日本仏教曼荼羅    

        ベルナール・フランク(著) 仏蘭久淳子(訳) 藤原書店 (2002/05)

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日本の仏教を「お札」に見る、等々。目から鱗のイコノグラフィ, 2002/8/7

 ラフカディオ・ハーンの「知られざる日本の面影」に導かれた著者は、通算8年余にわたって日本全国の寺院や村々を渡り歩いて仏教だけでなく神道まで調べ、日本における宗教生活をリアルに把握し、インド、中国からの道筋と合わせて仏教の正統的教義と庶民生活の融合の実体を解き明かした。その結果は、「日本仏教パンテオン」あるいは本書のタイトル「日本仏教曼荼羅」の概念に結晶している。具体的には、多様な「お札」のイコノグラフィとしての解析が面白い。

 本書は、国際日本文化研究センター主催の東京講演、記者を相手の飛行機の中でのレクチャーを含む11編の論考からなるが、仏教を中心とした日本の宗教に関するフランス日本学の成果を、日本人に提示したという意味が強い。西洋からみると、日本という国の枠をはずして日本仏教を解析すると、また違ったところが見える、という「目から鱗」を多く示してくれる。日本を見つめ直すよすがともなる一冊である。

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