先月末でお店を閉めてしまった千駄ヶ谷の民芸店『えびね工芸店』。
40数年間やってらしたこのお店の看板とも言える一皿を、店のおっちゃんに破格にて譲っていただきました。
海老根と言えば以前にもここ、『竹やぶ放浪記』でも取り上げたことのある、自分にとって馴染みの花。
実家でおばあが大事に大事に育てていた花。そういえば今年もキレイな花を咲かせていました。
そして、僕にとっての第2のえびねとなった『えびね工芸店』は徳利、ぐい呑みとあれこれ買った益子の陶芸家、
成井立歩さんを僕に知らしてくれた大恩ある店(おおげさ!?)。
以前から、やたらとこの”海老根”皿に興味惹かれる自分に、おっちゃんが一言。
「そういうことなんだよ」
と。な、何がですか……。
おっちゃんの口癖。
「旦那をよいしょするワケじゃないけど」
と、聞かせてくれた一言で、もう、即購入決意。だってこのお皿、
かねてから僕が好いていた作家さん、立歩さんの作そのものだったんですもの。
「知ってか知らでか、分かる人にはわかるんだなぁ」
ですって。って、え〜〜、鳥肌もの。思い入れのあるお花に作家さん、そしてお店。
お店の看板たるお皿が立歩さんの手によるモノで、おまけに海老根でもう、すべてがここにある。
そんな気になっちゃったらもう、是が非でも欲しい。出た、おっちゃんのキラーワードその2。
「旦那なら譲ってもいいよ」
な、泣いていいですか……。
そうしてお会計に。ほんとに破格。さらにレジを打ってくれた奥さんの一言。
「あれ〜、何度売ってくれって言われてもあの人、売り物じゃないからって手放さなかったのに」
追い打ちですか……。ほんと話しがうますぎて、狐につままれた想い。感謝感謝の購入劇と相成りました。