LUNA Merlot Napa Valley 97


カリフォルニアワインの中でも、意外と飲む機会が少ないのがメルロー主体のワインだ。
カベルネより軽く、フルーティで甘みのあるメルローは、コカ・コーラで育ったアメリカ人の嗜好にマッチしたのか、1990年代初めから半ばにかけて、消費量が一気に3倍も増えた。
だがそれもここに来てやや頭打ちになった感がある。
メルローという品種がカベルネ・ソーヴィニョンに比べてメジャーになりきれない理由のひとつが、造り手やヴィンテージによる品質のばらつきが大きいことだろう。また、ナパ・ヴァレーのような温暖な地域では、ブドウが熟しすぎて風味が消え、逆に涼しすぎると青臭さが鼻につくように
なるとも言われている。ごく一部に価格は高いがずば抜けて優れたワインがある一方で、値段が手頃でも品質は凡庸なワインが市場に溢れている気がする。そのせいもあってか、同じ値段ならどうしてもカベルネ主体のワインに手が伸びてしまう。

だが、久しぶりに美味しいメルローと出会うことが出来た。ジョン・コングスガードが経営に参加しているナパ・ヴァレーのワイナリー、LUNAの97年産のメルローだ。

ワイナリー自体はサンジョベーゼなどのイタリア系品種のワインが主流で、どれも高い評価を受けているが、このメルローも素晴らしい。
プラムやプルーンを紅茶で煮た時のような甘い香り、やわらかくて丸みのある口当たり、そして太陽をいっぱい浴びたブドウのエキスがぎゅっと詰まったような濃厚さと奥行きの深さ。「ドライフルーツを入れて焼いたパウンドケーキを食べているよう」という声も。カベルネ・フランが20%
ブレンドされており、それがメルローの持っている長所をうまく引き出しているのだろう。なかなか見つからないワインだけど、またぜひ飲んでみたい1本だ。 

 


2001/11/17