ウォールデン ミネルヴァ書房 (2006/04)
上岡 克己・高橋 勤 (編著)
ウォールデンの森にかかっていたモヤが晴れる, 2006/11/5
ヘンリー・D・ソローの『ウォールデン』は読みにくい、としばしば言われる。それは、多分、日本語として、論理としては理解できても、言っていることの「意味」が分からないからではないか、と私はこの本を読んで気がついた。ソローが言っていることの背景、つまり、関係する歴史、文化、人物等々についての知識が、私たち日本人にはあまり無い。そのような知識を得るために、この本はかなり役に立つ。 しかし、この本の対象者をどう想定しているのか、はクリアーでない。ソロー研究を始めようとしている人なのか、素人なのか。素人にはやや難しいのではないか、と思う。私のような素人には、いくつかの部分で解説がほしくなる。例えば「超絶主義」という言葉が何の説明もなく頻出するのだが、私にはその知識がない。最後の章になって「人間の側から神へ接近しようとする超絶主義哲学」という記述があって、少し想像できるようになったが、早い内に解説がほしい。単語の理解なら辞書を引けば良いかもしれないが、章自体が難しい、そんな章もある。とはいえ、全体としては、この本を読むとウォールデンの森にかかっていたモヤがかなり晴れてくるのを感ずる。
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