渉部は最初この、ときめきメモリアルドラマシリーズVol.2こと『彩のラブソング』(以下、『彩』)を買う気があまりなかったというかかなりなかったというかほとんどなかったというか買わないつもりだったというかどうせだったら片桐属性且つ如月属性の弟に買わせちまおうそうだそれがいいとか考えていた。なにせ渉部はギャルゲーだったらなんであろうと逐一買っちまう気合のギャルゲーマーではないし『ときメモ』の名がつくモノは問答無用で購入しないと気がすまない怒涛のときメモラーでもない、努力と根性の虹野ファンであり虹野萌えでありサキストでありニジラーでありサキラーであり虹野属性だからだ。
良くも悪くもそんな渉部だ。片桐さんがヒロインの、片桐さんと仲良くなるのが目的のゲームなどプレイしてえとか特別思わなかったというか金も無いしプレイする時間もないので購入衝動は完璧に抑えられていた。
しかし気合いと努力と根性と熱血の虹野属性の血が、後になって逆に購入衝動を加速させる事になった。
というのも、『彩』には虹野さんが御登場あそばされるからだ。登場すると言っても、当然、話の核心にはまったく触れないであろうし、コナミの策略というか陰謀の渦巻きを感じずにはいられなかったが、まあ、虹野さんが出るんだから問答無用でしょっていうか虹野さんが出るゲームをこの気合いと努力と根性と熱血の虹野属性こと渉部が買わないわけにはいかないしそれにみのりちゃんも出るしと言う感じで、ちょっと浮気心を見せながらアキバにおいて『彩』大購入衝動欲を大開放した。
渉部は最初中古で買おうと考えていたのだが、なかなか『彩』が売っている場面に遭遇できなかった。やっとこさ発見したと思ったら、買ったら後生後悔するような値段で店頭に陳列されていやがった。具体的には新品より中古の方の値段が高かった。
そんなわけで新品を購入したのだが、開封しようとする渉部を、血迷って『彩』と一緒に購入した『みつめてナイト』(以下、『みつめて』)が止めた。
とにかく時間の無かった渉部はゲームを始めるのにかなりの気合いが必要な状態だったのだ。で、"彩る"より"みつめる"方が必要なエナジーが少ないというかとっつきが良かったとまあ、それだけの話なのだが、『みつめて』に速攻で飽きた後も、渉部はなかなか『彩』を開封しようとはしなかった。どうも当時、渉部は半分意地になって開封しようとしなかったようだ。なんか、好きな女の子の前で素直になれない小学生男子生徒みたいだが、しばらくしてそれも不毛な気がしてきたのでついに開封し、プレイすることになる。