ある日の「小さな旅」
大好きなテレビ番組のひとつにNHK「小さな旅」があります。息の長い番組で、多くの方々がご覧になっているのだろうと思います。 今朝は、「夢のつぼみ ふくらむ里」と題して山梨県北都留郡小菅村の旅でした。山梨県なのですが、奥多摩湖の源流部にあたる谷間の村。川の水は、東京に向かって流れ、谷は東京に向かって開けています。上流に遡ると大菩薩峠に至るという旧街道筋の村で、鉄道のネットワークが出来上がる前には、おおぜいの人が行き来し賑わっていたことでしょう。今は、谷間にひっそりと家並みが肩を寄せ合っています。 いつものように国井アナウンサーが、ここを訪ねてきました。 山を守り下草刈りに精を出し、木の家を大事にしている古屋さん。自宅の天井の材は、太い柱を組み合わせた中に一枚板の天井板がはめ込まれています。 満員電車通勤のサラリーマンをやめて静岡から移り住んだ中田さんの家族。お父さんは、森林組合に勤めています。給料は半減したそうです。子どもたちの薪割りの腕はまだまだです。中田さんの奥さんが村の人々に支えられて、今月26日には、手作りパン屋さんを開店することになっています。パンの試食会には、近所の方々、老若男女が大勢集まってきました。 3世代で暮らす舩木さん。この春、孫の裕充さんが東京の私立大学に行くことになり、おばあちゃんはそれを思うと悲しくなってしまいます。裕充さんは、山の畑でジャガイモ蒔きのおばあちゃんを手伝ってくれました。畑から家に帰るのに、痛めた足が大変だろうとおぶって連れて帰ります。東京へ発つ前の晩には、肩を叩き揉んで上げます。おばあちゃんは、涙を流しています。「おばあちゃん、寂しくなったら電話をちょうだい」「うん、沢山電話をするよ」 私は、こうした人たちがこうした山村で毎日、暮らしていることを知るとホッとした気分になり、農業や年寄りをないがしろにする政治経済や、今風の市場競争万能と思えてしまう都会の日々が、きっと虚構に違いない、と思うのです。
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