第一印象は「何だコレ?」
真っ赤な車体にホワイトシルバーの2本フレームが骨っぽい。更に三つ目のヘッドランプ。
赤い車体といっても単純に赤というにはあまりにも不適切だ。 見る角度によって深い赤からオレンジがかった赤まで変化する微妙な塗装が施されている。また後でわかったことだが、この赤は夜でもきちんと赤に見える。(たいていの赤は夜だとほとんど黒に見える) おかげで昼も夜もかなり目立つ。バイクにおいて目立つということは交通事故にあわないための条件の一つである。そのかわり悪いことをすればすぐに見つかるという、ある意味デメリットもある。
造形面ではラジエータファンを収めるサイドカウルが微妙な曲面を多用しており、更に端面はすべて内側にRがつけられている。さすがイタリアのメーカは造形へのこだわりに妥協がないと感じさせる。こんなデザインは作るのが大変で、日本のメーカでは決してしないだろうと思われる。特に転倒時にダメージを受けやすいサイドカウルならなおのこと、コストを下げられるデザインにすることでユーザへの便宜を図るのが日本メーカの発想のはず。
後ろに回ると、アニメやSFに出てきそうな尾翼(?)に支えられたウインカーステーとナンバープレートが見えてくる。これも日本メーカのデザインとは一線を画すところ。こんなデザインだったら部材は増えるし、その部材も強度が必要なためにそれなりに高価なものになってしまう。更に電装系の取り回しも制限が多くなるのでメンテナンス性を犠牲にしてしまう。製造コストもメンテナンスコストも無視したこのようなデザインは造形美にこだわるイタリアならではのものだろう。(と思っていたらSUZUKI
SV1000がこれとそっくりなデザインで出てきた)
一見安っぽく見えるプラスチック部分も実はポリカーボネート素材で、カウル、タンクも同様の素材でできている。ポリカーボネートというのは曲げや衝撃に強く、転倒しても傷がついたり曲がるだけで割れることはほとんどない。FRPだと転倒の際にカウルが割れるのでカウル交換になることが多いのだが、ポリカーボネートであればカウル交換しなければならなくなるようなことはまずない。
ちなみに、ポリカーボネートというと iMac や iBook、 PowerMac といった Apple の一連の製品の外装にも使用され、コンピュータ業界でも有名になった素材である。
装備を見てみる。
操作系は日本車とまったく変わらない。
ブレーキレバー・クラッチレバーとも4段階のアジャスタが付いている。
メータはデジタル多機能メータで、ツイントリップメータはいうにおよばず、停止時であれば直前1000km以内の最高速度や平均時速などがわかるほか、レース時などで自分でラップを測ることができるようにもなっている。もちろん時計や水温計もあり、更にダイナモの発電力もわかる。スピードはkm/hのほかマイル表示も可能。温度計は℃のほか華氏表示にもできる。タコメータにはシフトチェンジインジケータがついており、設定した回転数に達すると赤いLEDがうるさいくらいに点滅する。更にはある程度走行すると自動的にSERVICEという文字が表示され、自分から整備に連れていけと主張する。
ヘッドライトはノーマルでも十分に明るく、HIDの必要性は感じない。
タンクは上述したようにポリカーボネート製であるため、マグネット式タンクバッグが使えない。容量は21L。リザーブはなく残量4Lを切ると燃料警告灯が点灯する。なおガソリンはハイオク指定である。筆者のように街乗り中心の使い方だとだいたい燃費は12〜14km/Lで、180〜200km走ったところで給油するのがパターンとなっている。高速中心なら17km/L位になる。
エンジンはロータックス製の60°Vツイン。対してDUCATYや HONDA、SUZUKIのスポーツ系ツインはどれも90°Lツインを採用している。狭角ツインはLツインより振動が激しいという定説があるようだが、このエンジンにはその振動を抑える優秀な機構がついているため、その定説はあてはまらない。
リアにはグラブバーが装備され、リアカウル下には荷掛けフックも装備される。タウンユースやツーリングユースを考慮していることがわかる。
ただしFalcoにはメットホルダーがない。シート内側のメットベルトフックすらない。BOSCO MOTO店員の話では、イタリアではバイクを止めてもヘルメットは盗難防止のために必ず持って車を離れるのが常なのだとか。しようがないので私はヘルメットを固定する際には自転車用の小型ワイヤーロックを利用してグラブバーにくくりつけることにした。
シートはタンデムシート部分が別パーツになっており、タンデムシートとシングルシート用パーツが付属する。シート下の空間はかなり広く、車検証・付属工具のほか緊急用のレインウェアとツーリングネット、ウェス(雑巾)を入れても十分な余裕がある。シングルシートパーツには更に小物が入れられるようになっている。
対抗であるHONDA VTR1000Fの欠点をよく研究している。
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