「Weekly Needs」1995.12.24号(Vol.2 No.11)

Vol.2 No.11 表紙

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御蔵5・6・7丁目の新集会所完成! もちつきしました……御蔵/東尻池2


表紙の写真。
東尻池2丁目のもちつきにて
きねを振り上げているのが、
御蔵5・6丁目まちづくり
協議会の会長・白崎さん、
副会長・西堀さん。

御蔵に新集会所誕生!
 私たち「すたあと長田」のプレハブ(ちなみにお隣は「SVA」、仮設の支援活動を主にしています)のある長田区御蔵通。皆さんご存じの通り、御蔵の町は震災時の火災で大変な被害に遭い、多くの方が全焼・半焼の憂き目をみました。震災から11カ月たった今でも元の地で生活を営めている方は非常に少ないのが現状です。
 御蔵通5・6丁目はいわゆる「区画整理事業」の対象地域。「区画整理」の是非はともかく、町が1日でも早く復興するためには、地元の方々の話し合いが不可欠でしょう。しかし、ここに居た大勢の方が散り散りになっているのに加え、気軽にみんなが集える場所がないことが大きな支障となっていました。
 そしてついに、『拠点』となるべき新しい集会所が完成したのです!

朝もはやから餅つきだ
 12月17日、新集会場完成を祝う開所式とミニバザー+関東炊き、さらにつきたてのお餅とおにぎりの振るまいがなされました。
 当日は朝早くから餅つきが始まりました。準備に集まった人たちが交互に和気あいあいと杵を振り、つきあがった餅を女性軍が丸める。いやあ、皆さんこなれてます。(僕も少しだけつかせていただきましたが……多くは語りません)時間が経つにつれ人が増え始め、開所式の前後には集会所周辺はちょっとした賑わいになりました。

バザー・関東炊き・ビンゴ大会!
 式が終わると、バザーの店開きです。先日一緒に仮設でバザーをやった金田さんが、この日も生活雑貨や冬物の服をたずさえ出向いて下さり、ボランティア(SVA)が用意した毛布も並べられ、共に上々の人気。関東炊き・一皿100円也(4品、すじ入り!)もさばけています。定番、綿菓子も好評です。お昼をまわり和みの空気もほどよく落ちついた頃に、「景品多数、空くじ無し」のビンゴゲームでおおいに盛り上がりこの日は締めくくられました。

みんなの集会所に
 そんなわけで大成功に終わった開所式。今回の催しは、「まちづくり協議会」の役員の方をはじめ地域の多くの方が携わられながらつくられました(御苦労様でした)。まだまだ多くの更地が残る御蔵ですが、これからもみんなの笑顔がみられる集会所であればいいなアと思います。
(小野)


12/17、開所式でのバザー
おでんの準備(味見か?)に忙しい奥様方。後ろが集会所。


『復興もちつき』


 12月17日の日曜日、長田の各地で『復興もちつき』が行われた。更地となった「明正寺」の境内に、東尻池2丁目の人たちが集った。「お父さん、すごい!」と感心する子供たちや、「大正の人には負けるわ!」という昭和初期のおじさんもいて、なごやかな町内会の集まりであった。かっぽう着の奥さんたちが子供たちに「おもちの丸め方」を教える姿にも、愛らしいものがあった。
 御蔵通5・6・7丁目集会所では、待ちに待った『集会所』の開所式の前後に、もちつきが行われた。区画整理があり、方々に散らばって住んでいる人たちも、力強い杵の音をプレハブに響かせていた。綿菓子をもらいニッコリする女の子や、口をあんこだらけにした男の子たちを見ていると、『そうそう、正月もすぐそこやなあ』とやっと感ずることができた。おでんがあり、バザーもでて、そして元気のでる『もちつき』であった。
 もちをつく人、こねる人、ふかす人に、丸める人、みんなが力を合わせて、おいしい『もち』が出来上がってゆく。更地やプレハブに横で行われた、今年らしい『もちつき』であった。
 復興も、町内の人で力を合わせて、ねばり強く進めたいものだ。

(幹)

東尻池にて。
17日は午前中は
天気もよかったが…
午後から雨がちょっと降った
もちつき全景。こんな感じです。
ちょうど餅米をふかしている
ところ。集会所の2階から。


サンタが長田にやって来……た?!

−ちょっと早めのプレゼント− 12/9長田公民館にて

 私がサンタクロースの存在を信じて枕元に本気で靴下を置いていた頃。まさかこの自分がサンタに扮して子ども達に会いに行く日が来るなんて、誰が想像できただろう・・・・・。

