闇のすとれんじゃー


scene:7
旧校舎まえの校庭

「晴美ぃ!」
ユキのただならぬ声に上を降り仰いだ晴美、
厚いガラスのはまった頑丈そうな窓が落下してくるのを見た。
目が大きく見開かれる。躰が硬直した。1秒とたたずに窓は確実に激突する。
「!!!!!」
声にならない叫びが上がる。晴美の内で何かがはじけた。
晴美のからだから目に見えない力がほとばしる。
サイコキネシス。
かつて、ヨミは、一度に二機のジェット戦闘機を持ち上げるというけた外れのサイコキネシスを発揮し、
バビル2世はそれ以上の力で応戦した。
晴美の放った力は、バビル2世の発したサイコキネシスをも優に上回るものだった。
それだけの力が、戦闘機と比べれば取るに足りない質量の窓に集中する。
落下する窓の大部分が瞬時に消滅した。
残った桟のかけら、ガラスの細片がぽとぽとと地面に落ちる。
晴美のからだがくずおれるように倒れた。
「晴美!晴美ぃ!」
駆け寄って必死に呼びかけるユキ、涙声になっている。
騒ぎを聞きつけて次第に周りに人が集まり始める。
ばたばたと、数名の教師が走り寄って来た。
「おい!だいじょうぶか?」
「しっかりしろ」
「こぉらぁー!おまえらぁー!」
旧校舎の窓から青い顔をのぞかせている男子生徒たちに向かって、別の教師が怒鳴る。
「さっさと降りてこい!」
「・・・・・」「お!」
晴美が目を開いた。
「だいじょうぶか!」
「晴美!」
呼びかけに、しかし、晴美、無反応である。
顔を見合わせて、教師、
「とにかく、保健室に行こう」
「立てるか?だいじょぶか?」
両側から支えるようにすると、晴美、素直に立ち上がる。
怪我をしている様子は、無い。
「さあ、行くぞ、そら、」
まわりを取り囲んだ野次馬を抜けて、保健室の方に歩き出す。
だが・・・
少し注意して見てみたならば、
野次馬の中に、教師とは異質の、鋭い目つきの男たちが混じっていることに気づいただろう・・・

scene:8へ続く