母乳と風邪薬
 
 
「風邪をひいてしまったけれど授乳中なので薬は飲めないのですか?」とお母さん方によく質問されますが、ほとんどの薬が大丈夫です。
 
まず,お母さんの心配の一つは,母乳から風邪をうつさないかということです。お母さんが風邪をひけば,母乳であろうと人工乳であろうとうつる時はうつります。お父さんやお兄ちゃん,お姉ちゃんが風邪をひいてもうつります。
つまり、空気感染でうつることが多いのです。風邪の菌(ウィルス)が母乳からうつることはほとんどありません。
母乳にはいろいろな免疫物質が入っています。お母さんが風邪をひいた時、その菌(ウィルス)に対する免疫が母乳の中に入っているのです。ですから、赤ちゃんは風邪をひいても軽くすむことが多いのです。母乳には風邪を治す特効薬が入っていると思って,どうぞ飲ませてあげてください。
次の心配事が「赤ちゃんが必要のない薬を飲むことになる」ということです。
確かに母乳の中にはお母さんの飲んだ薬も出てきます。しかし、それは検査をしてみるとやっと出るくらいのごく微量なものですから心配ありません。それよりもお母さんが早く元気になってもらうことの方が大切です。我々小児科医は,赤ちゃんが飲んでも大丈夫な薬をお母さんにも処方します。
授乳を1回やめただけでもパンパンにおっぱいは張ってしまいますし、搾乳してもすっきりしません。赤ちゃんが急にミルクを飲まないことだってあります。母乳中止の指示が出た時には、赤ちゃんにどういう影響が出るのかを質問してみましょう。「薬を飲んでいるときには母乳をやめる」と短絡的に考える必要はありません。
勝手に判断しないで、相談してみましょう。