<さぽおたあ通信 No.10 1996年9月6日号>
目次・
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P1 挨拶と目次
〜 ごあいさつ 〜
さぽおたあの皆さん、こんにちは。発送は「今夏中」としていたのですが、また遅れてしまいました。誠に申し訳ございません。
なお、さぽおとの事務局スタッフが、菅田・河合から、小野・吉田・河合となりました。今後とも、皆さんに神戸の「今」をお伝えしていきますので、宜しくお願いいたします。
(河合 敏雅)
〜 すたあと長田より改めてごあいさつ 〜
震災から1年8ヶ月。長田のまちの「復興」はいまだ不透明で、多くの人々が住み慣れたまちに戻れず、離散したままで生活しています。被害の大きかったまちとそうでないまちの差が開く一方で、いわゆる「ボランティア」として関わる人間の数は震災直後に比べて激減しています。
しかし、現在もさまざまな立場の人間が震災後の現実を支える活動を続けており、何とか希望の持てる“次”のために模索しています。
私たち「すたあと長田」も微力ながら、その力のひとつとして活動しています。
<目次>
2〜3p すたあと長田スタッフ紹介
4〜5p 御蔵5‐5特別編「さぽおたあのみんなへ」
6p ウィークリーニーズ配達先一覧表
7p FMわぃわぃ「サタデーエクスプレス」出演ゲスト一覧表
裏表紙 中村パパの「つれづれなるままに」アロマへの道/編集後記
<別紙1> ・「さぽおとの更新手続きについて」
<別紙2> ・「ピースボート梅田さん訃報」
P2・3 すたあと長田 スタッフ紹介
さぽうたあの皆さんの中に、こんな疑問を持っている人はいませんか?
「すたあとにはどんな人たちが居るの?」「以前、すたあとの活動に参加していたけど、僕の知っているメンバーは、今何人ぐらい居るの?」
というわけで、このページで、現在すたあと長田の活動に参加している人間を紹介してみたいと思います。
すたあとでは代表制度を採らず、一人一人の負担を軽くするため、複数の「事務局員」が代表の代わりに、すたあとの責任者として活動しています。
現在「事務局員」5人のほか、30人ぐらいがスタッフとして登録されています。しかし、30人の中には、個々の理由によりなかなか活動に参加できない人も居ますので、最近2ヶ月ぐらいの間にすたあとの活動に参加したメンバーを紹介したいと思います。
- ○和田幹司〈事務局員〉◇52歳◇会社員◇通称:幹司さん
- ご存知「あきちゃん かんちゃん」のかんちゃんです。平日は、大阪でカメラ会社のサラリーマン、土日に長田で活動。タイムリーな話題を求めて、長田せましと駆け回ります。
- ○小野幸一郎〈事務局員〉◇29歳◇フリーター◇通称:おのッチ
- 神奈川県出身。「デイリーニーズ」を作り出したスタッフの一人。昨年夏に長田に戻ってきて、兵庫商会でバイトをしながら、まちづくりのためのボランティア「まちコミュニケーション事務局」#と「すたあと長田」で活動。
- ○吉田信昭〈事務局員〉◇21歳◇プリーター◇通称:のぶ
- 16歳からフリーターになり、ほとんど実家にいない神奈川県民。自称、東京生まれ東京育ちの北海道人。
- ○筒井裕貴(ゆたか)◇17歳◇フリーター◇通称:バカボン
- 「FMわいわい サタデーエクスプレス」のミキサー担当で事実上まとめ役。専門はガテン(力仕事一般)。
- ○菅田智子◇21歳◇看護婦◇通称:すがちゃん
- 性格の明るさは、すたあとNo.1! 宴会部長。
- ○河合敏雅◇21歳◇神戸市外国語大学学生◇通称:かわかわ
- 前代表。パソコンオペレーター。
- ○和田朋子◇20歳◇神戸市外国語大学学生◇通称:ぽんず
- 5月からすたあとの仲間入り。「サタデーエクスプレス」のアシスタントD・J。
- ○田村圭子◇27歳◇看護婦◇通称:たむたむ
- W・N配達員。
- ○横田ゆり◇22歳◇神戸市外国語大学学生◇通称:よこちゃん
- 女ガテン。W・N配達員。
- ○和田榮子・高幸(親子)◇主婦・学生◇
- W・N配達専門。
- ○加瀬久美◇24歳◇主婦◇
- すたあと専属イラストレーター。W・N vol.3のタイトルはほとんどこの人の作品です。
- ○瀬戸綾子◇13歳◇中学生◇
- イラストレーター。女の子らしい、可愛いイラストでW・Nを読みやすくしてくれます。
- ○吉栖一二美◇主婦◇
- イベント手伝い、宴会スタッフ。
- ○下橋朗代◇主婦◇
- W・N配達専門。
- ○勝山和哉◇26歳◇呑む人◇通称:かっちゃん
- 「サタデーエクスプレス」のミキサー。イベントなどの助っ人。今は活動休止中。
- ○友弘至子◇25歳◇フリーター◇通称:とろひも
- W・N配達員。お祭りとなると目の色が変わる。
- ○沼田英俊◇29歳◇東京大学大学院生◇通称:にゅまた
