『ボクはきらめき高校の生徒になりたいッ!』 第1話
ときメモラーなら誰でも一度は「あ〜、マジでテレビの向こうのカワイイ娘ばっかのハーレムみたいでステキでナイスでグレートなときメモワールドに行きてえよなあ〜」と思ったことがあるだろう。という書き出しで分かると思うが、このSSはそういう現実逃避的な内容になっている。っていうか筆者は何の構想もなくただ、なーんとなく書き出したSSなので、きっと起承転結はねえし話も破綻して書くのもかったるくなって完結しないどころか第1話とか言っておいて第2話が永遠に更新されない可能性もあるが、それを承知で読んでいただきたい。みたいな。
真夜中。
深夜2時以降から脳細胞が活性化するオレは、毎日の日課である『ときメモ』をプレイしていた。
オレは、どこにでもありそうな普通の高校の普通科に通う普通の高校生。まあ、いまどきの茶髪でロン毛でズボンを腰履きしてるようなダラダラした高校生を普通とするなら、オレは普通ではないかもしれないが、マクロ的に見れば普通の高校生だ。などとSSにあるまじき説明的文章でスマヌ>筆者。
とにかく、平凡だけどちょっとゲーム好き、というわかりやすい設定のオレは、『ときメモ』に熱中した。
ゲームの中のオレは、現実と違って優秀だった。ボタンを押せばオレは簡単に、女の子にモテモテ、運動、勉強なんでもこいのスーパーマンになれた。きっと、それが嬉しかったからオレは『ときメモ』にハマったのだろうなどという辛気臭い理屈は少しも考えずに、ゲームの中の女の子というか虹野さんがかわいくて仕方なかったので、『ときメモ』をやってやってやりまくっていたら、おかげさまで今回のプレイがめでたいことに虹野さんクリア回数100回目ということになった。
今や眼を瞑っていたってクリアできるほどやり込んでいるから、ただクリアしたってオレの脳波に変化は見られない。が、記念すべき100回目ともなればさすがにちょっとはうれしくもなるしドーパミンとかエンドルフィンとかそーゆーのがジャカスカ出まくりである。ってスゲエ喜んでるじゃねえか>オレ。みたいな。
「やっぱクリア回数の表示って、99回超えたら0回とか1回に戻っちゃうのかな〜」
などと独り言を言ってたら、無事3月1日を迎えたので、オレは伝説の樹に向かう選択肢を選び、正座して虹野さんの「あなただけを応援していきたい!」がスピーカーから出力されるのをじっと待った……のはいいが、いつまでたっても画面が変化しない……。
アクセスミスか!?
そう思ったオレはアクセスを促すため、お手持ちのゲーム機をチョップした。そしたら画面が飛んだ……いや、飛んだのはオレの頭の方で、一瞬、虹野さんが
「ありがとう……」
とささやいた気がしたと思ったら目の前のテレビがこの世のものとは思えない閃光を発したその刹那に耳をつんざく爆音とともにテレビが破裂し爆風と共に飛び散った火の粉が辺りを火の海に変えたからあぁオレは爆死だ即死だご臨終だと思った瞬間「ゴンッ!」という鈍い音が耳に入ったオレの視線の先にあったのは通いなれた学校の見なれた教室の汚い天井だった。
辺りから笑い声が聞こえる。
………………。
夢……!?
なんつー夢を見たんだ、オレは……。
「おぉ〜、居眠りしてるからだぞ〜」
黒板の前に立つ、体育会系肉体派空手家風化学教師のその言葉で、オレは全てを理解した。
そうか、授業中に居眠りしてイスからコケたのか……。後頭部がズキズキするところをみると、今の鈍い音は床に頭を打ちつけた音だったらしい。
姿勢を立て直してイスに座ると、目の前にはいつもどおりの退屈な景色が広がっている。
冬でも半そで短パンのロリコンと噂される化学教師。
ディープな会話ができないからちょっと残念だけどそれはそれで気さくなクラスメート。
校庭のはずれに立つ伝説の樹。
……で、伝説の樹!?
