農業は産業か?

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「農業は産業になっていない」は社長の論である。農業は1次産業である、と小学校で習う。だから、最初、社長は間違っていると思った。間もなく、ひとつの答えを見つけた。私は、それを着任初の「農業と光技術研究会」の開会挨拶で言おうとして時間を倍も使って社長に叱られた。言いたかったのは次のように簡単なことなのになぜ5分で言えなかったのだろう。

産業の要件は、社長によれば「一定の質のものを必要な量、必要な時に供給すること」である。その意味では、我が国に限らず古今東西の農業は産業の要件を満たさない。ほんのわずか、その要件に近づける分野は現代のハウス園芸であろう。レタスやトマトに旬がなくなったようにみえる現今を考えれば分かる。そのアナロジーで想像すれば、食料などの生産をその要件にあわせる可能性は計り知れないかも知れない。工業的発想で常識を破ることは間違いなくおもしろい。それはレタスやトマトの比でないだろう。

具体的には、別項で触れることにするが、
それ以外にも農業の役割は数限りなくある。農業の多面的機能といわれる中身を考えればうなずいてもらえると思う。農業は産業でなく、総合的な文化である。したがって、農業全部を上の意味で産業化することは不可能である。社長のいう意味で目指すべきは「生物生産産業」である。

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