「Weekly Needs」1998.3.5号(Vol.3 No.50(最終号))

「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。

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世界と歴史がみつめています


 毎日のように世界のどこかで新たな悲劇が生まれ、報道を通じて知らされます。人々は「同情疲れ」しています。震災が風化するのは当然でしょう。
 しかし私には、いま被災地が抱えている課題のほとんどは、バブルの崩壊という経済災害を受けた日本の社会全体に共通するように思えます。被災地に前倒しで集中的に現れているだけではないでしょうか。

 経済復興の難しさ。公共事業と住民のニーズのミスマッチ。独り暮らしのお年寄りの介護。中高年の人々の困難な職探し。生きがいの喪失。住環境の復興にともなう行政や住民同士、家族間の摩擦。いずれもが被災地外の人々も、散発的にあるいは潜在的に抱えている課題です。被災地の人々がこれらを克服するならば、そのノウハウは日本の社会全体に活用できるはずです。

 ところで、「泣く子と地頭には勝てない」ということわざがあります。私は現代の日本で、泣く子には災害の被害者が当てはまるのではないかと思います。マスコミは競争して被害者の声を伝え、世間も関心を持ってくれます。中にはおかしな要求もありますが、「心優しい」彼らは、議論を避けて聞き流します。

 いずれにせよ、泣く子が泣き声だけしか出さないのでは、やがて世間は次の悲劇に関心を移してしまいます。泣く子の要求が正しいという保証はありません。泣く子は訴えの内容が利己的ではないと説明し、第三者に人ごとではないとの共感を持ってもらわなくてはなりません。

 地震から4年目を迎え、被災地の私たちが何を発信し、どう行動するか、世界と歴史に見つめられています。

(阪神大震災を記録しつづける会・代表:高森 一徳)


あきちゃんかんちゃん、街へ出る 第37回(最終回)


あき:
私たちがお借りしていた、御蔵のプレハブも、区画整理が進み、もうすぐ撤去。印刷もできなくなるのね。
かん:
この『あきかん』もひとまず、おわかれ。3年がたっても、震災の復興は、まだ、これからなんだけど。
あき:
みすが地域にも、おうちやお店が建ちはじめるんだから、それはそれで、喜ばしいことだわ。長かったですものね。
かん:
ミニコミ誌は、ひと休みだけれどー、われわれ、すたあと長田の活動は、つづけなくっちゃね。『FMわいわい』もあるし、いろいろ、お手伝いもやりたいしーー。
あき:
たくさんの人に支えられ、励まされ、たくさんの人を知り、ともだちになり、感動もいっぱいあって、感謝、感謝。
かん:
お礼もたくさん言いたいね。みなさん、ほんとうにありがとうございました。「復刊したら、また、持っておいでよ」の、この言葉、待ってます。ではーーー。

※毎週土曜の午後2時からの55分、77.8MHz。『すたあと長田』のFM放送です。ぜひお聞きください。

(和田 幹司)

▲解体間近の『すたあと長田』
事務所プレハブ

 

※『あきちゃんかんちゃん街に出る』一覧ページ、『ながたものがたり』一覧ページ、各々ご覧下さい。


御蔵5の5で3年間


“神戸市長田区御蔵通5の5”。

 「すたあと長田」が活動の拠点として、3年間なれ親しんだプレハブ事務所の住所ですが、4月中旬には撤去をむかえます。
 被災住民の方々が進めている「共同化住宅」建設に向けての新たな“御蔵5の5”の展開です。
 使いなれた事務所を離れる淋しさはあるものの、それ以上に今日まで無償で土地を提供してくださった方への感謝や、温かく見守って頂いた近隣の方々への感謝の思いで一杯です。

 以前にも紙面でお伝えしましたが、ここ“御蔵5の5”には全部で4棟のプレハブが建っており「すたあと長田」を含む9団体が利用して来ました。それら団体の活動に関わったボランティアの総数は数千名にも及び、今だにこの町の温もりや人情にひかれ、度々訪れる他府県からのボランティアが多勢います。
 震災に依り被災した時には恨めしかったこの長田の町も、今では私の誇りであり、今後の復興でさらに素敵な町になる事を心から願っています。

 「すたあと長田」の移転先は未だ決まらず、『ウィークリーニーズ』は休刊と成りますが、今後も長田の良さを見つめつつ、『FMわいわい』でのラジオ番組の他、微力ながらも活動を続けて行くつもりですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 読者の皆様や配達に携わっていただいた方々、本当にありがとうございました。