オレは思わず立ちあがって窓の外を見た! 確かに「♪この〜樹なんの樹気になる樹〜♪」っぽい樹が立っている。伝説の樹! そうだ! あれは伝説の樹だ!
ということは、ここは私立きらめき高校!! 夢か幻か!? オレはそれを確かめるべく自分の頬をつねった。そしたら伝説の樹が飛んだ……いや、飛んだのはオレの頭の方で、一瞬、虹野さんが
「ありがとう……」
とささやいた気がしたと思ったら目の前の伝説の樹がこの世のものとは思えない閃光を発したその刹那に耳をつんざく爆音とともに伝説の樹が破裂し爆風と共に飛び散った火の粉が辺りを火の海に変えたからあぁオレは爆死だ即死だご臨終だと思った瞬間「ゴンッ!」という鈍い音が耳に入ったオレの視線の先にあったのは通いなれた学校の見なれた教室の汚い天井だったからまた外を眺めると伝説の樹が見えたので頬をつねったら伝説の樹が爆発して……そんな無限ループの中、573回目の「ゴンッ!」という音が耳に入ったオレの視線の先にあったのは通いなれた学校の見なれた教室の汚い天井ではなく、清々しく晴れ渡る青空だった。
オレが倒れていたのは教室ではなく、ベンチ。そう、オレはなぜか、サッカーグラウンドが見渡せるベンチで横になっていた。
「目、覚めた? よかったぁ……」
聞きなれた声。見上げると、空からの日差しがオレの目の前に人の影を作っていた。そして、そのシルエットが誰のものか、オレは1ナノセコンドで認識した。
「ボールがぶつかってずっと気を失ってるんだもん、すごく心配したんだよ……」
「ゴンッ!」という音で目が覚めたはずなのだが、どうやら実際はそうではないらしい。
オレは起き上がると、声の主の方を向いた。
青い髪、青い瞳、長いもみあげ……。
やっぱり!!
そう、虹野さんだ!
今、オレの目の前で虹野さんが立体的に存在している!
「ど、どうしたの!? そんな、驚いた顔して……」
夢か幻か!? それを確かめるべくオレは自分の頬をつねろうかと思ったが、虹野さんが爆発しちゃったら泣くに泣けないので思い止まり、夢でも幻でもこの際どっちだっていい! ということにした。
「ヤベエ……本物だ……」
思わず口に出すオレを見て、虹野さんはキョトンとした顔をしている。
か、かわい過ぎる!
虹野さんのあまりのかわいさに、一瞬、オレの理性は途切れ、どうせこんなの夢だ夢に決まってる夢なんだから襲いかかってもオッケー? みたいな危険思想を思いついたが、元来小心者のオレは、襲っちゃマズイっしょとりあえず手を握ってそっからムードを盛り上げて襲っちゃおうって結局襲うのかよまあいいかどうせ夢だしという結論に達し、勇気を振り絞って虹野さんの両手を掴んだ。
「え!? ちょ、ちょっと!?」
慌てる虹野さんの顔がみるみる赤くなっていく。でもオレの手を振り払おうとはしなかった。
よっしゃ! さすがオレの夢! なんてご都合主義なんだ!
そのまま、虹野さんをじっと見つめるオレ……。
恥ずかしそうにうつむき、オロオロする虹野さん……。
く〜っ! 神様ありがとう!
「ちょっとっ! 虹野先輩になにしようとしてんのよぉっ!!」
そう聞こえた瞬間、オレの視界を巨大な球体が満たしたかと思ったら顔面に衝撃が走り、オレは見事に吹っ飛んでしまった。
そして、ああ、この声も聞き覚えがあるなあと思いつつ、オレは気絶するのだった。それにしてもアンタこういうオチ好きね。ってうるせえよ>筆者。
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