【風待ミーティング&トークライブ】11/9,10 渋谷ON AIR EAST/渋谷XP


↑風待チケット(イラストチケットはトークライブ用)

 たまたま覗いた「風待茶房」のページで告知されていて、駄目もとで
 申し込んだら全部当たってしまいました(笑)。ツイてる時ってのは
 そういうもんなんでしょうな。殆ど手を煩わせることなく体験できて
 しまっただけに今だに夢のようなんですが、公表されたセットリストを
 参考に記憶を紐といてみたいと思ってます。とにかく凄いライブでした。

 →11/10のレポートは、コチラ

◯11/9(Tue)

 流石に今回ばかりは、ということで17時フレックス。職場に幾許かの
 申し訳なさを持ちつつも、会場の異様な雰囲気を見て、一挙に気持ちを
 切り替える。まだ6時前だってのに、何でこんなに人が集まってんだ?

 先行予約組(FLIP SIDEチケット)はどうやら入場順が早くなるようで、
 私と友人は何と最前列をゲット!左端だったけど、ここなら各アーテ
 ィストの入退場が間近に見られそうだ。ステージではDJ(彼がSoulSet
 の川辺氏だということは後で分かるのだが。いきなり贅沢!)がBGMを
 回している。お洒落な選曲の中に何げに今日の主役達の作品が折り込ま
 れていて、俄然期待は高まっていく。

 カーネーション
 1.春よ来い 2.抱きしめたい 3.12月の雨の日 4.はいからはくち
 
 かせきさいだあの主旨説明の後、飛び出してきたのはカーネーション。
 いきなりこんな濃いの見ていいの?しかも演奏は全曲はっぴいえんどの
 カバーという。ほんと掟破りもいいところ(笑)。しかし、直枝さんの
 声ってこの手の音に凄く映えるというか、まあこれはいつも思うこと
 なんだけど、どんなカバーを演っても完璧に自分のモノにしてしまう。
 イベントへの期待が沸点に達しているところで、こんな卑怯なことを
 やられたら、ねえ。
 ♪お正月と云えば/炬燵を囲んで♪てな歌詞をロックに載せていいんだ
 ということに衝撃を受けた、と直枝さんは言っていたけど、今でこそ
 さして抵抗がなくなっているとはいえ、確かに強烈ではある。

 かせきさいだぁ≡+イリシット・ツボイ(DJ)
 1.ヤンピーファーズ 2.相合傘 3.さいだぁ≡ぶるーす

 怒涛のような20分の後、再びかせき登場。
 若干やりにくそうな雰囲気はあったものの、こういうイベントにおける
 彼等のポジションは逆に「飛び道具」的にも見え、かなり異色で面白
 かった。MCで彼だけオリジナルを許されていると言っていたが、結局は
 歌詞を(テイストも含めて)引用してたりする訳だから、これはこれで
 立派なトリビュートと言える。「さいだぁ≡ぶるーす」のバックトラック
 がCDとは全面的に差し替えられている(ポールマッカートニー!)など
 かなり意表をつかれた。終始笑顔(笑)で皿を回し続けるイリシット・
 ツボイも好感触。

 ヒックスヴィル+キハラ龍太郎(kbd),鹿島達也(b),茂木欣一(ds)
 1.孤独な心臓 2.フォレストグリーン 3.蒼いフォトグラフ

 ここからはヒックスヴィルをメインにしたハウスバンドと様々なゲスト
 の共演に。まずはヒックスビルが演奏。頭2曲は松本さんに作詞して
 もらったとのことだが、やっぱり白眉は最後の「蒼いフォトグラフ」
 でしょう(笑)。真城さんのイメージとしてはつながりにくい(失礼)
 が、個人的にも聖子作品の中では好きな楽曲だっただけに、これを
 ライブで聴けるのは嬉しかった。後で聞いた話によるとこの日は聖子
 さんご本人も客として来てたそうで(驚!)どういう印象を持ったのか、
 非常に気になるところ。

