大地の風 ー 女が辿った敗戦 満洲の彷徨  玉田 澄子(著) ハート出版 (1991/05)
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迫真の満州敗戦体験記
, 2007/7/19

迫真の満州敗戦体験記です。満州の体験記はたくさんありますが、どれが良いかと問われれば、これは欠かせません。それに、これは母娘のすばらしい共著です。

母親は、悩み抜いたあげく、子供を生かすためにもと中国人に嫁す。生物の進化は、専門家の話によると遺伝子が自らのコピーを増やそうとすることを通して進むのだそうですが、人間も極限におかれたとき、とりわけ母親は本能的にそれと似た行動を取るかのようです。実際は、子どもを養父母のもとに託したり、様々でしょうが、生物学的にも、それらが正解なのでしょう。

この本のような事実が莫大にあったことを思うと、未だに戦争のできる国をつくろうする政治家がいることが信じられません。南京での大虐殺を認めない人々は、これらの事実をもデマとかウソとか言うのでしょうか。私たちのような庶民の生命を、やはり「紙吹雪のように」捨てる、そんな神経の持ち主なのかと恐ろしくなります。


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