- インターネット・ホームページ制作担当。(勝手に)すたあと長田東京支部支部長。長田本部のアドバイザーとしても心強い。
- ○家田慈子◇24歳◇会社員◇通称:いえちゃん
- イベントがあると長田に来て、へろへろになって次の日名古屋でOL。
- ○金原雅彦◇24歳◇フリーター◇通称:きんちゃん
- 埼玉支部長。ふらっと来ては、写真を撮って行く。文章の校正や自転車での配達で、すたあとに貢献。
- ○山崎力◇22歳◇大学生◇通称:つとむ
- こき使われるために時々すたあとに遊びに来る。
(吉田 信昭)
P4・5 「御蔵通5‐5」特別編
「すたあと長田」にいる者から「さぽおたあ」のみんなへ
「田中社長編」が半ばですが今回はうってかわって、今の「すたあと長田」自身の事とそこにいる僕自身(小野幸一郎)の事について書きます。何であらためてそんなこと書くのかっていうことはこの文章を最後まで読めば(たぶん)わかる。
- はっきり言って今の神戸の「ボランティア活動」は、『不透明』だ。
- 『不透明』とは別に活動内容を隠している訳じゃなくて、震災直後の「救援活動」(炊き出し・物資運び等)のように誰の目にも映るような活動が今やほとんどないから、得もすればまちの人に「ボランティアは今なにやっとるん?」と問われがちな昨今の状態を指してる次第です。
まあ、昨年の「避難所閉鎖」から、神戸のいわゆるボランティア活動のホームグランドは「仮設住宅」に移ったと言ってよいでしょう。そしてテーマも「心のケア」に代表されるような内面的なフォローへと移っていき、救援活動の主役のひとつであった「ガテン」のような力仕事系の活動も縮小・消滅していきました。
- かって活動していた者にとって、神戸は「思い出の地」だ(でしょ?)。
- で、「すたあと長田」はその間もずっと「ウィークリー」を出し続けて来たわけですが、上記の流れに輪をかけて、内部のゴタゴタで(知る人ゾ知る)7月には人数がさらに激減し「本当に地元(の者)だけで」活動するという前提になったわけです(僕はこの時期に状況と逆流して戻ってきた)。結局「すたあと長田」としての活動は、ほぼ新聞発行一本に絞って行っていたわけだけど、「情報発信」という活動内容でそのテーマが「心の和み」であったり、周りの状況の切迫感が薄まったりとかでかつて関わっていた人も(えもすれば中にいた者も)なんか『終わった』感覚があった様な気がする。
というわけで「ピースボート」「すたあと長田」に来た多くの人は、ここが「思い出の地(場所)」化しちゃってるのかしらんと思うのですが。
- そして今「すたあと長田」には人がいない。
- だからと言う訳だけじゃないけれど、今の「すたあと長田」の実務を支えている人間は本当に少ない。かくいう自分ですら新聞なりラジオなりの中身(ネタ)出しはしてても、実際の制作なんかはほとんど吉田信昭くん(以下ノブ)や筒井裕貴くん(以下バカボン)に担わせてる始末(ちなみに僕をいれてこの3人が「すたあと」で寝泊まりしています)。今年の4月に名乗りを上げた「事務局員」も今や半分(3人)になり、日頃「すたあと長田」プレハブは寂しいもんです(そうだよねノブ……)。
でも、それぞれの活動に関わり手伝いしてくれる人は、結構いたりする。新聞のタイトル書き・仮設住宅への配布・ラジオのアシスタント・部屋の掃除(すいません……)等々、実際はそういう色んな人の支えがあって、今の「すたあと長田」は存続しているんです。
でもやっぱり「人がいないなぁ」とぼやいてしまいたくなる現状があるのは、やはり「すたあと」の活動方針に問題があるのかしらん。
というか今の「すたあと長田」に存在価値が本当にあるのかしらん。
という(思ってはいても口にはださない)根本的な問いがここにきてでて来ちゃう訳である。
- ところで神戸はどうなっている《パート1》
- とりあえず、瓦礫は(もちろん)ない。
とりあえず、物も水もガスも電気も(もちろん)ある。
とりあえず、高速道路は(ほぼ)なおった。
とりあえずビルは建ち始めている。
大体がとこ「震災で被害を受けた神戸」をイメージする時って「崩壊した街の様子」や「食べる物・着る物・飲む物がない様子」とかだからそういう事がとりあえずクリアしたら「復興したね」と受け取られるのが常なのだが、そこはやはり「ちょっと待てよ」なのである。
例えば、元の場所に20万人以上の人が住めない現実をどう受け止めるか。
例えば、いわゆる「2重ローン」を組まざるえない人が多くいるという現実をどう受け止めるか。
例えば、約5万戸と言われる仮設住宅に住む多くの人が老人という現実をどう受け止めるか。
例えば……と、被害を受けた人達や地域の抱える問題は結構抜き差しならない。
- ところで神戸はどうなっている《パート2》
- そういう現実を「神戸市」はどのように考えているのか?
よく分からない。
と、いうのも震災から彼らが行っている施策が「ことごとく」と言ってよいほど現実とかみ合ってないからだ。むしろ更なる問題点を生んでいると言った方がいい。
仮設住宅の建てた場所・建て方・募集方法もそうだし壊滅的な被害を受けた地域の復旧・復興手段(要するに「都市計画」だが)もそう。まあ、全てが神戸市のせいではなかろうが、それにしても規制の枠組みの中でしか対処しない姿勢が、問題を解決するどころか複雑化する一方の様な気がしてならない。
はっきり言って、近代化した世界が体験した世界初の大規模都市型災害なんだぜ。ここは一発人間の知恵で勝負だと思うんだがなぁ。
ともかく一歩踏み込んで神戸を見たら、そこには不安と不満が渦巻いてる状態なのだ。
- そして長田は\\
- さて、長田である。
長田は人口としては約3万人がいなくなった。跡形もなく焼け落ちた「すたあと長田」のある御菅地区は全体の3割ほどしか帰ってきてない。
そしてこれは長田に限ったわけではないが、被害が大きかった人とそうでもない人・パワーのある人とない人のギャップはさらに広がる一方であり、「温度差」は何も阪神内外だけではなく、神戸の中にもある。
また長田はどこも高齢化が進んでいたのだが震災でさらに思いっきり拍車をかけたと思う。
被害が激しいいわゆる「浜側」はほとんどが「区画整理」などの都市計画がかかり、どの地区でも否応ない現実に四苦八苦しているといえる。
地場産業と言えるケミカル産業も立ち直りにはほど遠いと聞いてるし、商業も買物客が減ってあえいでいる。
とりあえずざっと状況を並べるとこんな所でしょうか?
- 僕らができること・やりたいこと
- と、まあそういう長田に「すたあと」は今いるわけなんだけど、さてこの状況の中で私達には何が(長田のために)できるでしょうか?
答:うーん。一弱小ボランティア団体が解決できる問題など皆無と言っていいかしらん。「SVA」のような大手NGOでも無理だと思うが。
僕は今ヨソからきた者として活動しているわけだが、そんな自分に何ができるのかというと、それを考えながら動くこと自体がもしかして一番意味があるのかなと思ってたりする。言い換えれば若くて生きのいい奴らが、ちょろちょろしながらでも前向きに活動する、そういう動きが今ここには必要なのかしらんと(かなり僭越なのかもしれないが)思う。
もちろん、長田で元気に動いてる人間は僕らだけではないが、ただそう思わざるをえないぐらい、長田は今弱ってるように見えるのです。
そして当然、僕自身にとってもここで得た経験を自分の力にしていきたいからここにいる訳です。
- すたあと長田の運命
- さて、「御蔵通5ー5」にいる「すたあと長田」には避けられない宿命がある。
それはやがてこの場所に、今は離散しているこの地区の方達が、ちゃんと戻ってきて住める所にならなければ(絶対に)いけないと言うこと。もちろんここは「兵庫商会」の敷地だけど、「区画整理」がかけられているこの地区には多くの借家人(長屋)が住んでいて彼らが1人でも多くここに住めるようにするためには何らかの諸策が必要で、いま御蔵の人達はその事に必死だ。「すたあと」や他のボランティアグループがお世話になっているこの土地は、今この地域の中で非常に重要な意味を帯びている。とりあえずの目途・来年の3月に向けて「すたあと長田」はさらなる模索をしなければいけない。
- だからあなた(さぽおたあ)に伝えたい。
- そういう現実に直面している「すたあと」だから、みなさんに伝えていきたいのです。ここであった出来事・ここにいる人達のこと・そして僕らが今も活動していることを。
みんなにとっては「過去の場所」で全くかまわないけれど、僕らのいる「長田」は今も現実と向き合いながら動いています。そして僕らはそれを見て・知って・何ができるのかを考えて活動するでしょう。
それをあなたに伝えることが僕らの努めだと、そう思うのです。
(小野 幸一郎)
P6 ウィークリーニーズ配達一覧表
※とりあえず省略
P7 FMわぃわぃ「すたあと長田のサタデーエクスプレス」
出演ゲスト紹介
P8 つれづれなるままに アロマへの道
「アロマテラピーという言葉ぐらいは聞いたことがあるゾ」という方もいるでしょう。アロマとはフランス語で香りという意味で、アロマテラピーを日本語にすると芳香療法となります。早い話が心地よい香りによって心身のバランスを整え健康を維持しようということですネ。