 鈴木茂(vo,g)+新川博(kbd)
 1.レディ・ピンク・パンサー 2.8分音符の詩

 続いて登場したのは鈴木茂!出演するということよりも「歌うの?」と
 いうことに注目していた者としては、当然のようにボーカルマイクが
 置かれていることに納得しつつも驚く。しかし曲目は「ラグーン」から
 2曲という微妙な肩透かし。また、これはあくまでも見ためだけの判断
 なんだけど、何となく軽く流してるような感じも受けた。所謂はっぴい
 えんどチルドレンの熱狂振りに少し戸惑いを感じているような。って少し
 考えすぎか?でも鈴木氏にはやっぱりのけぞってソリッドなギターを聴か
 せてほしい、と思ってしまうだけに、ちょっと不満(ワガママ)。

 キリンジ(vo)
 1.てぃーんずぶるーす(弟) 2.雨のウェンズデイ(兄)

 ってな気持ちを残しつつ、注目の新人(笑)キリンジの登場。鈴木氏の
 後ってやりにくいだろうなあ、という憶測をある意味裏付けるように
 兄弟揃ってやや緊張気味。しかも楽器は持たない完全にカラオケ状態。
 まずはホリゴメ弟が原田真二の曲を。原田真二は個人的にもマイブーム
 入ってただけに素直に歓喜。甘い声の感じも本家に近いかな?続いての
 ホリゴメ兄は今回実は一番注目されていたかも知れない(来るか来ない
 か?という意味で)大滝先生の「ロンバケ」収録曲を。大滝ナンバーを
 ライブで聴けるという感動の方が先に立っていたのでその場はさほど
 気にならなかったが、やっぱりボーカルが不安定というのは否めないか。
 だからって「10年早い」とか頭ごなしに否定するようなマネはしません
 がね。いつになく慎重に丁寧に歌うその姿に、少なくとも私は共感。

 佐野史郎(vo,g)
 1.ちぎれ雲 2.指切り

 おお、テレビの人だ(苦笑)という訳でもないけど、会場からも今まで
 と少し違った歓声がわく。しかしラメの入った黒タートルに黒革パンと
 いう出で立ちは、どう見てもロックの人ですぜ(笑)。氏のはっぴい
 えんど好きはBSの音楽番組で以前から知っていたが、1曲目がいきなり
 未発表曲ってのはそれでもかなり濃厚。続く大瀧ナンバーも実に渋い。
 「指切り」は実は今回の「聴きたかった」ナンバーの筆頭。

 南佳孝(vo,kbd)
 1.おいらギャングだぞ 2.スローなブギにしてくれ

 松本さんへのメッセージを、つぶやくように語りながらキーボードを
 弾く南さん。のっけからすでに自分の世界へ観客を引き込んでいく。
 1曲目も良かったが、やっぱり白眉は「ウォンチュ〜」で始まる2曲目
 だろう。こんな至近距離で生ウィンチュ〜。しかもオリジナルと寸分
 違わぬタイミング。思わず鳥肌立ってしまった。ご本人もノリノリで、
 立ち上がってピアノ弾いてたかと思うと最後はジャンプしてブレイクを
 決める。はぁ〜、ため息しか出ないっす。これぞプロ。圧巻。

 草野マサムネ(vo,g)
 1.タイム・トラベル 2.水中メガネ

 テレビの人再び(笑)いやいや、そういう言い方は失礼か。でも流石に
 ファンからの黄色い歓声が一番多かったマサムネ氏。しかし、普段の
 彼を知らないので何だけど、メチャメチャ普段着ですな。しかも他の
 メンバーよりも小柄なのでそれこそ素人のど自慢のような様相(失礼)。
 しかしひとたび声を出せば「ああ」って思えるんだから流石というか。
 選曲的にはベタだがキャラクター的には意外に思えた原田真二の1曲目
 よりも、注目はやはりチャッピー曲のご本人バージョンである2曲目か。
 オリジナルのいかにも歌謡曲といった感じよりも、やっぱり彼の声の方
 が合っているように思えた。

 スペシャル・セッション・バンド
 松本隆(ds),細野晴臣(b),キハラ龍太郎(kbd),佐橋佳幸(g),
 浜口茂外也(per),高野寛(vo,g),中村一義(vo)+鈴木茂(g)
 1.あしたてんきになあれ 2.しらけちまうぜ 3.風をあつめて

