平成十六年十一月六日 せんべろ紀行 その三

 大阪へやって来た

 大阪で中島らも追悼写真展を見た後に前回行きそびれた松浦酒店、鳥栄を巡る。
 宿は、アローホテルが空いていなかったので、サンプレイン長堀にする。深夜二時半まで開いている最上階の展望風呂がお勧め。チェック・インすると、十階にある居酒屋の無料ドリンク券をくれる。ただし有效なのは当日限り。

松浦酒店

 オフィス街 憩いの場

 地下鉄御堂筋線淀屋橋駅を降りて、北に向かい、橋を渡る。その後、西天満を数十分さまよい歩いたのち、松浦酒店を発見。
 日本酒冷や三杯。肴は「おでん」「どて焼き」「キスの煮物」。テレビでは日米野球を放映している。ボブ・サップが野球のユニフォームを着て登場、特大のホームランをかっ飛ばす。
 どうやらここいら辺はオフィス街のようだ。そのせいだろう、写真で判るように、暖簾も看板も地味。仕事帰りに一杯引っ掛ける会社員のために酒屋が立ち飲みカウンターを用意した、と云った趣の店構えである。
 勘定を済ませて阪急梅田駅へと向かうが、やはり数十分さまよう。大きな歩道橋を登り、地図を眺めていると、浮浪者のおっちゃんに声を掛けられたので、「梅田に行きたいんですけど」と言って道を尋ねる。
 すると、そのやりとりを見ていた通行人が「梅田やったら同じ方向だから連れて行ってあげますよ」というので、浮浪者のおっちゃんに礼を言って別れる。日本酒コップ三杯呑んできたばかりの酔っぱらいを梅田に連れて行ってくれた人には伏してお礼を申しあげるより他はない。

松浦酒店 左手入口

松浦酒店 看板

松浦酒店 右手入口

松浦酒店 本業

鳥栄

 壁にらも一家写真

 阪急梅田駅から池田駅までは快速で十八分、各停で二十四分。梅田よりの改札を出たら国道百七十六号線を渡って三つ目の信号、左向こう側の角が鳥栄。見ての通り派手な店構えなのですぐ判る。
 肉屋はもう閉っているが、左側のやきとり屋はまだ開いている。店に入り、生ビールと梅サワー、青リンゴサワーを呑む。ツマミはきも造り、とさか、せせり、シャモむね。普通のやきとり屋と違い、炭火の入った七輪が出て来て、自分で網で焼く。肉も串に刺さっているのではなく、焼き肉屋のように皿に盛って供される。
 カンガルーとアザラシも頼んだのだが、「変わり物」は隣の肉屋を閉めた後はもう出来ないとのこと。非常に残念である。
 客は家族連れが多い。僕は入って左側のテーブルに座ったのだが、ふと見ると壁にらも一家の写真がピンで留めてある。おそらく「せんべろ探偵が行く」の時に撮った物だろう。

鳥栄 全景

鳥栄 左側のやきとり屋

鳥栄 お品書き

鳥栄 お品書き 変わり物

鳥栄 らも一家

サンプレイン長堀に帰る

 寢過ごす

 部屋で一休みしてから夜景の見える展望風呂に入り、その後居酒屋で風呂上がりのビールを楽しむつもりだったが、寢入ってしまった。気が付くと三時過ぎ、風呂も居酒屋も終わっている。

永遠も半ばを過ぎて 〜 あるいは中島らもについて