日暮れ竹河岸 (文庫)
文春文庫 (2000/09) 藤沢周平(著)
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絵のない絵本, 2002/12/1
「江戸おんな絵姿十二景」と「広重『名所江戸百景』より」の2部からなる。
著者によると、前者は、著者があらすじを編集者に渡し、それにふさわしい絵をさがしてもらったとのこと。
文藝春秋誌の同じ企画で、辻邦生は「十二の肖像画による十二の物語」および「十二の風景画への十二の旅
」を創っているが、辻の場合は先に絵があったと聞いている。どちらが先でもよいが、いずれも美しい傑作を私たちに残してくれた。辻の作品には絵がついていたが藤沢のそれは文庫になったせいか、絵がないのが寂しい。初出誌、全集、単行本を私は見る機会を得ていないが、絵の入ったものを見てみたい気もする。しかし、藤沢作品からは、リアルなおんな絵姿が瞼に浮かんでくるから、絵のない絵本としで読むのもまたひとつの楽しみでもある。