第18章
大道廢。有仁義。知慧出。有大偽。
六親不和。有孝慈。國家昏亂。有忠臣。
第19章
絶聖棄智、民利百倍。絶仁棄義、民復好慈。
絶巧棄利、盗賊無有。此三者、以為、文不足。
故令有所屬。見素抱樸、少私寡欲。
第20章
絶學無憂。唯之與阿、相去幾何。美之與惡、相去何若。人之所畏、不可不畏。
荒兮其未央哉。衆人熈熈。如享太牢。如春登臺。我獨泊兮其未兆。如嬰兒之未孩。累累*兮若無所歸。
衆人皆有餘、而我獨若遺。我愚人之心也哉。沌沌兮。
俗人昭昭。我獨昏昏。俗人察察。我獨悶悶。
澹兮其若海、飃**兮似無止。衆人皆有以、而我獨頑且鄙。我獨異於人而貴食母。
絶學無憂のフレーズは、19章の最後に付くこともあるとのこと。19、20の両章を一体のものとして読めばどちらに付こうが同じ、と思う。第18章の知慧出、有大偽も同様の意味であろう。
*正しくは、にんベンに、田を3個お供え状に積んでその下に糸。「るいるい」と読んで、疲れ果ててよろよろな様子。
**正しくは、かぜヘンに謬のつくり。「れう」と読んで、風の強く吹きすさぶ声。
第18章
大道廃れて仁義有り。知慧出でて大偽有り。
六親(りくしん)和せずして孝慈有り、国家昏乱(こんらん)して忠臣有り。
第19章
聖を絶ち智を棄つれば、民の利は百倍す。
仁を絶ち義を棄つれば、民、好慈に復す。
巧を絶ち利を棄つれば、盗賊有ること無し。
此の三者は、以為(おも)へらく文なれども足らずと。
故に属する所有らしむ。
素を見わし樸を抱き、私を少なくし欲を寡くせん。
第20章
学を絶てば憂え無し。
唯と阿とは、相い去ること幾何(いくばく)ぞ。
美と悪とは、相い去ること何若(いかん)。
人の畏(おそ)るる所は、畏れざるべからず。
荒として其れ未だ央(つ)きざる哉。
衆人は熈熈たり。太牢を享(う)くるが如し。春、臺(うてな)に登るが如し。
我れ獨り泊(べき)として其れ未だ兆あらず。嬰児の未だ孩(がい)せざるが如し。
累累*として帰する所無きが若し。
衆人は皆な余り有りて我れ独り遺(わす)れたるが若し。
我れは愚人の心なる哉。沌沌たり。
俗人は昭昭たり。我れは独り昏昏(こんこん)たり。
俗人は察察たり。我れ独り悶悶たり。
澹(たん)として其れ海の若く、飃(りょう)**として止まるところ無きに似たり。
衆人は皆な以(な)すこと有りて、我れ独り頑にして且つ鄙(ひ)なり。
我れは独り人に異なって母に食(やしな)はるるを貴ぶ。