青春の文語体  筑摩書房 (2003/11/25)   安野 光雅(著)
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その文章の気負うところ、志の高さ、訴える気概など, 2004/3/20

著者安野さんは、森鴎外の「即興詩人」を絵本に編纂して現代に蘇らせた。それから1年、今回、この本で安野さんは、文語文の詩歌や散文を選び出し、それらと安野さんとの関わりなどを交えて語っている。勿論「即興詩人」も3個所に顔を出す。安野さんはそれを文語文の最高水準と位置づけておられて、その他の文語文だけでなく是非、即興詩人を読んでほしいと言っている。そして「思うに文語文は、その文章の気負うところ、志の高さ、訴える気概などにおいて、青春の文学なのである」と書名にも言及する。文語作品の選び方と解説の内容のみならず、本の装丁、特にカバーの絵、書名の浮き上がった活字など、内容とマッチして、本として最高の出来映えと言えるかもしれない。それやこれや、私は、この本が安野さんの遺書かと疑ったけれど、その後もご活躍のようなので、安心して次の作品を楽しみにしている。

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