(金田 真須美)

※4月以降も郵便物や電話は転送されますので、御意見・御感想などお寄せ下さいますよう。


みんなの伝言板


 みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
 (電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)

★引っ越しボランティア★
 家が決まったのに、業者にたのむ余裕がない……。
そんな人を手伝います。
【問】 市民版・引っ越しプロジェクト
【電話】0120−154−043

★不用品 大バザー★
事務机、イス、スチール棚、衣類など。
【期間】3月2日(月)〜20日(金)(午前10時〜午後6時30分)
【場所】リサイクルショップ「もやい」(神戸市長田区御蔵通5−5)
【問】 リサイクルショップ「もやい」
【電話】078−578−6921


インフォメーション


◆転宅費(引っ越し代)特別貸付◆
 仮設などの仮住まいから、恒久住宅へ引っ越す費用が重い負担になる低所得者世帯などに、50万円を限度に、引っ越し費用を貸しつけます。
所得などの条件は、下の【問】に聞いてください。
【申し込み】各区の社会福祉協議会
【問】神戸市 社会福祉協議会 生活福祉資金担当
【電話】078−241−0037

◆阪神・淡路大震災復興基金による家賃補助のお知らせ◆
 民間住宅に住む人の家賃の負担を軽くする制度があります。1ヶ月の世帯所得が31万7000円以下で、震災で住んでいた住宅がなくなった人が対象です。兵庫県外に住んでいる人も、2002年(平成14年)3月末までに兵庫県内に住む意思があれば対象となります。
 また、専用のふろ、トイレ、台所がなくても大丈夫です。
その他、詳しい条件や申請方法は、下記に聞いてください。
【問】神戸市 住宅供給公社 家賃助成担当室
【電話】078−332−3321
    神戸市住宅供給公社の一般賃貸住宅の場合は、
    住宅サービス課: 078−332−2413

◆被災高齢者世帯等 生活再建支援金◆
 恒久住宅に引っ越しをした高齢者に「生活再建支援金」が支給されます。期間は原則5年間、毎月1世帯2万円ですが、いずれも条件によって変わります。
【対象】2000年(平成12年)3月31日までに恒久住宅に引っ越しし、次のすべてにあてはまる人
  1. 世帯主が65才以上、または要援護世帯、
  2. 世帯全員の住民税か所得税が非課税である、
  3. 震災により、当時住んでいた神戸市内の住まいが全焼・全壊した、または半焼・半壊して、住まいを解体した。
※申請書は区役所で配布
【問】078−271−5376(土・日・祝日を除く9時〜17時)

◆義援金(生活支援金)の交付申し込み受付中◆
【対象】震災で全壊・半壊、全焼・半焼の被害を受けた世帯で、世帯の中で一番収入が多い人の1995年(平成7年)の所得が690万円以下の世帯
【金額】1世帯10万円
【申し込みの書類】区役所、支所、出張所にあります。
【問】078−271−5554
※それ以外の義援金もまだ受け付けています。詳しくは区役所へ。


「ウィークリーニーズ」の配布にご協力下さった方々


◎長田区内に折り込み戸別配布(新聞販売店)
  ・神戸新聞 板宿北専売 ・毎日新聞 長田北販売
  ・毎日新聞 長田南販売 ・読売新聞 新長田IC
  ・読売新聞 丸山IC  ・読売新聞 御蔵IC

◎仮設住宅への配布(ボランティア団体など)
▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会・ひまわりの会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
▽神戸心のケアネットワーク
▽ふきのとう
▽りんくうネット
▽喫茶「R」 ほか

◎店頭での配布(店舗など)
▽コープミニ ポートアイランド店、 コープミニ 鹿の子台店
▽アイヨ堂、理容 松永、技常理容、助川理容、平和温泉、ローソン北町店 ほか
※個人協力もたくさん頂きました。書ききれなかった皆さんゴメンナサイ。
皆様、長い間、本当にありがとうございました。


今号の制作スタッフ


編集長:     小野 幸一郎
副編集長:    吉田 信昭
編集:      駒場 正明
タイトル:    加瀬 久美
見出し・イラスト:家田慈子・瀬戸綾子・橋本吏賀
ワープロ入力:  田中洋子・横田ゆり・和田幹司



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