目押し

 パチスロではプレイヤーが任意の位置でリールを止める指示を出す事が出来ます。勿論、狙いを付けずに適当に打つのも、特定の絵柄を狙って打つのもプレイヤーの自由なのですが、ボーナス成立時にはボーナス絵柄を狙って揃える必要があります。
 私が通っているホールでは、告知ランプ点灯と共に店員を呼び寄せ、ボーナス絵柄を揃えてもらうという光景をよく見掛けます。プレイしている本人はそれで十分楽しいのかもしれませんが、全てのホールでこうしたサービスをやっている訳ではありません。
 また、目押しサービスのある店でも店員が小役狙いやリプレイハズシまでやってくれる訳ではありません。様々な攻略を楽しむ為にも、目押しは必要不可欠な技術だと言えるでしょう。
 という訳で、ここでは目押しについて考察を進めていきたいと思います。
 
★リールの速度
 
 パチスロのリールの回転速度には「毎分80回転以下」という規約があり、メーカーはこの規約に準拠してリールの回転速度を決定しています。
 
毎分80回転
アルゼ(メーカー公称値)
※花火の親方を除く
毎分75回転
山佐(メーカー公称値)
サミー(実測値)
オリンピア(実測値)
毎分70回転
アルゼ(花火の親方,メーカー公称値)
 
 特殊な機種である花火の親方を除くと、リールの回転速度は毎分80回転の機種と毎分75回転の機種とに大別されます。慣れてしまえばどちらにも順応できる様になりますが、最初のうちは特定の1機種だけを打ち込み、リールが1周するタイミングを身に付けるのがいいでしょう。ただ、花火の親方は同等の仕様を持つ機種が存在しないので、花火の親方でタイミングを身に付けると他機種への応用が利かなくなってしまいます。
 また、リールが1周するタイミングを体得すると、ボーナス絵柄との位置関係を利用して小役絵柄を狙える様になります。これをタイミング目押しと呼んでいますが、タイミング目押しを極めると、直視目押しに勝るとも劣らぬ精度でリール上の任意の箇所を目押し出来るようになります。
 
 ここで、実際に絵柄が通過する速度について計算してみる事にします。
 例えばリール直径250mm・リール回転速度毎分75回転のナイツの場合、絵柄が通過する速度は
  250mm×π×75×60≒3.53km
 となり、意外にも大人が普通に歩く速度より遅いのです。
 
 但し、実際にリールが回転する様子を見て「歩くより遅い」と思う人はまず居ない筈ですが、これにはちゃんとした理由があります。
 ひとつはプレイヤーとパチスロ本体との距離です。実際にプレイヤーが台に向かう時、リールと目の距離は約50cm程度になります。相対的な速度という観点からすれば、10m離れた位置から時速70kmで移動している物体を見ているのと変わらないのです。
 もうひとつは絵柄が現れている時間の問題です。パチスロのリール窓は3コマ分を表示できる大きさしかないので(*1)、リール窓に絵柄が現れている時間は4コマ分(完全表示2コマ・部分表示2コマ)しかありません。リールコマ数21コマ・リール回転速度毎分75回転の機種では、
  (60秒÷75)×(4÷21)≒0.152秒
 となり、瞬きする瞬間に通過してしまう程、視認できる時間が短いという事が判ります。
 この2つの理由から、パチスロの絵柄が通過する時の体感速度は実際の速度よりも遥かに速く感じるのです。
 
★絵柄の視認性
 
 ごく当然の事ですが、目押しをするにはリール上の絵柄を目で認識する必要があります。絵柄の視認性が良ければリール上の特定の箇所に狙いを定める事が出来ますが、視認性が悪ければフリー打ちと何等変わらなくなってしまいます。
 残念ながら、我々プレイヤー自身が絵柄をデザインする事は不可能ですが(*2)、視認性の良い機種・視認性の良い環境の店を選べば、パチスロをプレイするのがより楽しめる様になります。
 という訳で、視認性を左右するポイントについて以下に触れていきます。
 
●デザインによる視認性の違い
 
 パチスロではリールが上下方向に回転する関係上、縦線の多い絵柄の方がより視認性が良くなります。




 枠線の有る方がかなり視認性が良くなる事がお判り頂けるかと思います。
 
 また、空白部分の少ない絵柄の方が、空白部分の多い絵柄よりも視認性が良くなります。




 空白部分の多い漢数字のは背景に溶け込み易く、アラビア数字のよりも視認性が悪くなっています。
 
●色による視認性の違い
 
 絵柄そのものの形が掴めなくても、絵柄の色が判れば色を目標に狙いを定める事が可能です。ここでは非常に採用例の多い赤7青7について見てみましょう。




 リールの回転により色が薄まる為、停止時よりも色の違いが判り辛くなっています。実機ではよりこの傾向が強まる為、色弱の方だとちょっと辛いかもしれないですね。
 
 また、同じ機種の同じ絵柄でも、店内照明や各種演出等の関係でリールの見え方が変化します。








 上は単純なライトダウン、下はブルーライト+ライトダウンの店での赤7の見え方を現しています。ライトダウンがきつくなる程、絵柄の色が明確になる反面、絵柄の形が判り辛くなっています。
 
●絵柄配列
 

 絵柄の配列も絵柄の視認性を左右する大きなファクターです。どんなに視認性に優れた絵柄でも、等間隔に並んでいたのでは狙い所が掴み辛くなりますし、同一の絵柄をまとめて並べれば、単独で存在する場合よりも狙い易くなります。
 
