて欲しいのです。
 みんなの思いがまちに集まるか否か、これでまちの未来の運命が決まると言えるのではないでしょうか?一緒に「住みよいまち」、「住みたいまち」を考えていきましょう!

(小野 幸一郎)


まちの様子(丸五市場にて)

「仮設」から「まち」へ
 「ねえちゃん、私は長田に住んどったんよ。今はどうなっとるんかねぇ。」神戸市から遠くはなれた場所に建てられた仮設住宅で年末にバザーを行った時、あるおばあちゃんがふとつぶやいた言葉である。その言葉の中には、住み慣れた街を離れなければならなかった無念さと、その街へのいとおしい想いが込められていた。
 震災により多くの人々が仮設へと移り、長田を去った。けれど、決して「我が街」を忘れたわけではなく、むしろ「帰りたい」という想いはいっそう強くなっているように思う。しかし、その声はあまりに細く、街へは届きにくい。「今」を生きること、それに必死にならざるをえない人々のなんと多いことか。けれど、それが神戸の現実なのだ。
 長田を離れ、仮設住宅に住む人達の声を街へ伝えていきたいと思う。それは今の生活に対する不満なのかもしれないし、「街」を懐かしむ声かもしれない。けれどその「声」は、何よりも力を持つと信じている。
 長田を離れた人達へ。あなた達の街への想いを話して下さい。あなた達の「今」を教えて下さい。その声は新たなる「街」を創るための大きな力となります。街を創るために、また、わが街へ戻るために、今長田で戦っている人達へ届けたいのです。
 私たちはそのパイプにしかすぎませんが、正確に、そして強く声を運んでいきたいと思っています。

(三原 靖子:SVA)


西代の仮設住宅
「ここはかなり早くからあったので、すっかり生活の匂い」(いえちゃん談)


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第1回


かん:
この日曜日、自転車で長田の町中を走ってみたよ。丸五市場で『いかなごのくぎ煮』を買ったりもしたけれど.....。
あき:
梅もちらほら、やっと暮らしやすくなってきたわ。だけど更地や公園の中のテントや、野球場の中の仮設住宅がフツーの風景に見える自分がおそろしく思えるの。
かん:
同感だ。阪神高速の工事が勢いよく進んだり、建設中のビルが見えたりすると、その横にある更地がただの空間に見えてもともと家があり、人が住んでたのを忘れてしまいそうになるんだ。
あき:
「待機所が3月末まで」、「仮設は3年目から少し有償になる?」なんていう新聞記事もあるわ。
かん:
だから待機所にも寄ってみたんだ。『西区や北神などの空き仮設への移住』を勧める市の「貼り紙」もあったけど、やむなく住んでいる人には、引っ越しできない事情が色々あるようだった。
あき:
そんな中でも、待機所や仮設住宅に『炊き出し』を続けている人達もいたりして、頭の下がる思いもするの。
かん:
南駒栄公園でも『共同炊事場』で和やかに、みんなで昼食を作る様子もあり、ホッとするものもあるね。
あき:
自分の住むところを確保すると、人はさっさと他人のことを忘れてしまうのよね。神戸以外では震災の記事が、新聞に出なくなったのも困るわ。私たちは、寒い仮設住宅で春を待ち、自分の家を待っている人達を忘れないようにしましょうね。
(和田 幹司)


編集部より


 新しい「ウィークリーニーズ」をお届けいたします!
本誌にもあるように新「ウィークリーニーズ」は長田のまちと長田の外に出ざるをえなかった方々を橋渡しできる新聞を目指します。そしてそれを実現するには多くの方の協力なしではありえません。みなさんの厳しいご意見と温かいご支援を広く求めています!
 新方針にともない、いままで長田区域内での手配りの配達が基本的に休止となります。いままで「W.N」を店先等で置いて下さった多くの方々に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。区内に関しては、新聞折り込みによる配達は従来通り続けていきます。また、一部のコンビニ、アイヨ堂書店などと、もちろんすたあとにも「ウィークリー」は引き続き置いていますので、ご覧になってくだされば嬉しく思います。
 また、「すたあと長田」ではスタッフを随時募集しております。未経験者大歓迎です。空いている時間を使って長田のまちを盛り上げましょう!



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp