彩のラブソング
Disc2:虹色メガネが見せるその色彩は……

『彩』と言うゲームをゲーマーの目で見れば、非常に良くできたゲームだと思えた。というか『虹色の青春』(以下、『虹色』)をプレイした人の感想や不満、要望をそのままゲームにしたのでは? という印象を受けた。
 まず『虹色』と比べて飛躍的に登場キャラが増えまくった。話に絡む新キャラが3人も増えたにも関わらず、既存のキャラまでフォロ−している。話にまったく絡まないにも関わらずだ。これは「ふざけんじゃねえよなんでオレの愛するあの娘が出てないんだよこのコナミ野郎!」といった、『虹色』で贔屓のキャラが出なかった各属性の人々の怒りと怨念を汲んでいると思われる。しかも前作でヒロインだった虹野さんまで出てくるというのだから凄まじい。ただその虹野さんを含め、どういうわけか前作でも登場したキャラがまた『彩』でも登場しているにもかかわらず、今回もご登場あそばされなかったキャラがいるのは理解に苦しむところではある。まあ、それは虹野さんが出ているのだから良しとしよう。
 そして『彩』では『虹色』において三つしかなかったミニゲームが一気に増え、ほとんどヤケクソ気味にミニゲームを詰め込んだ感じになった。話に関わらないキャラのほとんどにミニゲームがあるというのだからこれまた凄まじい。もちろん数があるというだけではなく、バラエティも豊富でそれぞれの質も高い。"高い"と言い切ったが、全てをプレイしていないので質に関してはちょっとわからない(ってやれよ>オレ)。ここらへんも『虹色』で単調だったミニゲームへのユーザーの不満を受け止めた結果だろう。
 ミニゲームが増えまくった事によって『彩』は『虹色』に比べてかなりゲームゲームしていて、片桐属性以外の人も楽しんでちょ、という開発陣の想いとコナミの営業上の思惑が感じられた。
『彩』は怒涛のCD二枚組みパワーにより『虹色』の不満を駆逐し、ゲームとしての完成度はかなり高いのではないのだろうか。
 ただ、肝心のストーリーの部分ではちょいとアラ?を感じる部分もある。
 片桐属性をメインターゲットにしているゲームなのにもかかわらず、最初主人公と片桐さんに接点が無く片桐さんのことを好きではないと言う設定や、主人公が片桐さんの事を好きなった理由、逆に片桐さんが主人公を好きになった理由がイマイチわかりづらい(というかわからない)。まあ、ここらへんはプレイした人の178%が思う事だろう。
 その他に、いくらなんでも留学をドタキャンすんなよ関係者各位にご迷惑をおかけすぎ、とか、学校は退学したんじゃないんですか? とか、空港で演奏すんなよ、とかまあ、ささいな揚げ足取りもできるが、そのストーリーのアラ?を差し引いても、一人のゲーマーとしては『彩』は良くできたゲームだと思う。
 だがゲームとしては良くできていても、気合いと努力と根性と熱血の虹野属性の目で見れば、面白いかと言えば少なくとも渉部は全然面白いと思わなかった。いや、みのりちゃん関連のイベントは面白かったと言うかみのりちゃんが健気でかわいかった。ちょっと(かなり)他人行儀の虹野さんは悲しくもあったがまあ、たまにはいいかもしんない。
 ようするにその程度なのだ、『彩』の評価は。
"虹野さんに会うこと"という、おおよそこのゲームには不釣合いな目的で購入しプレイしている渉部には、少しもゲームに感情移入できなかった。
 だからゲームを始めても、やっぱ鈴音ちゃんでしょ、あ、みのりちゃんだ何を怒ってるんだいでも怒った顔もかわいいよっていうか編物でしょ編むでしょ編むでしょ編みまくるでしょ〜っていうか虹野さんはまだ? とかやってたらクリアしていた感じで、開発者側からすればかなり不本意なプレイスタイルであろう。当然、虹野さんに会ってからはまったくゲームを起動していない。
 もちろん「そんなことやってんのお前だけだよ」と言われてしまえばそれまでだし、購入する前の段階でわかることではあるのだが、とにかく徹底的に片桐さんについて興味の無い渉部はこのゲームを正しいスタンスで楽しもうとしなかったし楽しめるはずもなかった。長々と語ってきたが、まあ、そういうことで特にオチはない。
『虹色』が出た頃、渉部は何人かの友人に『虹色』をプレイする事を勧めた。これは誰がやっても面白いし感動するに違いないと思って疑わなかった。が、『彩』をプレイしてみて思った。結局のところ、ドラマシリーズはいくらストーリーが練られていても、どんなにミニゲームがこなれていても、真に楽しめるのはそのヒロイン属性の人だけなのだ。
『彩』で言えば、片桐さんに萌えられなければ真に面白いゲームだとは言えないと思う。
 あなたはどうですか? 片桐さんに萌えられましたか?


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