パチスロの仕組み

 車を運転する場合、車が動く仕組みを知らなくても車の運転は可能ですが、仕組みを理解すればよりスムーズな運転が出来ます。パチスロについても同じ事で、仕組みを知らなくてもプレイに支障はありませんが、仕組みを理解すればより楽しくプレイを進める事が出来ます。
 ここでは、パチスロのゲーム性の根幹を成す、役抽選・リール制御・サブ基盤の仕組みについて説明します。仕組みといっても「内部で何をやっているのか」というレベルの話なので、どうか気軽に読んでみて下さい。
 
★役抽選
 
 身も蓋も無い言い方をすれば、パチスロという機械は単なる「くじ引き機」です。具体的には、コイン投入(あるいはBETボタン押下)で役抽選が始まり、スタートレバーを叩いた時点または第1リールが回転し始めた時点で抽選結果が出ます。ストップボタンを押してリールを止めるという操作は、単にくじの抽選結果を人間の目に見えるように表示しているに過ぎません。
 この事が一番判り易いのが、アメリカのカジノにあるスロットマシン(アメスロ)です。役抽選の仕組み自体はアメスロもパチスロも似た様なものですが、アメスロではくじの抽選結果に対応する絵柄が自動的に揃う様になっています。もしカジノのある国へ行く機会があれば、一度はアメスロで遊んでみるのもいいかもしれません(*1)。きっと「くじ引き機」という意味がしみじみと理解出来るかと思います。
 
 役抽選の仕様についてですが、現在のパチスロは全て期待値方式となっていて、内部では宝くじの抽選で見掛ける円盤式のくじ引き機に近い事を行っています。プレイヤーの側からは円盤は見えないので、基本的にはランダムだと考えて差し支えありません。ただ、円盤の速度や抽選結果の配置、及びスタートレバーを叩くタイミングによっては抽選結果が偏る事もままあるので、完全にランダムとは言いきれない部分もあります。
 ボーナスや小役の抽選確率は内部設定によって6段階に切り替える事が出来、設定1〜設定6という呼び名が一般的に用いられています。ボーナス確率は設定1が一番低く、設定の後の数字が上がる程高くなります。小役確率は設定による違いは殆どありません。
 
 尚、一部のパチスロ機では差枚数カウンタを用いて投入枚数と払出枚数をカウントし、
  (払出枚数×加算値)−(投入枚数×減算値)
 が0以下の場合(=払出枚数が少ない場合)に小役の成立確率が上がるといった仕組みを持つものが存在します。上の式で用いている加算値・減算値は小役成立確率を切り替える為の定数で、通常加算値には256、減算値には100前後の値(機種や設定によって異なる)が用いられています。
 
★リール制御
 
 パチスロではプレイヤーがストップボタンを押す事で、任意の位置でリールを止める指示を出す事ができます。ただ、リールはプレイヤーの指示通りに停止するのではなく、リール制御によって役抽選の結果を反映する形で停止します。
 リール制御で一番よく用いられているのはテーブル方式と呼ばれるものです。テーブル方式では、役抽選の結果を受けてリール毎に最終停止出目のテーブルを選択し、各リールを最終停止出目の形に合わせて停止させるというものです。他にもコントロール方式やスベリコマ数優先方式等の制御方式がありますが、実際にパチスロを打つ時には制御方式を意識する必要は全くありません。実際に自分で打ってみて、機種毎のクセを覚える(○○という機種ではスイカは2コマしか引き込まない、等々)事の方が遥かに重要だと私は考えています。
 
 また、パチスロはアメスロと異なり、役抽選結果が必ずリール上に出現する訳ではありません。例えば、役抽選の結果12枚役に当選したとしても、リール上で12枚役の絵柄が揃えられない場合には、その12枚役は無かったものとして処理されてしまいます。この「当選した役が無かったものとして処理される」事を取りこぼしと呼びます。取りこぼしを回避するには「絵柄を揃えられる位置でリールを止める」事が必要になります。
 取りこぼしには唯一例外があり、ボーナスに当選した場合は、ボーナス絵柄が揃えられなくてもボーナスの権利は消滅しません(*2)。一旦ボーナスの権利が発生した後は、以後は常時ボーナス絵柄が揃えられる様になります(*3)。
 また、取りこぼしを回避するには絵柄が揃えられる位置でリールを止めなければならないのですが、絵柄の数が少なければ必然的に絵柄が揃えられる位置は少なくなりますし(*4)、絵柄が揃えられる位置で押しても、制御の特性でかわされてしまう場合もあります。
 尚、CT機のチャレンジタイム中は、特定のリールがプレイヤーの指示通りに停止する様になり、リプレイとボーナス絵柄以外の任意の小役を揃えられる様になります。
 
★サブ基盤
 
 上記の役抽選とリール制御がパチスロに絶対必要な仕組みであり、この2つがきっちり設計されていればパチスロとして十分遊べるものになります。ニューパルサー(山佐)には補助演出の類は一切付いていませんが、登場から8年経った今でも根強いファン層に支えられています。
 ただ、最近のマシンには小役やボーナスの告知、またはプレイヤーの期待感を煽る事を目的として、第4リールや液晶、リールフラッシュ、特殊効果音等の補助演出アイテムが標準的に装備されるようになりました。これらの補助演出アイテムをコントロールするのがサブ基盤で、役抽選やリール制御を司るメイン基盤とは別のCPUによって制御されています。
 サブ基盤はメイン基盤の役抽選結果を受けて動作しますが、補助演出アイテムの表示や音は必ずしも役抽選結果を反映しているとは限りません(*5)。唯一の例外はボーナス確定の告知ランプで、他の「ボーナス確定告知らしきもの」は全てガセる可能性があります(*6)。
 
 また、最近ではサブ基盤による小役告知機能を使用して、擬似的なボーナスゲームを実現している機種が増えています。中でも極め付けは獣王(サミー)のサバンナチャンスで、超高確率で成立する12種類の特殊役のナビがONになる事により、通常のボーナスに匹敵するコインを獲得する事が出来るようになるというものです。
 サブ基盤はメイン基盤と比べて仕様の規制が緩く、今後サバンナチャンス以外にも様々な形態の擬似ボーナスゲームが登場するものと思われます。
 
★仕組みと攻略
 
 パチスロのゲーム性の根幹を成すのは前述した役抽選・リール制御・サブ基盤の3つの仕組みであり、その仕組みを利用する打ち方がパチスロの攻略法になります。

《小役回収》
 役抽選で成立した小役を出来る限り取りこぼさない様に、小役が揃えられる位置でリールを止める打ち方です。効果は機種により様々ですが、差枚数カウンタ非搭載機種の方が大きな効果を期待出来ます。また、どんな機種であっても小役回収を行ってコインロスをするという事はありませんが、小役回収の効果があまりに小さい機種では、小役回収を行わない方が時間効率が良くなります。
 
《リプレイハズシ》
 BIG中の小役ゲームでJACイン絵柄をわざと取りこぼし、小役ゲームを延命する事で獲得枚数を増やす打ち方です。正確には「JACインハズシ」ですが、JACイン絵柄にはリプレイ絵柄が転用される事が多い為、「リプレイハズシ」という呼称が一般化しています。効果は機種により様々で、ハズレ&JACイン確率が高い機種や変則押しで小役が取れない機種では、リプレイハズシを行うとコインが減っていきます。
 また、JACイン確率の低い機種で無闇にリプレイハズシを行うと、JACゲームを残したままBIGが終了する事もあるので注意が必要です。
 
《設定判別》
 減算値が設定毎に異なる差枚数カウンタ装備機種では、打ち方を工夫する事で設定を見破る事が出来ます。具体的には、小役回収/小役取りこぼしを適宜使い分け、特定の小役の出現状況を見て減算値を推定し、設定を見破るというものです。ただ、最近は「差枚数カウンタ非搭載」「全設定で減算値同一」「小役確率の高低差が微小」等の理由で、設定判別が通用しない機種が圧倒的に多くなっています。
 尚、設定判別が通用しない機種でも、設定毎に異なるパラメータがあれば大体の設定を類推する事は可能です。一番判り易いのはボーナス確率で、大当りを数多く引けている台は高設定が入っている可能性が高い、というのは周知の事実かと思います。
 
《役抽選攻略》
 小役抽選はある一定の確率で行われていますが、役抽選の仕組み上、特定の小役が偏って出現する場合がままあります。その為、コイン投入からスタートレバーを叩くまでのタイミングをうまく調整する事で特定の小役の出現頻度を上げ、小役獲得率をアップさせるという攻略法が成立します。
 役抽選攻略は小役回収やリプレイハズシと異なり、方法を知っていれば誰にでも出来るというものではありません。役抽選攻略を使用するには、役抽選の波を探し当てて維持する打ち方を体得する必要があり、その打ち方を発見するには自分で試行錯誤を繰り返す以外にないからです。
 但し、役抽選攻略は時に絶大な攻略効果をもたらす事があります。メーカー名・機種名は伏せますが、役抽選攻略を用いる事で簡単にBIGが引ける事が判り、ホールデビュー後1週間足らずで姿を消してしまった機種も過去には存在しました。
 
《補助演出攻略》
 サブ基盤は基本的に役抽選の結果を受けて動作しますが、サブ基盤自身も専用のメモリを有していて、メイン基盤が関与しない様々な情報を保持しています。そこで、補助演出アイテムに現れるサブ基盤の情報を利用し、小役獲得率の向上等に利用するという攻略法が成立します。キャッツアイ(サミー)のBIG中2択ナビ・獣王(サミー)のデモフラッシュがこれに該当します。
 現在は補助演出攻略が使える機種はごく限られていますが、今後サブ基盤の機能拡充で擬似的なボーナスゲームを実現する機種が増えてくると、補助演出攻略の比重が高まってくるものと思われます。

 パチスロの攻略法は上記に挙げたものでほぼ全部です。もしここに記載されていない攻略法が存在したとしても、役抽選・リール制御・サブ基盤の3つの仕組みが根本となっている筈であり、そうでないものは単なるガセネタに過ぎません。
 一部では攻略法と称して「クレジットカウンタが○○の値になるまでコインを入れ、××が揃ったら△枚手入れ+MAXBETで回し・・・」などという怪しげな手順が出回っている様ですが、違法改造機でない限り、クレジットカウンタの数字やコイン投入枚数、過去に成立した役が役抽選の結果を左右する事など絶対にあり得ません
 
 パチスロの仕組みを正しく理解し、目押しや立ち回りの技術を磨き、正当な攻略法を実践する事が勝利に繋がる唯一の道だと私は考えます。

(*1)私は韓国のウォーカーヒルカジノで遊んでみたのですが、余りにつまらないので20000ウォン(約2000円)でヤメにしてしまいました。
(*2)ボーナスの権利が発生した事を「ボーナスフラグが立った」と称する場合がある。フラグとは元々コンピュータ用語で、何らかの条件を満たした時にセットする小さなエリアの事を意味する。
(*3)機種によりボーナス絵柄とチェリーが同時に揃えられる事があるのは、ボーナスフラグ持ち越し中にチェリーが当選したからである。通常時にはボーナスとチェリーが同時成立する事は絶対に無いので、ボーナス絵柄を揃えようとするのは時間の無駄である。
(*4)リールはストップボタン押下から0.19秒以内に停止しなければならないという規定があり、コマ数21コマ・1周0.8秒の機種ではスベリコマ数は4コマが限度となる。
(*5)サブ基盤で役抽選の結果を変更する事は禁止されている為、「リプレイナビでベルが揃った」場合のリプレイナビはガセ告知となる。
(*6)継続性の無い確定告知を行ってはならない事が規定で定められている為。
(*7)リール配列の関係で、全ての成立役が狙えない機種も存在する。


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