冬の日        

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 冬の日は、
 朝の空気が
 皮膚をひんやりと
 刺激するのを楽しむのです

 冬の夕べには、
 ストーブのぬくもりと、
 眼鏡をほんのり曇らせる紅茶の
 香りを夢見るのです

 時雨れた日は
 この人に傘をさしかけ、
 寄り添い歩く、そのことを、
 そっと、愛おしむのです

 凩の吹いた午後、
 あのような戦争はもうごめん
 憲法9条を守ろう、と
 老婆が差し出す署名簿に
 賛同してきた、そのことを
 頬を両手に挟みながら
 よろこぶのです

 そして、小春日和の日には、
 辛夷のビロードの蕾が
 鈴なりに群れる垣根に
 春が遠くないことを知り
 冬の日を大切にしよう
 と、思うのです。

                                                                        (2006.12.11)

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