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St-Vigor-de-Miuex
date
9/28

ファレーズ市から3キロ郊外のサン・マルタン・ド・ミュー村にサン・ヴィゴール・ド・ミュー礼拝堂がある。以前テレビで放映されたのでご存じの方も多いのでは?
15世紀に建てられて以来、傷んで閉鎖されていた小さな礼拝堂。1987年にここを訪れた日本人アーチストの田窪恭治氏は、この礼拝堂に心を奪われ、家族と共にこの村に移住。村人の協力を得ながら、10年の歳月を掛けて再生したという。

床には銅板を張り、崩れて失われた屋根瓦の部分に色ガラスの瓦を組み込んで、美術作品として甦らせた。昼間は木骨組みの尖塔からちょうど祭壇の辺りに色ガラスを通した光りが差し込み、美しい影を映し出す。中の壁画は鉛の壁に何層にも絵の具を重ね、鉛筆で下絵を描いたのちに、削り出していくというもの。ノルマンディー地方の林檎をモチーフにした絵で、外の自然と室内を結びつけて融合させている。再生作業は2002年に終了しているが、下絵のままの部分ものこっており、完成されて動かないものではなく、使いながら時を過ごして作られていくという生きた礼拝堂のイメージを感じさせてくれる。

この日は夕方からコンサートが開かれるとのことで、室内楽のリハーサルが行われていた。いかにも手作りの音楽会。ヴィオラ、フルート、ギターに弦楽器、ソプラノのソロヴォーカルが礼拝堂に響く。裏庭は広い牧場で牛たちが飼われている。夕方来ませんか?と誘われたが、パリまで帰らなければならない私たちは外を一回りして絵はがきを買って礼拝堂をあとにした。

何よりもこの地にあるということが大切な作品なのだろうと強く感じた。

●Chapelle de St-Vigor-de-Mieux

■車でのアクセス
パリよりA13を利用。31番出口Caen.Estで高速を降り、
Alencon,Le Man方面の標識に沿ってN513を利用しながら
N158(Alencon,Le Mans方面)に入る。
Falaiseの出口が見えてきたら、そのままArgentan方面に進み
(FalaiseのCentre villeには入らず)D511をPont d'Ouilly
方面へ進む。約2.5mほど行って左側の木立が終わった所に
Saint Vigor de Mieuxと書かれた小さな標識があり、
そこを左折して700m進むと礼拝堂が見えます。

とはいえ、4時過ぎ、まだまだ外は明るく、天気はいい。ひとっ走り、海でも見に行きますか?との声で、更に北へ。ノルマンディーの海へ。ノルマンディーは英仏海峡に面したセーヌ川の河口です。オンフルールかドーヴィル、どちらかに行けそう、ということで「オンフルール!」と叫ぶ。

ドーヴィルといえば、クロード・ルルーシュ監督の映画「男と女」の舞台になった街。いわゆる高級リゾート地で映画祭が開かれるので有名。BGMはボサノヴァ、ジョアン・ジルヴェルト。オンフルールはその隣町で、エリック・サティの生まれた地、モネやセザンヌなどの印象派の画家達や、ボードレールも訪れ、たくさんの画家達が住み着いたというアートの町なのです。ノルマンディの海岸から入江になった港には、カフェやレストランがいっぱい。なだらかな坂に続く丘からも海が見渡せる。お土産屋さん、カルヴァドス専門店、ギャラリーと書かれた画廊。夕暮れ前のひとときで、ギャルソンやシェフ達も穏やかな表情で店先に出ている。

こちらがHotel de Ville。↓ HONFLEURの市役所。時間は6時5分過ぎ。

港に面してメリーゴーランド。フランスはあちこちの街角にこれがある。

この辺り、新鮮な海の幸が名物とくれば、牡蠣なんでしょうね。ゆっくりしたいところですが、そろそろ7時。パリまで戻らないと。