予防接種の目標は、いうまでもなく感染症の予防です。予防接種が対象となる病気は、今でも治療法がないか、もしくは難しいとされているものです。現在、日本で行われている予防接種は、さまざまな経緯を経て強制的なものではなくなり罰則もありません。確かに予防接種は今日でも完成されたものではなく、予防接種のために死亡、あるいは障害を持つにいたった方々があるのは事実です。それでもなお、多くの子供たちが予防接種のおかげで救われているのも事実です。

 開発途上国では、予防接種が受けられないがために毎年約300万人の子が命を落としています。先進国でも、予防接種を中止したため再び感染が拡大した例も多く知られています。

 かならずしも適切なたとえではないかもしれませんが、私は患者さんにはこう説明しています。予防接種は車のシートベルトのようなものです。交通事故の際、シートベルトをしていたためかえって被害が大きくなった例もありますが、多くはそのおかげで命が救われているのです。
 2013年4月現在