完訳 ファーブル昆虫記 第10巻 下
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳) 集英社 (2017/5/30)
最終巻(冊)は虫の話のほかに回想も、, (2017/7/23)
いよいよ大詰めです。キンイロオサムシ、ミヤマクロバ、エコマユバチを中心とした虫たちの話のほかに、キノコに焦点をあてた虫たちとの関係、それに第11巻用に準備された未定稿をルグロさんが編集したツチボタル、とキャベツのアオムシが集録されています。他の巻の多くもそうですが、その虫に係わる他の虫との関係、つまり捕食や寄生などを興味深く描いています。それらの他に、ヒタキの卵を持ち帰って助祭さんに叱られた話など幼年時代の思い出、忘れられぬ授業、応用化学についての回想録が間に入れられています。年老いたファーブルが、できる限りの虫の話や自分と虫たちなど自然界との関わりを読者に話しておこうとがんばっている姿が目に浮かぶようです。
私は、若い頃から「昆虫記」の関心のある部分をその時その時に読んできましたが、読んでない巻もたくさんありました。それを、今回、2005年11月の第1巻の発行を機に最初から最後まで読むことが出来ました。今、私の本棚には、完訳ファーブル昆虫記が20冊、金色の背表紙を輝かせて並んでいます。大変な訳業を完成させた奥本大三郎さんにお礼の気持ちをこめて書評を書いてきました。どうもありがとうございました。