「Weekly Needs」1997.11.6号(Vol.3 No.42)
「まち」から「仮設」へ。「仮設」から「まち」へ。
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正しい記録を残し 後世に伝えよう
「消防隊がこの周辺で消火活動を実施しており、それが有効であったため、焼け止まっている。」
神戸市消防局が編集している『阪神・淡路大震災における火災状況』という立派な本の中に記載されている「御蔵通5丁目周辺の火災」という項目の中で、その文章を見つけたとき、私は背筋に悪寒が走った。
消防隊? 消火活動? あの猛火の中で彼らが消火活動をしていた?
私が駆けつけた時には、既に我が社は燃え尽きていたが、隣保の火勢は続いていた。その本の記述にあった場所に私自身がいたのだから間違いない。「消火活動」と呼べるものはそこにはなかったと断言する。
その本には御蔵の損害額が「5億1,585万7,000円」としてある。ちょっと待って欲しい、この御蔵では多くの家屋・工場が全焼し、数千万はする機械を燃やされ今でも支払いだけは続いている方々がいて仕事も頓挫している。そんな金額で済むわけがない。
御蔵5・6丁目の協議会ではこの問題を重視し、まちづくり新聞で住民にあの時の証言をしていただく様、広く呼びかけた。そして、消防局に抗議を行った(神戸新聞10月15日)。消防局は一部に間違いがあったことを認め、現在 調査中との返答をもらっている。
私たちの人生を狂わせた、あの余りにも悲惨な経験を思い出したくもない方々はたくさんおられると思う。
しかし、この度の震災の経験を、未来に生かしていかなければ、何のために私たちは悔しい思いをして震災後の今日を生き抜いてきたのであろう。“未来への財産”とするためにも、あの時の天災と人災を分けて考え正確に記録し、我々も関係所管も猛省しなければならないはずだ。2度と同じことが起きないためにも……。
消防局のこの本の問題はほんの一例で、目には見えないが、私はまだまだ多くの所で間違った記録・公文書があるのではないかと思う。それらを正し、私たちの「思い」を残すためにも、是非とも私たちの手で記録を作り、後世に伝えようではありませんか。それが、震災で無念の死を迎えた方にとっての『供養』にもなり、私たちが生きてきた『証し』にもなるのではないでしょうか。
行政に頼るのではなく、自らの手で記録することに価値があると、私は思う。
(兵庫商会:田中 保三)
市に抗議(神戸新聞10.15)
インフォメーション
- ◆民間賃貸住宅 家賃負担 軽減補助金◆
- 民間から借りている住宅の家賃を補助する制度の条件が、一部変わりました。
今までは、それまで住んでいた住宅の解体証明書が必要でしたが、無くても次の場合には対象となります。
- @全焼・全壊などの被災をうけ、現に住めないことが確認できる
- A解体を理由とする家主の都合など、本人の責任ではない特別の事情で退去し、そのことを書類で証明できる
- B全(半)焼・全(半)壊で、応急仮設住宅や公的賃貸住宅に仮住まいしている、または仮住まいしていた
以上の@〜Bのどれかにあてはまる人は市住宅供給公社 家賃助成担当室
(078−332−3321)へご相談ください。
※その他の対象条件など、くわしくは『広報こうべ 11月号』をごらんください。
- ◆第4回 フェスタin湊川◆
- 模擬店とフリーマーケットが150店以上出店!
福祉体験コーナー・インド紙芝居やソウル・フラワー・モノノケ・サミットなどのライブもあります。《入場 無料!》
【日時】11月8日(土)午前11時〜午後4時
(雨の場合は9日(日)に順延します)
【場所】湊川公園(兵庫区役所となり)
【問】青い空★KOBE:010−079−5014
または:010‐597‐4989
- ◆一七市(拡大版)◆
- 山吉市場にある共同作業所『くららベーカリー』などが毎月17日に行っている『一七市』の拡大版で、バザーや屋台があり、ステージでは演奏などの催しを行います。
【日時】11月16日(日)午前10時〜午後3時
【場所】蓮池小学校グラウンド(山陽電鉄 西代駅すぐ北)
【主催・問】一七市 実行委員会 石倉さん(くららベーカリー)
【電話】078−612−1929
仮設住民の不安
冷え冷えとした霜の季節となりました。それでなくても、人は押し迫る冬に不安を抱くものですが、殊に仮設の人達の不安は深刻であります。
「今度、4次募集に入れんかったら、どないしよう、考えることはそればっかりや」
異口同音、仮設の人の言うことは一様。
「今度もし入れんかったら、取り残されたらタマリませんわ。今までに次々と近所の人は(引っ越して)消えていった。その都度、寂しい思いをしましたわ。4次募集の後は完全にゴーストタウンや」
ポーアイ内の仮設に住むAさん。
「ぜいたくな言い方かもしれんけど、もし(公営住宅に)入れても、三方ふさがれたドアだけの部屋はかなわんなぁ、恐ろしいわ、やって行けるんやろか」
同仮設のBさん。
それぞれ不安はまちまちだが、これまで不安と恐怖に慄いて死んでいった人は168人という。さらに増えることは十分に考えられます。とにかく仮設には今、不安が充満しています。
問題なのは、震災から2年10ヶ月、未だにその様な不安被災者を放置している行政の在り方ではないだろうか。恥ずべき行政の姿勢だと思います。空港建設も結構です。しかし物事には順序があります。地震2日後、行政の「空港建設宣言」よりも、「被災者の救済・復興の宣言」を先にすべきであったろう。行政は「空港建設は市民の総意」と言い続けてきたが、此の度の選挙でそうでなかったことが反証されました。
行政は市民のニーズに応じて緊急を要するものから手がけてもらいたい。空港はもとより、5600億円の六甲アイランド沖合い埋め立ては無謀です。凍結して即座に復興・救済に当てて頂きたい。街の活性資金に当てて頂きたい。そうすれば不安は殆ど解消するでしょう。
(元ポートアイランド第6仮設住宅住民:Sさん)
みんなの伝言板
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みなさんの「声」と「声」をつなぐコーナー。「ゆずります」「求めます」「集まってください」などなど、多くの人に呼びかけたいことがあったら、ぜひ連絡をください。
(電話・FAX・郵便で「すたあと長田」までご連絡ください)
- ★自分の手でカメラを持たずに撮った
障害者の不思議な写真展《綿谷 和弘》★
- 身体が不自由なため、カメラのシャッターを押すことの出来ない綿谷さんの初めての写真展です。ぜひ、見に来てください。
《入場 無料!!》
場所:共生 共創センターもやい
(神戸市長田区御蔵通5−5:078−578−6921)
開催期間:11月17日(月)〜22日(土)
時間:午前10:00〜午後6:30
- ★こどもトピア★
- ながたのちびっこ集まれ!楽しい遊びがもりだくさん。家族で楽しめること、まちがいなし。ふわふわガチャピンや消防 自動車もやってくるぞ!こどもには、わたがしの無料配布もあります。
日時:11月22日(土)
午前10時から午後3時まで
場所:長田区総合庁舎前…長田区民広場
主催:長田区 社会福祉協議会
(078−579−2311 内線409)
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- あき:
- 選挙がおわり、復興住宅の申し込みも先月の28日でしめきられ、菊の花がさき、もう11月。
- かん:
- 思いどうりにゆかない事が多いんだけど、たくさんの方が、すまいを確保されるのを祈ろうよ!
- あき:
- 5年ぶりの同窓会を、震災後の神戸でやると言ってたけど、たくさん集まった?
- かん:
- みんな、自分たちが学生時代をすごした神戸が気になって、東京から、名古屋から、京都や大阪から来てくれたよ。JR鷹取、あのあたりを案内したんだ。
- あき:
- 区画整理のあと、どんどんと、おうちが建ちはじめたわね。商店街のおまんじゅう屋さんも、やっと開店。おめでとうございます。
- かん:
- 友人たちにはね、新築のよこに、まだある更地やね、お金やこころのしんどさを説明し、やっと、わかってもらえたよ! 表面だけでは気づきにくいからね。
※JR鷹取のあたりには、韓国/朝鮮語、英語、中国語、ベトナム語でも書かれた地域表示板がふえつつある。アジアタウンの第1歩だ。
(和田 幹司)
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▲更地が多いながらも(左) |
工事が進む鷹取地区(右) |
この「ウィークリーニーズ」は以下の皆様の協力により配られています
- ◎新聞販売店様のご協力で長田区内に折り込み戸別配布
- ・神戸新聞 板宿北専売 ・毎日新聞 丸山販売
・毎日新聞 尻池販売 ・読売新聞 新長田IC
・読売新聞 丸山IC ・読売新聞 御蔵IC
- ◎地元ボランティア団体・個人の協力により、
各地区(市内広域・姫路など)の仮設住宅に配布
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▽姫路「心のケア」ネットワーク:玉手・新白浜(姫路市)
▽鹿の子台ボランティア連絡会:鹿の子台第1〜8(北区)
▽有野台ボランティア:有野台第1〜3・五社・東有野台・有馬(北区)
▽神戸女子大学ボランティア活動本部:桜木町(須磨区)
▽北須磨ボランティア:西落合1〜2・名谷2(須磨区)
▽春風会:長田区内各仮設
▽兵庫商会:南落合第1〜3(須磨区)
▽阪神高齢者・障害者支援ネットワーク:西神第7(西区)
- ◎すたあとスタッフによる配達(仮設住宅・店舗など)
- 長田区内各仮設および店舗等・東白川台(須磨区)・学園東町第5(西区)・
星和台南ほか(北区)
- ◎コープこうべ様のご協力で店頭に据え置き
- ▽コープミニ ポートアイランド店
▽コープミニ 鹿の子台店
今号の制作スタッフ
- 編集長: 小野 幸一郎
- 副編集長: 吉田 信昭
- タイトル: 澁江 美貴
- 見出し・イラスト:家田慈子・橋本吏賀
- ワープロ入力: 田中洋子・横田ゆり・和田幹司
「すたあと長田」は、いかなる政治・宗教団体ともつながりを持たず、また、どのような営利団体とも特別なつながりは無く、ボランティアスタッフにより全くの自主管理で運営しています。
みなさんのお役に立てればと、情報発信活動として「ウィークリーニーズ」を無料発行しております。
「ウィークリーニーズ」に対するご意見やご感想を、すたあと長田にお寄せ下さると嬉しく思います。これからの紙面作りに役立てたいと考えています。
numata@sakuraia.c.u-tokyo.ac.jp