TURNBULL Cabernet Sauvignon Oakville 1999

Turnbull Wine Cellarsは、ナパ・バレーの中心部、Robert MondaviやOpus Oneのご近所にあるワイナリー。1979年設立のJohnson Turnbullが前身で、93年に現在のオーナーの手に渡ってから、ぐんぐん品質が向上しているらしい。ブドウはすべて自社畑のもの。ここのように5桁クラスのケース数を生産しているワイナリーは、本来私の眼中にないはずなのだが(笑)、ワイン雑誌やあちこちのショップの推薦文などでこの99年のカベルネ・ソーヴィニョンの評判がかなり高かったので、半分眉に唾をつけながら飲んでみたところ、これが本当に素晴らしかった!

グラスを軽く回すと、カシス、杉、ユーカリ、コーヒーといった香りが渾然一体となってゆっくりと広がってゆく。そのかぐわしいこと!シルキーでとても滑らかな口当たりは、まさにエレガントという言葉がぴったり。舌にしっかり刻み込まれる、柔らかくて密度の濃いタンニン。そして、フレッシュでみずみずしい酸と完熟したブドウの甘みがじわじわと口いっぱいに広がってゆく。まるで凝縮した果実のエキスを口に含んでいるかのよう。あぁ、幸せ。何よりも全体のバランスが素晴らしい。あまりの美味しさに、いつまでも口の中に残しておきたいくらい。本当にもったいなくて飲み干せないのだ。

最初の一口を飲んだ瞬間、あるワインが脳裏をかすめた。ワイン会などでこれをこっそりAraujoの瓶に詰め替えて出しても、疑問に思わない方が多いのではなかろうか? 比べて飲んだら、若干ボディが強めに感じられる気もするが、私もAraujoの97年と言われたら納得するかもしれない。これで$27.99。同じ99年のAraujoと比べると1/5以下の値段である。Wine Spectator 7/31号の、A tremendous value for an exceptional wine.92Pts. という評にも納得。あまりの美味しさに7本も追加購入してしまった。 ひとつのワインをこんなに買い込むなんて初めてのこと。$100を超えるカベルネなんてもう興味はない!

2002/10/06