震災直後の神戸ボランティアによって届けられたポプリ(香りのするハーブ等を乾燥させ布の小袋に詰めたもの)を避難所に配ったことを思い出します。
アロマテラピーの中でもお手軽カンタンなのがハーブや果実から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使う方法。精油は香りのエッセンスといったところです。これをお風呂に少し落としても良いし、アロマポット(図参照)という道具を使うとステキな香りがお部屋いっぱいに広がります。
我が家のお気に入りの精油はさわやかな香りのラベンダー。ラベンダーには鎮静作用があり、心身をリラックスさせ、安眠を誘ってくれます。
精油にはたくさん種類があるので、まずは自分の好きな香りから始めてみたらいいと思います。また、香りと香りを組み合わせるブレンドもOK! だけど人によって合う、合わないがあるのでそれだけは要注意です。
もっと詳しく知りたいナという方は、本屋に行けば色々と本もでてますし、近所にアロマテラピーのお店があればのぞいてみてはいかがでしょうか。
てなわけで「さぽおたあ通信」がなかなか送られてこずちょっとイライラするような夜は、ラベンダーなんかいいんじゃなーい!?
(中村パパ)
編集後記
○今回さぽおたあ通信が遅れたのはほとんど小野のせいでございます。関係各者の皆様、ゴメン。(小野)
○あー忙しい。プー(河合)
○いろいろありました。でもゴハンはおいしい、うんこもでる、毎日生きている。プー(菅田)
別紙1
さぽおたあ各位
ピースボート・梅田隆司さん 逝去と追悼の会合について
ピースボートの梅田隆司さんが、不慮の事故により、8月26日、急逝されました。享年29才でした。
梅田さんは、ピースボートで6年間、海外への旅行業務に携わり、国際交流を深めておられました。そんな中、震災が起こり、1月24日に神戸入りし、以後3月末まで長田でのボランティア活動の中心となり精力的に活動しておられました。また、「すたあと長田」がピースボート他の団体の活動を引き継ぐ際も中心となり、地元でのボランティア活動の発展を願い、この地を去っていかれました。
その後も神戸にはしばしば足を向けられ、「すたあと」運営におきましてもさまざまな助言を戴きました。国際的にも、さらなる活躍が期待されていただけに、訃報に接し、ただただ残念であると同時に、梅田さんの冥福を祈るばかりでございます。
なお、以下の日程、場所で「梅田隆司君を語る会」が行われますので、ゆかりの深い皆様には、是非ともご参加下さい。
記
<神戸> とき 9月15日(日) 13:00〜
ところ 兵庫県勤労市民センター
(JR兵庫駅北側)
<東京> とき 9月21日(土) 13:30〜
ところ 早稲田奉仕園小ホール
(地下鉄東西線早稲田駅下車徒歩5分)
内容は未定です。お問い合せは、ピースボート(03-3363-7561 山本隆)、もしくは下記まで。
すたあと長田 神戸市長田区御蔵通5-5
Tel. 078-521-7170 Fax. 078-577-0157
別紙2
さぽおたあ各位
さぽおとの更新手続きについて
以下の通り、さぽおとの更新を行いますので、宜しくお願いいたします。
<更新の方法>
同封されているハガキの「さぽおとの契約を更新」の「する」「しない」のいずれかに○をつけ、おところ、おなまえ、お電話番号をご明記の上、ポストに投函して下さい。「する」に○をつけられた方には、後日、支援金の額と振込用紙を郵送いたします。
ご入金の確認が取れ次第、更新手続き完了となり、さぽおたあ通信を続けてお送りいたします。
・月額420円として、更新月から翌97年3月までの「すたあと支援費」をお振り込みいただきます。
・さぽおとに入会されてから1年で更新となります。例えば、昨年11月に入会された方は今年11月からとなります。なお、昨年9月以前に入会された方はさかのぼって、「すたあと支援費」をお振り込みいただきます。
(例1)昨年11月に入会された方は、今年11月から翌3月までの5ヶ月×420円=2,100円となります。
(例2)昨年6月に入会された方は、今年6月から翌3月までの10ヶ月×420円=4,200円となります。同じように、昨年7月入会された方は、9ヶ月×420円=3,780円となります。
なお、ご不明な点などございましたら、下記までお問い合せ下さい。
「すたあと長田」 〒653 神戸市長田区御蔵通5-5
numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp