双葉文庫 ファミコン冒険ゲームブックシリーズ
ファミコン探偵倶楽部PARTII うしろに立つ少女
池田美沙 著 スタジオ・ハード編
表紙(47KB)
というわけで、ファミコン探偵倶楽部PARTIIのゲームブックです。選択肢を選んでそこへ飛んだり、行動記録紙に、タイムポイントのチェック(ポイントが30個あって、選択肢を間違えて無駄な時間をくったりしたときに減らしていく。全部減ったらゲームオーバーに。はじめてプレイしたときはけっこうぎりぎりだった。まあちゃんと従う馬鹿正直なひとはあまりいないと思うけど)や情報のチェック(得た情報に対応するAからMのアルファベットをチェック)や手に入れたアイテムを記入したりします。当然選択肢を幅優先探索で全パターンをチェックしたり、ヘマしてもタイムポイントを減らさなかったりするのは誰もが通る道だと思いますけど、それでも結構難易度が高いような気がします。
ストーリーの流れのほうは、一応、割と原作に忠実にうまくまとめて流れていきます。
で、プロローグは7月の昼下がりの事務所での空木先生との会話で始まります。空木先生は原作とちょっと雰囲気が違って、ふけてるっていうか、シブくなってます。で、2年前の3月のことの回想シーンに。主人公(名前は前作と同じ高田直哉(たかだなおや))が中学を卒業してすぐに孤児院を飛び出して今の町に来て、空木先生に出会い、アシスタントとして今に至る経緯についてなど。そして2年と4ヶ月、両親がもはやいないことを知ったとか。って、えっ?じゃあ前作のあとの話なの?ってそれにしてはあゆみちゃんとは今回が初対面みたいだし。ってどうなってるの?ホントにわからないんですけど。
で、事件の幕開けを告げる電話。川原で少女の死体が発見されたらしいです。で、現場に急行していろいろと調べてると、被害者は県立Y高等学校(って丑美津高校じゃないの?)1年B組(って1-Aじゃないの)の小島洋子で、どうやら絞殺されたらしいってことらしいです。
そうしていると、あゆみちゃんと日比野先生が現場に出現。まあ話しにならないので、事務所に連れこむことに。って日比野先生も付いてきちゃってますよ。せっかくだからアリバイを聞いておくと、あゆみちゃんは長電話をしていたそうで、日比野先生は同僚の葉山先生と食事をしていたらしいです。って、えっ?
あ、そうそう、この二人について原作と比べてですけど、日比野先生はなんかふけてるっていうかクラい空木先生って感じです。で、あゆみちゃんなんですけど、彼女が今回の登場人物の中で一番印象が違うかも。眉毛がちょっと太くて、つり目がちになってて、性格がちょっとキツくなってるというか、ツッコミがキツいっていうか(間違った進路を修正する役目があるからだと思うけど)。あと、睡眠薬のイベントとかが削られてるから、優しい面があんまり現れないし。
ってことで、あゆみちゃんと一緒に捜査する事に。とりあえずは、あゆみの家に(←関係ないじゃん)。レンガ造りの小ぢんまりとした洋館ですか。いいところに住んでるんですね。
気を取りなおして洋子の家に。洋子の母親からいろいろ聞いたり、洋子の部屋に入ったり。ちゃんと、いかにも女の子の部屋といった雰囲気になってます。で、日記を発見したり、洋子が見た血染めの少女の夢の話を聞いたり。
で、学校でうわさされてる血染めの少女の霊の話と関連がありそうなので、Y高校へ。まずは生徒に聞きこみ。男子生徒と女子生徒がいます。が、男子生徒の方は不良グループです。ヘタをすると囲まれてボコられてゲームオーバーです。なんかここの生徒、ヤバい人ばっかです。他には、聞きこみをすると主人公に対して警察の関係者じゃないよなって念を押してくる警察嫌いのハグレ者とか、なに仲良くしてんだって因縁をつけてボコボコにしてくるあゆみの親衛隊とか。なんか原作の丑美津高校より偏差値が30ぐらい下なんじゃないでしょうか?(でも原作の方もひとみちゃん(そういえば、今回は出てこないや)とかオカマ君とかいたか)何やってるんでしょう、浦部校長?
で、女生徒に話を聞いて、美術教師の駒田先生に会いに。原作と違ってなんか普通のおじさんになってるっていうか、あの人を食った雰囲気が無いって言うか、なんか妙な違和感があるんだけど………、ってせりふの文章が「ぢ」じゃなくて「じ」になってるじゃん。で、うしろの少女についていろいろと聞いたり。
で、職員室に行って、国語教師(原作だと生物教師なんだけど。まあ変更しても特に意味はないんだけど。)の葉山先生に会いに行きます。なんか、眼鏡を外すとなかなかの美人の眼鏡っ子(笑)になってます。原作の方は、なんていうか、ちょっとっていうか、なんかこうっていうか、まあ、実際にいそうな感じってでも言っておきましょうか、って感じなんだけど。で、日比野先生のアリバイのウラを取ったり、葉山先生がY高校の出身で、2年生のときにうしろの少女を見たという話をさらっとしてもらったりなど。
で、事務所に戻ると、空木先生が時効を目前に控えた金田事件にかかりっきりになるので、自分一人で捜査するように言われます。で、洋子の生徒手帳と日記(こっちは無いと最後の最後ではまります)を受け取ります。
で、次の日。とりあえず、あゆみちゃんの家に。上品な中年の婦人が応対。あゆみちゃんのお母さんですか。あゆみちゃんは当然学校へ行ってしまってます。ってこんな時間に得体の知れない男が来たらお母さん不安だろうなあ。
気を取りなおして学校へ。で、生前洋子がいたらしい旧校舎に。壁を見たり、田崎に話を聞いたりなど。あと、あゆみに大鏡の前でそこで洋子に言われたことについて聞いたり、美術室で駒田先生にいろいろ聞いたりなど。
事務所に戻って空木先生に金田事件に着いて聞くと、2つの事件が関係あるらしいです。
で、次の日。職員室で葉山先生にうしろの少女を見た日を聞いたり。15年前の6月6日で、金田事件の日と同じらしいです。原作だと11月10日なんですけど。あと、今は7月だから時効になっちゃってるような気がするんですけど。
で、用務員室で洋子の事で田崎を問い詰めたり、職員室で日比野先生や浦部校長にあったり、事務所であゆみにスクラップブックを受け取ったり、空木先生から金田事件に田崎が関わってるらしいと聞いたり。
で、次の日の土曜日。とりあえず、あゆみちゃんの家に(←ストーカーですか)。当然学校に行ってます。
気を取りなおして学校へ。用務員室で田崎にいろいろと話を聞いたり。職員室で葉山先生に15年前のあのとき、壁が塗られていたかどうかを聞いたり。田崎が盗み聞きしているみたいだけど。で、壁は塗られていたそうで、推理は事件は振り出しに。内心がっかりしていると「ごめんなさいね。お役に立てなくて……」と。
事務所でいろいろ推理したり、空木先生から金田の息子の五郎のことを聞いたり。
次の日の日曜日、田崎を探すことに。アパートにいないみたいなので繁華街を探すことに。すると校長が目つきが悪い男とスナックに入るのを目撃。で、田崎のアパートにもどって、田崎の隣人から田崎の母親からの田崎宛の荷物を受け取ると、田崎の実家が北海道のE村(原作では東北の丸福村だったけど)と判明。
で、さっそく北海道に行こうとしたら、葉山先生に15年前の壁について話を聞いたときに、事件のことをしらないはずなのに、一番最後に"役に立てなくてごめんなさい"といったのがおかしいとあゆみが気づく。せっかくだから葉山先生に会いに行って聞いてみると、はぐらかされます。っていうかこの人なんか怪しいです。
とにかく北海道に向かうことに(主人公一人で)。って睡眠薬関係のイベントがすっぽり削られてますね。あの辺のイベントが結構好きだったのに。話をまとめたせいでちょっと味気なくなってるかな。
で、E村はへき地にあるそうなので、山の中を抜けていくことに。で、割としょぼい迷路があって、抜けられなかった場合(ってIQ低すぎ)は、落とし穴に落ちてENDになったりなど。
で、村に無事に着いて田崎の母親と会うことに。田崎はここ数年帰ってないそうです。無駄足じゃん。帰ってプレステやろうぜー、ってそうすると田崎の死体が北海道の海に浮かぶことになります。しょうがないので探すと崖で飛び込む寸前でした。思いとどまらせると、観念していろいろと話してくれます。金田事件も洋子の事件も無関係で、にせのアリバイに協力してくれた校長に迷惑をかけないようにと自殺しようとしたらしいです。ということで事件は振り出しに。
気を取りなおして学校へ。校長先生から話があるそうなので会いに行くことに。田崎のアリバイ作りに協力したことについて聞くと、「田崎くんを信じているからだよ」と真犯人を知っているかのような説得力で言い切ってくれます。浅川しのぶや小島洋子の事については「本当に、悲しい事件だよ……」と涙ながらに話します。評判通りの立派な人っぽいです。
あゆみと一緒に美術室へ。あゆみが少女の絵に気を取られているので、駒田先生に聞いてみると、しのぶを描いたものらしいので描いた人を訪ねることに。で、しのぶについては母子家庭で、母親が水商売だったらしいです。あと、金田親子のせいでグレちゃったらしいとか、内田という幼なじみがいたらしいとか。で、なぜか洋子も彼女のもとを訪ねたらしくて、「しのぶさんはきっと、今でもあの学校の……、ある場所にいます」と謎の言葉を残しています。
で、洋子の家に行くと、しのぶと洋子はいとこらしいです。しのぶは、洋子の母の兄、浅川伸二の娘で、しのぶの父親は彼女が幼い頃になくなったらしいです。
事務所に戻るとあゆみちゃんが金田五郎についていろいろと調べてくれたらしいです。最近金回りが良くなったらしいとか、金田源次郎を殺した犯人を知ってるらしいとか。
で、五郎のマンションに二人で行くと、なんかすでに殺されちゃってます。ゲームの方のめった刺しにされるシーンが好きだったんですけど。そうそう、校長と会っていた目つきの悪い男がこいつで、あと「T・U」とイニシャルを刻まれた古い万年筆を握っています。
で、事務所に帰るとしのぶの絵を描いた主婦から電話が。しのぶと内田とおな中(死語?)の彼女の友人が明日訪ねてくるらしいので会いに行くことに。
で、翌日その人物に会いに。ニューヨークに在住する商社マンの妻らしいです。ファミコン版だとどうでもいい顔だったくせに。で、内田は金田事件の自殺した容疑者の息子で、卒業アルバムを見せてもらうとなんと日比野先生と同一人物っぽいです。
猛ダッシュで日比野先生に会いに行くも留守なので、あゆみと一緒に聞きこみ。なんか日比野先生と葉山先生がデキているといううわさ。やるじゃん、葉山先生。っていうか、あの二人グル?すると葉山先生を見かけたので聞いてみてもさらっとかわされてしまいます。そうこうしていると日比野先生がやってきたので話をすることに。確かにしのぶの幼なじみの内田と同一人物らしいです。あと葉山先生とのうわさはこっちも否定。
校長に会おうとするけど、なんか出張らしいです。で、駒田先生に校長の過去について聞くことに。奥さんが病弱で出産のときに子供共々亡くなったらしいです。あと田崎に壁のことを聞いたり。
事務所に戻ると空木先生が帰ってきているので、事件についていろいろと考えることに。校長がなんか怪しいっぽいけど。あと日比野先生も。
そうしてると、一本の電話が。校長先生?かと思ったら葉山先生から。「すぐに学校へ」ってなんかせっぱつまってます。
で、あゆみと一緒に学校へ行き、葉山先生に迎えられて旧校舎に行くと、ぎゃぎゃ〜ん、日比野先生がいきなりテンパってます。「俺は人殺しだーっ! おまえたちがよけいなことするばっかりに!!」ってナイフを振りかざしながらわめいてます。なんで?原作だったら校長の自殺でトリガーを引かれたからってことでわかるんけど。はっきりいってこの時点だとあんたが犯人ってまったくわかってないじゃん。
で、冥土の土産にいろいろと聞くことに。源次郎(親父のかたき)もしのぶ(人殺しって言われたショックでナイフで刺した)も洋子(「先生、先生は昔……、人を殺したわね……?」ってしのぶのモノマネをしながら言われたから思わず)も五郎(校長をゆすったから。あとしのぶのことも)も自分が殺したらしいです。で、15年前のそのとき校長が自分としのぶを学校に連れてきたらしいです。あと葉山先生は日比野に利用されていたらしいです。
で、告白タイムは終わりで、日比野が襲ってきます。とりあえず逃げます。が、うっかり行き止まりの大鏡の前へ。間一髪ナイフをかわすと、鏡にヒビが入って割れて、そこからしのぶのミイラが。
とにかく事件が解決してめでたしめでたしってことで、洋子の母のところへ結果報告へ。洋子の母が涙ぐみながら日記をめくっていると、他のページと違って色が黄色いページが。あぶり出しっぽいのであぶって見ると。"スクラップブックの記事の下"との文字が。スクラップブックの記事の切り抜きをはがすとそこには"わたしと同じ事件を調査してくださった、あなたへ"と表書きされた、四つ折にたたまれたメモ用紙が。その中身を読んで洋子の家を飛び出す主人公。
そしてエピローグへ。
ってことで校長室へ。そこでは校長先生がおだやかな笑顔で迎えてくれます。洋子のメモを渡すと、校長は男泣き。洋子のメモには"校長は、すべてに代えてでも、守りたかったのです。奥様の命と引きかえに、この世に「生」を受けたたったひとりの、我が子と呼べぬ我が子を 。"って綴られてます。ってよく調べたな、洋子(しのぶ?)。で、なんかしのぶも洋子も五郎も日比野が殺したときはまだ生きていて、校長がとどめをさしたらしいです。あと後始末も。「あの子は……、達也は気の弱い子で……、人を殺すなんてこと、できる奴じゃないんじゃ。」って主人公がゲームオーバーになったときはちゃんと殺されましたけど。
とにかく、素直に親だと名乗り出ることができない故に(万年筆の「T・U」ってイニシャルに"日比野達也"じゃなくて"浦部達也"なんだよっていう心の叫びを託したりしてるけど)、一方通行の愛情がどんどん膨らんだ末の悲しい終結を迎えてしまったけど、主人公の心にも亡くなった両親からの愛情を感じさせてくれました。