彼女は恋の鬼軍曹

 詩織は恋の鬼軍曹なのである。鬼教官でありスパルタン魂の持ち主なのである。
 彼女は時々、マジかよ本気で言ってんのかよ冗談じゃねえよほんとに幼なじみかよ優しさのかけらもねえなオイ的お言葉を賜ったりし、優しい性格って設定じゃねえのかよコラと思わずマニュアルを読み返してみたらほんとにそう書いてあって我々はひどく青ざめたりもする。
 だが、それでいいのだ。
 なぜなら彼女は恋の鬼軍曹だから。
 彼女は、主人公に冷たい言葉を投げかける。そこであなたは腐ってはいけないのだ。そこで腐る者はダメであり幼稚であり問題外であり男として最低なのである。
 彼女のその冷たさの裏には、
「あなたには素敵な男性になって欲しい。だから決めたの。私は鬼になる! 今日から私は鬼よ!!  だって私は恋の鬼軍曹!!」
という気持ちが隠されているのだ!
「のだ!」じゃねえよと思われるかもしれないが、これならまさにすべてのつじつまが合うと言えよう。
 だから、詩織は夏祭りの射的で人形を4つも取った渉部に対して
「ふうん。まあまあね」
とか言いやがったなコン畜生っ!! 4つだぞ4つッ!! なにが不満なんだ言ってみろコラぁ!! テメエその浴衣ひん剥いて中略なことするぞクソッタレっ!! わかったぜ上等だ!! 射的で5つ人形とってやるからそこで待ってやがれ腐れ外道がぁあぁぁぁっ! という感じで、渉部に奮起を促すのだ。ちなみにこの「ふうん。まあまあね」というセリフは、文字だとなんか全然たいしたことない感じのセリフだが、実際聞くととにかく憎たらしいのでぜひ一度聞いていただきたい。
 ともあれ、詩織が冷たい性格に感じられるのは、プレイヤーのために心を鬼にしているゆえのことなのだ。思い出して欲しい。詩織狙いでプレイすると、キミは卒業間近になると勉強も運動もできてニ枚目のナイスガイになって女の子にモテモテになれたけど爆弾処理に追われまくってヒドイ目にあって……えーと、ま、まあ、それはともかく、詩織が冷たくしたおかげでキミは見事に成長しているのだ。
 藤崎詩織。 そう、彼女は恋の鬼軍曹。

【詩織よもやま話】
 なんかマジで忙しいんですけど、超一部の人からの熱い要望にお答えしてムリヤリ更新してみたっていうかまたも以前に書いたのを引っ張り出してきたっていうか。
 キャラレビューってことで、全員分書いてからアップしようと思ってて、結局詩織だけ書いて放置してたんですよね。
 まあ、それはいいとして、『ときメモ2』が発売されて、多くのメモラーさんがなんだか『ときメモ2』清一色な感じです。渉部はモチロン買ってません。つーか買いに行ってる暇がないだけです。
 そんな状況で、あらためて思うんですよね。


 やっぱり詩織は気合入ってる女の子だなあ、と。

 詩織を嫌いな人が多いけど(渉部も昔はそうだった)、詩織のいない「ときめきメモリアル」というゲームはなんだかスカスカだ。虹野さんも大事だけど、やっぱり詩織という柱のない「ときメモ」はきっとつまらないのだろうと思う。まあ、根拠もないんだけど、感覚的にそう思ってしまうわけで。
 詩織を嫌いだって言う人も、詩織の話をするときはなんだか眼がキラキラ輝いてる気がするし、確実に活性化する。それは嫌いな詩織の悪口を言うのが楽しいってだけじゃないと渉部は思う。多分、彼らもきっと心の中では詩織が好きなのだろう。
 まあとにかく、いろんな意味で、詩織は稀にみる気合の入ったまったく力強いヒロインである。

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