東山魁夷ものがたり ビジョン企画出版社 (2002/06) 佐々木 徹(著)
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シンプルな形と色なのに・・・、そこに到るまでの軌跡, 2002/9/7
この本に掲げられたカラーの代表作や多くのモノクロ写真をみながら、シンプルな形と色なのになんと不思議な奥行きと魅力をたたえていることよ、と今さらながら思う。東山絵画のそんなところが好きな人も嫌いな人もいるが、私は前者。そして、自然界では、万有引力の法則などのごとく、世をのべて支配する重大な法則ほどシンプルに描けるのである、などと言って勝手に満足している。
ある有名人の人生と作品をそっくり受け入れた立場で書いた本が伝記で、それを批判的に評して現代的意義や文明などにとっての課題などを明らかにした本を評伝というならば、本書は前者。シンプルな形と色による自然の真理の造形がどのようにして実現されたか、その軌跡を示す伝記です。
入門書とすれば廉価にこしたことはないが、図版が美しく、文字、組み版が見やすければ、少し高くてもよい、と思うが、せっかく付けて頂いた資料編に、作品集の目録があると良いのに、とも思った。