 そしてそして遂に、あのドラムあのベースあのギターの共演が!!
 出演者の入退場口に一番近い場所に陣取っていた私(と友人)は、まず
 細野さんの登場に思わず声を漏らす。しかし立ち位置は一番奥。こちら
 側(ステージ左手)と勝手に思い込んでいたのでショック大。このコー
 ナーのボーカル(兼MC)は、一体どこで出てくるのだろう?とずっと
 思っていた中村一義とその保護者(笑)である高野寛。「こんなライブ
 が出来るなら世紀末も悪くない」といいつつも、割と淡々とした進行に
 見えたのは、高野氏の成長の証なのか?(笑)対する天才・中村氏も
 意外にすんなり輪に溶け込んでいるように思える。何だか不思議な気分。
 しかしやっぱりこのリズム隊、この2人が(途中鈴木氏も合流)この
 楽曲を自分の目の前で演奏しているという事実がもう、物凄くて何も
 言えなくなってしまう。確かに世紀末も悪くないなあという気になる。

 カーテン・コール(全員)

 とはいえやっぱり3曲ってのは少ない(ワガママ)。出演者退場後も
 鳴り止まない拍手に、メンバー全員が再登場。結局この3曲しか練習
 していないとかで(苦笑)アンコールは無かったが、松本氏を中心に
 細野、鈴木両氏が肩を組んでステージ前方へ進み、歓声が起こる。
 元来シャイな人達みたいだけど、細野さんが照れて袖に引っ込もうと
 したら楽屋側からNGが出て、渋々戻ってきたのは可笑しかった。同時に
 見方によっては鈴木氏も(先にも書いたが)何だか軽く流してるよう
 な感じだったし、細野さんは細野さんで終始淡々とベースを弾いてて、
 この4人の間には深くて長い河が流れてるんだろうなあ、などと穿った
 感情を持ってしまったりもした(笑)。

 =トークライブ= 22:30〜?

 3時間の長丁場の疲れを癒す暇もなく、打ち上げ会場の渋谷XPへ。
 既に立食パーティーが始まっていたが、取り敢えず座席を確保して
 トイレへ向かうと、おお!手を洗っているのは川勝正幸氏ではないか。
 テレビで見るよるかなりデカい。会場はWeb申込により集まった一般
 参加者と音楽評論家やタレントさん(春風亭昇太氏の姿も)等の業界な
 人達が自然に混ざり合った感じで「これが業界パーティーってやつ?」
 などとミーハー根性丸出しな私には夢のような雰囲気。ライブ終了後の
 アーティストも続々と集まってきた。

 ライブの進行がかなり押した(器材トラブルによるところ大)為か
 トークの開始もかなり遅くなった。今日のゲストはライブから引き
 続き佐野史郎氏。松本氏との「レア音源対決」がテーマである。
 佐野さんは以前はっぴいえんどに影響を受け「ウインドシティー」と
 いうバンドを組んでいたということで、かなりマニアックな会話が
 続く。佐野さんが紹介されたレア音源の内訳は、
   ・ちぎれ雲(「風待図鑑」ボーナストラックとして収録)
   ・風を集めて(「風をあつめて」の初期バージョン)
 特に「風を集めて」(初期は「集めて」と漢字表記だったそう)には
 驚いた。全然雰囲気が違う。確か「ゆでめん」の頃に作られていた
 このバージョンが気に入らないとかでオクラ入りしていて、「風街」
 の時に再浮上してきて現行バージョンに落ち着いたんだとか。因みに
 佐野さんは「風街」のジャケットにメンバー全員のサインを貰うのが
 趣味で、今回見事全員のサインが揃ったんだとか。

 対して松本さんは、12月発売予定の松田聖子のアルバムに久々(実に
 11年振りらしい)自分の詞が収録されるということで、その曲を公開。
 何と作曲は大村憲司さんで、彼から直接受け取っていた楽曲を使って
 くれるならという前提でコラボレーションが復活したそう。「櫻の園」
 と言うその曲は、往年の聖子ナンバーを踏襲した雰囲気で、しみじみ。