平成十六年十一月七日 せんべろ紀行 その四

 ホルモンうどんをもう一度

 朝起きて、先ずはサンプレイン長堀の展望風呂へ。酒気が抜けたところで、新世界へ。目指すは公楽劇場だが、その前にホルモンうどんで朝食を。
 前回気になったのは、左隣にある丸藤という店。丸徳とは店名も似ているが、それよりお品書きがそっくり。中に入ると店の造りまで同じだ。なんでこんなよく似た店がわざわざ隣同士に建っているのか判らないが、やはり食べ比べてみたいというのが人情、と云うことで今日は丸藤で。ホルモンうどんと黒ビールを頼む。他の客もやはりみんなホルモンうどんを頼んでいる。清酒は二級二百三十円、一級三百円、特級四百円。
 丸藤を出て公楽劇場へ。この日は「悪名無敵」「人生劇場 飛車角」「野良犬」の三本立て。お目当ては人生劇場飛車角だったが、開始が二時半。まだ十一時半だ。そこで映画の前に、前回京橋で三軒目に入った店を思い出すために新今宮駅から国鉄に乗る。
 新今宮駅の切符自動販売機は料金ボタンを押してから切符が出て来るまで十秒かかる。

丸藤

ふたたび京橋

せんべろ探偵」の地図は?

 道が思い出せるかどうか気にはしていたが、拍子抜けするほどあっさり着いてしまった。道筋を記すと、国鉄京橋駅北出口改札出て右、駅を出たら右に駅に沿うように進み最初の角を左に曲がると右手に「多聞」「七津屋」「岡室」の順に並んでいる。多聞の手前の角を左に曲がるとすぐ右手に目指す「京屋本店」があった。店の名前は覚えていなかったが、店構えは思い出した。
 「日本酒冷や」で三杯。肴は「あじのお造り」「湯豆腐」「おでん」。ここの湯豆腐も出汁で頂くのだが、載っているのは昆布ではなく花鰹。
 いい気分になったところで、新世界へ戻る。帰りがけ、熟撰のお礼に岡室で一杯引っ掛けようと思ったのだが、満員だったのであきらめる。

京屋本店 看板

京屋本店 全景

名画座 公楽劇場

 おやじのたまり場

 中に入るとおやじをおやじで煮しめたような、おやじとしか言いようのない人達が数十人。大抵は寝ている。あちこちからうめき声と痰を切る音が聞こえてくる。座席はボロで、汚れている。
 そんなことも映画が始まれば忘れてしまう。おとよを演じる佐久間良子が高熱で苦しむ場面があるのだが、これが色っぽくて良い。
 新大阪五時十分発のぞみ六十号にて帰路につく。

公楽劇場 上映中

永遠も半ばを過ぎて 〜 あるいは中島らもについて