 12月9日。長田公民館で、「保育を守る会」主催で、区内の4つの保育園合同のクリスマス会が行われた。集まった子ども達は下はまだ歩くことも出来ず、床をはいずりまわる乳児から、おませな小学生まで総勢100人!子ども達のお母さん方を中心に作られたこのクリスマス会。会場にはムードたっぷりの飾り付けと、歌、人形劇、そしてサンタクロースのおじさんからのプレゼントコーナーとまさに子ども達のためだけのパーティーだ。今の神戸のまばゆいばかりのイルミネーションの演出には、そりゃかなわないかもしれないけど、会場には、お母さんの、子供を思うあったかさで充満していた。
 私はお歌のコーナーでボランティアのプロの保母さんと共に、得意のアコーディオンをもって子ども達にクリスマスソングをプレゼント。もちろん身につけた衣裳はサンタクロースだ。ジングルベル、赤鼻のトナカイ・・・。クリスマス恒例の歌達を次々なんとか披露する。小学生ぐらいの子ども達は照れもあってか、なかなか宴に参加してくれなかったが、まだ小さな子ども達は体を揺らしたり、保母さん特性のゲームに参加したり・・・・。なんとか楽しい時間をすごすことができた。
 その後プロの芸人さんによる人形劇で(本当に素晴らしかった!)大人も子供もひとしきり盛り上がったところで、本日の主役、サンタのおじいさんが登場!・・・のはずが、サンタをひとめ見て子ども達は口々に、「あっっ、園長センセーだー!」なにはともあれ、子ども達は(推定)園長先生扮するサンタクロースにプレゼントとクリスマスケーキのおみやげをもらって、とても満足げだった。私もサンタの格好のままで帰り支度をしながら、ああ今の子供たちはサンタさんのことなんかあまり信じてないのかな、さびしいなと思った時、3歳ぐらいの男の子がまだおぼつかない足でちょこちょこ私のもとにやってきた。
 「サ、サ、サンタシャン??」と言ったまま、なかなか私の元を離れようとしない。ああ、やっぱりサンタクロースは永遠なのだ!

(菅田 智子)


托鉢のこころを神戸に長田に


 托鉢をなさった僧侶の方に神戸への教えを受けました。この仏教の教えがこれからもこのまちにいければと思います。

 12月21日、11時出発、ワラジのひもを強くしめつけ大きく息を一つ吸った。冷たい神戸の朝の空気を感じ、長田商店街へと3人の僧で少し足早に向かう。私の他に東京からの友人、佐藤承成氏(35才)、岩手県から先月ボランティアで知り合った、藤井隆英氏(25才)。当初は7名の参加予定があったが、年の瀬ともなり、3名となった。
 一つの不安があった。それは日本人のほとんどが托鉢を単に物乞いと考えているのではないだろうかという点である。しかし本来の托鉢の意味とは、物でも心でも自分以外に施しながら生きていくことを、差し出す側、受け取る側の双方が考え修行することなのである。
 「人は与えるとき豊かになり、欲しがるとき貧しくなる」「奪い合えば足りないが、分け合えば余る」という言葉がある。今まさに一日も早い復興を目指している神戸が、この一言の重要性、大切さに気付き、新年の出発を迎えることが出来たなら、そう願っての托鉢であった。
 長田商店街を通り菅原市場へ、そして、震災直後炊き出しでお世話になった兵庫区の須佐野通りへと足を運ばせていただいた。途中、食事(禅では点心(てんじん)という)を長田区の一角にある酒屋さんで、あったかいうどんとおにぎりを御馳走になり、「ストーブであったまりなさい」と、さらに心まであたためて下さった。
 一ヶ所、一ヶ所、そして一ヶ所と、震災で亡くなられたその場所を、その度ごとにローソクと線香に火を付けお経を唱えさせて頂き、災害の大きさと御遺族の方々の悲しみの深さを感じ、胸をしめつけられる様な気持ちで拝ませて頂いた。そして、この托鉢によって頂戴した浄銭は、三万三千八百二十円。震災遺児義援金とさせて頂きました。
 この托鉢に際し、多くの方々の御理解と御協力を頂戴しましたことを、ありがたく感謝申し上げます。特にお力添えを頂きました、兵庫商会の田中社長様に、この文面をお借りして、厚く御礼申し上げます。

(熊本県 地蔵院住職 荒木正昭 35才)


つづら折りの宴 出演者紹介


どんと
 1962年生まれ。岐阜県出身。担当パートはボーカル、ギター、パーカッション、ハーモニカなどさまざまで、多才ぶりを発揮。「どんと」と聞いてわからない人でも、「平成教育委員会」に出てたというと思い出す人もいるかもしれない。優等生ぶりがなかなか印象的だった。87年、4人編成のバンド、「ボ・ガンボス」を結成。この自分のバンドの他にも「ローザ・ルクセンブルグ」、「FLOWERS」、「海の幸のVocal&Guitar」などでも活躍している。また、時折ソロとして弾き語りでイベントに参加したりすることも。もしかしたら、今回の「つづら折り」もデュオでの出演になるかもしれません。(でも、まだ未定です。)