 左記の配列はナイツ(山佐)のものです。
 ナイツではBIG中に左リールで3種類の15枚役を狙う必要があるのですが、目標となるボーナス絵柄が固まって配置されているので、非常に狙い易くなっています。また、中リールの2連も非常に狙い易くなっています。
 中リールの2つのBARと右リールの2つの赤7は他の絵柄を使用して押し分ける必要があります。小役絵柄までばっちり見える人なら、チェリー付きとチェリー無しで区別すれば良く、小役絵柄がよく見えない人は、他の1つしかないボーナス絵柄との相対的な位置で判断すればいいでしょう。
 
●視認性を高める工夫
 
 昔の機種はリールの幅が狭く、絵柄のサイズも一緒だったのですが、最近の機種はボーナス絵柄が通常の小役絵柄よりも大きく、非常に見易くなっています。
 また、絵柄のデザインにも見易くする為の工夫が盛り込まれる様になりました。
 ・ボーナス絵柄の一部でバックライトを透過させ、光点を目標に目押し
 ・予めボーナス絵柄を左右にずらしておき、リールの端を目標に目押し
 こうした工夫に着目すれば、絵柄の色や形が認識出来なくてもある程度目押しが出来るようになります。
 
★目押しが上手くなるには
 
 私がパチスロを打ち始めた頃はボーナス絵柄の目押しが出来ず、成立告知から20〜30ゲーム経ってようやくボーナスインという状況が続いていました。余程動体視力が優れていれば話は別ですが、最初は誰もが同じ様な経験をしたかと思います。冒頭にも述べましたが、私が行くホールでは完全に目押しを諦め、ボーナス成立告知と共に店員を呼び寄せる人も多数存在します。
 
 しかし、目押しについては諦めずに練習を重ねれば確実に上達します。どこまで上達出来るかは個人差がありますが、少なくともボーナス絵柄を揃えられるレベルには誰もが必ずなれる筈です。
 目押しの練習は実機を打つのが一番ですが、打つ時間の制約・勝敗面での不利(*3)・ボーナス絵柄が揃えられない事による精神的なストレス等を考えると、実機オンリーという訳にもいかないと思います。
 という訳で、私が実践している練習方法について紹介します。
 
●速い動きを追う
 
 日常生活の中では、リールと同じ上下方向の速い動きというのはなかなかお目に掛かれないのですが、単に速い動きをするものは探せば色々と存在します。例えば、
 ・電車の窓から見た駅名標や枕木
 ・走っている車のホイールのデザイン
 を目で追い掛けるだけでも結構な練習になります。
 
●タイミングを掴む
 
 リールが1周するタイミングを掴む為には、やはりどうしても実機練習が必要になります。ただ、最近のメジャーな機種はほぼ例外無くゲームソフト化されているので(*4)、ゲームソフトを代替手段として用いる事も出来ます。テレビ画面の特性上、絵柄が飛び飛びに動いている様に見えるので実機そのものという訳にはいきませんが、タイミングを掴む為には十分使えます。
 
●実機プレイ中のプラスα
 
 実機プレイ中にも目押し練習の機会は沢山あります。一番有効性が高いのは代替絵柄を用いたJACゲームのビタ押し練習です。JACゲームの払い出し絵柄が隣接しているマシンで上側にある絵柄で払い出しを受けようとすると、必然的にビタ押しが要求されます。私が実践しているのは下記の3機種ですが、探せば他にもあると思います。
 大花火:左リール中段にHANABIを狙う(HANABI・リプ・リプで払い出されれば成功)
 ナイツ:左リール下段にボーナス絵柄を狙う(チェリー・リプ・リプで払い出されれば成功)
 キャッツアイ:左リール上段に青7(11)を狙う(チェリー・リプ・リプで払い出されれば成功)
 また、キャッツアイでは小役ゲーム中に右リール中段に青7を狙っても目押し練習が出来ます。1コマ早いと特殊役を取りこぼし(*5)、1コマ遅いと3択になるので区別は容易です。ドンちゃん2の小役ゲーム中複合役奪取でも練習は出来ますが、1コマ早いと2チェ、1コマ遅いと取りこぼしになるといった具合にリスクが高いので、練習材料にはあまり適していないと思います。

(*1)中にはエイトマン(2コマ分)やゲゲゲの鬼太郎(4コマ分)といった特殊な機種も存在する。
(*2)確率は低いが、山佐のネットコンテストに応募するという手もある。ちなみに、カンフーレディやアラベスクはネットコンテストから生まれた機種である。
(*3)3枚掛けでボーナスを揃えるのに15回失敗すると、平均25枚のコインロスが発生する。15回ボーナスを引けば375枚のロスとなり、ノーマルAタイプのBIG1回分に相当する枚数なので結構大きい損失となる。
(*4)画面解像度や内部メモリ容量の関係から、液晶搭載機のソフト化はまだまだ先になる見通しである。個人的には、液晶非表示でいいからキャッツアイが欲しい(笑)
(*5)逆ハサミ押しで、左リール枠上に赤7青7(11)をビタ押しできれば特殊役が取れる事もある。実はここでもビタ押し練習が可能で、特殊役の払い出しor下段にボーナス絵柄停止の場合はビタ押し成功である。


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