イギリス、湖水地方を歩く 岩波書店 (2004/08) 谷村 志穂(著)
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バスツアーでなくて歩くことで体験できるすばらしさ, 2004/9/7
イギリス湖水地方は、最近はワーズワースよりビアトリクス・ポター(というよりピーターラビット)によって関心が高いのではないでしょうか?その代表的なコースをトレッキングした作家谷村志穂さんの紀行。この地方の風景と人とちょっぴり歴史とをおとなう一週間の秋の旅。
この地方は、日本人が観光で頻繁に訪れる人気のコースです。しかし、谷村さんは、バスツアーでなくて歩くことで体験できるこの地方のすばらしさを伝えてくれます。トレッキング専用歩道であるフットパスが密に張り巡らされている様子、振り返ると今歩いてきた素敵な景色がひらけて見える感動、コテージでの人との交わりなどをとおして、谷村さんは、そのことを強く訴えておられて結構良く伝わってきます。大学で動物学を学んだ谷村さんだから、灰色ウサギの他にもロビン(イギリスの国鳥)や赤毛のリスやいろんな風体のヒツジとそれを追うイヌなどがしばしば描かれます。
この本は、NHK(BS)の「トレッキング紀行」の紙上版。だから、取材の裏話や放映されなかったシーンも少しだけ紹介されています。映像とこの本で私もこんな旅がしてみたいと思ったものです。欲をいえば、ということで苦言を呈せば1写真はすべてモノクロですが、それらが小さすぎて老眼の私にはつらい。2地図があまり適切でない。土地の名前か湖水の名前か分からない記名とか、「立ち寄ってみるのもいい」とされた場所でも、添えられた地図にその地点が時に書かれていないとか、モノクロの濃淡が地形の高低とどう関係するのか読みとれない、など。3コラム風の写真入り見開きページが、後半2個所で、谷村さんの流れるような叙述を途切れさせて割り込んでくる。でもこれらはマイナーです。