梅津和時
 アルトサックス、ソプラノサックス、クラリネット、バスクラリネットなどの演奏をこなし、また作曲、アレンジ、プロデュースなども手がける。実は知る人ぞ知るすごいアーティストである。1949年、宮城県出身。74〜75年はニューヨークを舞台に活躍。帰国後は「生活向上委員会オーケストラ」を結成し、一大ブームを巻き起こした。89年、7人編成のジャズバンド、「シャクシャイン」を結成、現在も活動を続けている。自己のバンド以外でも、数多くの国内外のジャズメンと共演。ジャズ以外のフィールドにおいても、ロック、ブルース、フォークから沖縄・島唄まで、その無差別共演はとどまるところを知らない。 また、日本を含むアジア各国のミュージシャンが集まる音楽フェスティバル「エイジアン・ファンタジー」では音楽監督をつとめた。今年10月には「エイジアン・ファンタジー・オーケストラ」の一員として、シンガポール、マレーシア等の国々を巡るアジアツアーを大成功のうちに終えた。

リクオ
 5月に水笠公園で行われた「長田復活祭」でも出演してくれたリクオ。ステージでは、エレクトリック・ピアノでの弾き語りで聞かせてくれた。ハートのこもった澄んだ歌声が、会場に響きった。その時のインタビューでこんな話をしてくれた。「震災だとか、サリンだとか、気が滅入るようなニュースばかりだけれど、深刻になってばかりいてもしょうがない。常に前向きに考えていたいと思う。『アリとキリギリス』という寓話があるけれど、こんな時こそ僕はキリギリスでありたい。」心をみずみずしく保ち続けるために、音楽が必要なのだ。

がじまるの会
 約20年前、沖縄青年の差別問題をきっかけに結成される。沖縄伝統芸能のエイサーを中心に活動。エイサーは「ウチナーグチ(沖縄語)」さえも失いかけた沖縄の青少年達にとって、「自分の思いをぶつける表現体」として、踊り継がれている。現在は、沖縄出身者以外の人も多数参加している。長田復活祭にも参加。


あきちゃん・かんちゃん「すたあと勉強室」No.11

〜こうべの復興を勉強しよう〜

あき
もういくつ寝ると、お正月?
かん
今年はあっという間に過ぎたね。
あき
お正月の休みには、自分のことだけでなく、自分たちの町づくりのことも考えてみたいわ。
かん
区画整理地区の人も大変だけど、それ以外の地区(「白地」地域)の人も、自分の町がどんなになってほしいか考えてみるといいね。
あき
アジアタウンとか川のある町っておもしろいわ !!
かん
ところで、「三方一両損」という大岡裁きを知ってるかい?
あき
三両を拾った人も、落とした人も、「もう自分のお金じゃない」と言うので、大岡さんが、一両を足して、双方に二両あげる話でしょ。
かん
今回の震災では、行政も一両出し、地主や家主も一両出し、家を借りる人も、一両損をした気分で相談することが大切と思うんだ。
あき
自分のことが一番大切だけど、他人のことも思って、明るい96年に是非しましょうよ。
(東尻池町・幹)


〜Information〜情報ページです。


つづら折りの宴
 1月21日長田神社で震災後一年をねぎらう無料コンサート「つづら折りの宴」を開催します。イベント開催までのポスター貼りとチラシ配布のお手伝いを広く募集します。楽しいコツもお教えします。曜日・時間・老若男女問いません。至急お電話下さい。

TEL 521‐7170 すたあと 友弘至子まで

活魚直売大会
【日時】12月29〜31日 9時〜
【場所】須磨海釣り公園
【問い合わせ先】TEL 735‐2907

三木山森林公園のイベント
☆凧揚げ大会
【日時】1月14日(日)13時〜16時
【場所】<凧の製作>森のクラフト館  <凧揚げ>イベント広場
※雨天時は凧の製作のみ
【参加費・定員】700円(材料費)・親子50人
☆野鳥の観察会と巣箱作り
【日時】1月21日(日)10時〜16時
【場所】森林公園園内 ※雨天時は室内でお話
【参加費・定員】600円(材料費)・一般50人
【持ち物】弁当・筆記具(双眼鏡あると良い)
【以上イベントの参加申込方法】電話またはFAXで・参加希望イベント名・住所と電話番号・氏名・参加人数を。 先着順。
県立三木山森林公園(三木市福井字三木山)
TEL 0794‐83‐6100
TEL 0794‐83‐6779

震災犠牲者一周忌 御菅地区合同慰霊祭
 実行委員会では、慰霊祭当日には出来るだけ多くの方のご参列をと願ってやみません。私どもも非力ながら、御遺族・御親類の方のご意向に添えるような心のこもった「慰霊祭」にしていく所存であります。どうかご理解の上、ご参列の程よろしくお願いいたします。
【日時】1月17日(水)13時半〜
【場所】菅原市場東側駐車場近辺 ※仏式・無宗派で執り行われます。※雨天決行 ※式の後はふぐ鍋が振る舞われます。
【問い合わせ先】
御菅地区合同慰霊祭実行委員会事務局(御蔵通5‐5兵庫商会3階)
TEL 578‐1100
TEL 030‐82‐30244

生活科学センターの講座・研究会
【日時】1月20日(土) 13時〜16時
【場所】神戸国際展示場(ポーアイ)
【テーマ】
・都市復興と市民参加〜たくましいまちづくりへ〜
・パネルディスカッション・新たな生活再建への発信
【参加費・定員】 無料・200名
【申し込み・問い合わせ先】
 県立神戸生活科学センター TEL 360‐8530



numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp