その日は朝から、「しとしと」という言葉がぴったり当てはまる穏やかな雨が、パリ市内全域に降り続いていた。
「ふわぁ〜〜〜 今日も良く寝たわ・・・」
昼過ぎになってようやく目を覚ましたミレイユは、寝呆け眼でパソコンの電源を入れ、未読メールのチェックを行う。
「今日も依頼は無し・・・か」
依頼の来ない殺し屋などというものは、単なるプータローと同じである。
時間だけは無限にあるが、何もやる事が無い。
カットには昨日行って来たばかりである。
この天気ではウィンドウショッピングをする気にもなれない。
ネットサーフィンには元々興味が無かった。
さて、どうしようか?
ミレイユは読み掛けの本でも読もうと思い、霧香が寝ているロフトへと上がる。
ふと、腹部を丸出しにして熟睡している霧香の姿が目に入る。
その時、ミレイユの中に些細な悪戯心が芽生えた。
ミレイユは霧香の右横に寝そべると、霧香の腹部に右手を伸ばし、人差し指の先で霧香の臍を突いて即座に引っ込めた。
ビクン!
霧香の全身が痙攣した様に震える。
そして次の瞬間、霧香は空中で手足をバタつかせる。
(うふふ・・・意外と面白いわね)
霧香の漫画的な反応の面白さに味をしめたミレイユは、再び霧香の腹部に右手を伸ばす。
ビクン!
バタバタッ!
今度はミレイユが全身を痙攣させた様に震えさせ、空中で手足をバタつかせる。
「・・・き、霧香!」
ミレイユが霧香の臍を突くよりも早く、霧香は右手の人差し指でミレイユの臍を突いていた。
「私と遊んで欲しかったのね、ミレイユ」
霧香は右側を向くと、妖しげな目付きでミレイユを見て呟く。
「そうよ、き・り・か・ちゃん」
ミレイユもまた、妖しげな目付きで霧香を見て呟いた。
ふと、ミレイユが何かを思い付いた様に霧香に語り掛ける。
「ねぇ、ちょっとしたゲームをしましょうか」
「ゲーム?」
「そ。服を全部脱いで、互いの身体をまさぐっていって、感じる部分を探し当てるの。但し、あからさまに感じると判る場所を突くのはNGよ」
「面白そうね」
「勝敗は『どちらが沢山相手に快感を与えられるか』でいいわね」
「判ったわ」
霧香とミレイユはその場で全裸になり、再びベッドの上に横たわって正対した。
そして、まずは互いの裸体を目で探っていた。
18歳という年齢にも関わらず、ミレイユの裸体は既に大人の魅力を放っていた。見事なまでの半球形をしたバスト、キュッと引き締まったウエスト、美しい卵型のヒップ。
肌の色も抜ける様に白く、全体的にうっすらとした体脂肪に包まれたその裸体は、正に「嘗め回したくなる」という表現が適切な位に性的興奮をそそる裸体であった。
霧香の裸体は、17歳の女の子とは思えない位に体脂肪が少なく、その少ない体脂肪は専ら胸と尻に集中していた。その為、柔軟性を維持しながらきっちりと鍛え上げられた全身の筋肉が、薄い皮膚の下で躍動する様子が外見からもはっきり窺えた。
ミレイユの成熟した裸体と比較すると、霧香の裸体は一見発育途上の様にも見受けられるが、少年の逞しさと少女のしなやかさを兼ね備えたその裸体は、普通の女性には無い独特の魅力を放っていた。
互いの裸体の特徴を頭に入れて、2人の少女の「ゲーム」はスタートした。
最初はただ単に相手の身体を撫で回しているだけだったが、遂にミレイユが霧香の「弱点」を探り当てた。
ミレイユは霧香の背中の、丁度脊椎の両脇に当たる筋肉を指で撫でる。
霧香は「ああんっ!」というよがり声を発した。
「フフッ、私が一歩リードね、霧香」
ミレイユは霧香の「弱点」を丁寧に攻め続ける。
(・・・こ、このままでは・・・・)
頭の中を快感の波が押し寄せる中、霧香は咄嗟にミレイユの脇腹に手を伸ばし、肋骨に沿って指を動かす。
ミレイユは思わず「あ、ああっ!」というよがり声を発した。
反撃の糸口を掴んだ霧香は、ミレイユの「弱点」を執拗に攻める。
「・・・これでイーブンね、ミレイユ」
その後も2人の熱き攻防は静かに続いた。
霧香はミレイユの第2の「弱点」を見付けた。
霧香がミレイユのうなじに指を沿わせると、「あんっ!」というよがり声がミレイユから上がる。
更に、霧香が脇腹とうなじに複合攻撃を仕掛けると、ミレイユはは大きく身をよじりながら一際大きなよがり声を上げた。
(・・・・・な、なかなかやるわね・・・)
頭の中で快感が渦を巻いている中、ミレイユは苦し紛れに霧香の骨盤をさする。
霧香の全身が大きく痙攣する。
どうやらここが霧香の第2の「弱点」の様だ。
その後、霧香もミレイユも互いの「弱点」を執拗に攻め続け、また互いに新たな「弱点」を探そうとしたが、疲れのせいで霧香もミレイユも動きが鈍ってしまった。
「さすがに疲れたわ。一時休戦しましょうか、霧香」
「賛成。少し休みたいわ」
2人は荒げた息が落ち付くのを待って、「ゲーム」でかいた汗をシャワーで洗い流した。
☆★☆★☆
「さて、今度は普通に楽しみましょうか」
「うん」
霧香とミレイユはバスローブを脱いで、再び全裸でベッドに横たわった。
霧香がミレイユの乳首をごく軽い力でちょこんと摘み、そのまま時計回りに捻る。霧香が捻ろうとする力と乳首が元に戻ろうとする力が適度な摩擦を生み、心地良い刺激を受けたミレイユの乳首が大きく固くなる。
今度はミレイユが、プッシュボタンを操作する様に霧香の乳首を押したり離したりする。霧香の小さな乳房の弾力を楽しみながら2回、3回と繰り返していくうち、心地良い刺激を受けた霧香の乳首も大きく固くなる。
「これで準備OKね」
「ん?」
「女同士ですもの。男相手じゃ出来ない事をしなきゃ、つまらないじゃない」
ミレイユはベッドから立ち上がり、霧香の手を取ってベッドから立たせる。
そして、ミレイユは少し膝を折って、自分の乳首と霧香の乳首の位置を合わせてから、霧香の身体をゆっくり抱き寄せる。
互いの乳首が触れ合い、ミレイユの柔らかい乳房と霧香の弾力ある乳房が、おおよそ2対1の割合で凹みながら力を吸収していく。
「ん・・・んんっ・・・・」
「あ・・・・あぅ・・・・」
霧香とミレイユは言葉にならない微かな叫びを上げながら、歓喜と悦楽に満ち溢れた表情を見せる。
元々、乳首はそれ自体が外部に露出した神経の塊と言っても良い位に鋭敏な箇所である。
そして今は、その神経の塊同士が直接触れ合っている。
男相手では決して得られない、神経同士が直接繋がったような快楽が2人の脳裡を侵食していく。
やがて、互いの乳首は乳房の弾力に屈して、2人が予期せぬタイミングで大きな摩擦力を生む。
突如現れた巨大な快感の波が、僅かに残っていた理性を飲み込み、溶かしていく。
互いの乳首が外れた後、ミレイユは上気した表情で少しずつ膝を伸ばす。
2人の身長差から、ミレイユのアンダーバストを霧香の乳首が、霧香のトップバストをミレイユの乳首が、それぞれトレースしていく。
快感の大波はごく穏やかな、寄せては返すような波に変わる。
その余韻を楽しみながら、2人はゆっくりと身体を離していった。
「ミレイユ」
「なあに」
「私も面白い事を思い付いたわ。ベッドの端ギリギリの所に仰向けに寝て、両腕を耳の脇に付けて」
ミレイユは霧香の言う通りの格好でベッドの上に寝た。ミレイユの豊満な乳房は、仰向けになっても形崩れする事無く、見事な半球形を堅持している。
「ひとつだけお願いがあるの。何があっても、両腕は戻さないで」
「判ったわ」
霧香は床の上に膝を突くと、ミレイユの脇腹に自分の乳首を押し当て、両手をミレイユのうなじと鼠渓部に伸ばす。
そして、腰と手を巧みに動かして、ミレイユの脇腹・うなじ・鼠渓部の3箇所を同時に刺激する。
先程のゲームで発覚した2つの「弱点」を含む三所攻めが、ミレイユの神経の芯を容赦無く攻撃する。
「うう・・・あんあんっ・・・・」
身も狂うような凄まじい快感に、ミレイユは大きなよがり声を上げ、両腕を上げたまま身体を大きくよじる。
だが、いくらミレイユが身をよじっても、霧香の三所攻めは執拗に続く。
両腕を戻したい。
でも、霧香と交わした約束を反故にする訳にはいかない。
ミレイユは快感の海に呑まれそうになりながら、三所攻めと見えない鎖の呪縛に必死に耐えた。
「ハァ・・・ハァ・・・・・」
ミレイユはすっかり上気した表情になり、秘所からじんわりと愛液を滲ませていた。
「・・・面白かったわ・・・・今度はあなたの番よ・・・霧香・・・・」
「いいわ。どうすればいいの?」
「・・・ここに立って・・・・・」
ミレイユはベッドに座って股を開くと、自分のすぐ前に背中向きで立たせた。
そして、両手を霧香の乳房と骨盤に伸ばした。
「・・・・何があっても・・・両足は・・・・動かさないでね」
「判ったわ」
ミレイユの言葉に霧香が頷くと、ミレイユは両手で霧香の乳房と骨盤を刺激し始めた。
更にミレイユは舌を伸ばし、霧香の背筋を舌で舐める。
先程のゲームで発覚した2つの「弱点」を含む三所攻めが、霧香の神経の芯を容赦無く攻撃する。
「くぅっ・・・はぁ・・・・あぅ・・・・」
霧香は立った姿勢のまま、大きく身をよじってよがり声を上げる。
だが、両足が動かせないのでミレイユの三所攻めから逃れる事は出来ない。
この場を動きたい。
でも、ミレイユと交わした約束を反故にする訳にはいかない。
霧香もまた、快感の海に呑まれそうになりながら、三所攻めと見えない鎖の呪縛に必死に耐えた。
「ハァ・・・ハァ・・・・・」
霧香は恍惚感溢れる表情になり、秘所からじんわりと愛液を滲ませていた。
「・・・さあ・・・そろそろいくわよ・・・・」
「・・・・・うん・・・」
霧香とミレイユは再びベッドの上に横になると、互いの身体をまさぐりあう。
もう、2人とも弱点とそうでない所の区別など付かなかった。
霧香はミレイユの柔らかな肉体を必死に求める。
ミレイユもまた、霧香の躍動感溢れる肉体を必死に求める。
互いの乳房を揉みあい、互いの腹部や背中を撫で回していくうちに、2人の中で「自分に無いもの」を手にする事の快感が、大きな花となって開いていた。
そして、霧香とミレイユは互いの恍惚感溢れる瞳を見つめると、ゆっくり目を伏せて唇を重ね、互いの舌を絡めていく。
同時に、互いの秘所にそれぞれの指を入れ、それぞれがすっかり固くなった芯を摘んだ。
「・・・あんっ!」
「・・・はぅっ!」
2人の股間から止めど無く愛液が流れ。
精神と肉体の両方が、果てし無く深い快楽の海に沈んでいった。
☆★☆★☆
2人はそのまま、深い眠りに就いた。
そして、2人が再び目が覚ました頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。
2人はシャワールームで汗と愛液を流し、すっかり汚れてしまったシーツを洗濯機に放り込んだ。
「お腹空いたね、ミレイユ」
「そうね。何か美味しいものでも食べに行きましょうか、霧香」
「うん」
雨はもうすっかり上がっていた。
ミレイユと霧香はいつもの格好に着替えると、中心街目指してパリの街を歩き始めた。
昼下がりの事など、何も無かったかのような顔で。
(おわり)